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ルカ福音書を読む

ルカ福音書を読む(1)「やり直せます」―私の考えるルカ福音書のテーマ― 臼田宣弘

2022年4月6日10時12分 コラムニスト : 臼田宣弘
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関連タグ:ルカによる福音書臼田宣弘

約4年間にわたって、「コヘレト書を読む」「パウロとフィレモンとオネシモ」「コヘレトと新約聖書」という3つのコラムを連載してきました。新年度からは新たに、「ルカ福音書を読む」(毎週水曜日掲載)というコラムの連載を始めたいと思います。今までのコラムは、どちらかというと、聖書学的、専門的なことを書いてきましたが、今回のコラムは、私が教会で語っているメッセージと同じようなものを目指していきます。なお、引用する聖書につきましては、これまでと同様、特記しない限り、新共同訳を使用させていただきます。

中越沖地震の後に

2007年7月16日、私は当時奉職していた新潟県柏崎市において、震度6強という中越沖地震を最激震地で体験しました。それまでに遭った横揺れ型や突き上げ型の地震ではなく、大地が2、3度大きくスライドした後に激しい揺れが襲う地震でした。柏崎市街地は壊滅的な被害を受けました。

私はこの地震の後、自宅が全壊・半壊した人々が多くいる中で、自分自身が奉職していた教会やその他さまざまなところで、ルカ福音書から「やり直せます」という内容のメッセージを語りました。それは、この福音書の伝えているイエス様やその母マリアの言葉などが、「やり直せます」という内容を伝えていると考えていたからです。

マリアの賛歌に見るルカ福音書のテーマ

ルカ福音書1章46~55節に「マリアの賛歌」といわれているものがあります。「マニフィカト」ともいわれ、宗教改革者マルティン・ルターも愛唱していたといわれている箇所です。

46 そこで、マリアは言った。「わたしの魂は主をあがめ、47 わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。48 身分の低い、この主のはしためにも、目を留めてくださったからです。今から後、いつの世の人も、わたしを幸いな者と言うでしょう、49 力ある方が、わたしに偉大なことをなさいましたから。その御名は尊く、50 その憐(あわ)れみは代々に限りなく、主を畏れる者に及びます。51 主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、52 権力ある者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げ、53 飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のまま追い返されます。54 その僕イスラエルを受け入れて、憐れみをお忘れになりません、55 わたしたちの先祖におっしゃったとおり、アブラハムとその子孫に対してとこしえに。」

クリスマスページェント(降誕劇)で使われる箇所ですので、母教会で教会学校のスタッフをしていた青年時代、劇のセリフを作成するときによく読みました。当時、この箇所を読みながら、「46~50節は、受胎告知を受けたマリアの気持ちを表しているのだろうけど、51節以下はなぜここで歌われているのだろう」と疑問を持ちました。「権力ある者をその座から引き降ろす」「身分の低い者を高く上げる」「飢えた人を良い物で満たす」「富める者を空腹のまま追い返す」といった内容の言葉が、受胎告知の場面にはそぐわないように思えたのです。

後年、牧師になり、さまざまな学びをする中で、この箇所は、福音書記者であるルカが、この福音書の主題を提示するために書いたとする書物を読みました。上記の4つの言葉は、この福音書の主題のモチーフなのです。それは2つの対極構造になっています。

「権力ある者をその座から引き降ろす」 ⇔ 「身分の低い者を高く上げる」
「飢えた人を良い物で満たす」 ⇔ 「富める者を空腹のまま追い返す」

このような「ABB´A´」という提示の仕方を、「交差配列法」(キアスムス)と呼びます。この中心にある対「身分の低い者を高く上げる」「飢えた人を良い物で満たす」がまさに、ルカ福音書が大事にしていることなのです。身分の低い人や、食べ物に困っている人、つまり経済的に恵まれない人に対する神様の御業や、イエス様の言動を中心にしてメッセージを伝えているのが、ルカ福音書だということです。

では、「身分の低い者を高く上げる」と「飢えた人を良い物で満たす」の2つに共通することを、私たちの生活の中で捉えるとするならどうなるだろう、と考えるようになりました。そうして至った一つの結論が、「災難に遭ったり、失敗したりしても、やり直せます」ということだったのです。

身分が低いというのは、門地によることもありますが、「失敗したときの状態」とも言い得るのではないかと考えたのです。失敗して地位を失ってしまった状態、それもまた身分が低いということではないでしょうか。

また、食べ物に困る、経済的に困窮するということも、失敗したことによる場合があると思います。私自身もかつて困窮した時期がありましたが、それは仕事で失敗して失職した後の時期でした。

こうしたことから、「身分の低い者を高く上げる」「飢えた人を良い物で満たす」という内容を、ほぼ冒頭において提示しているこの福音書のテーマは、「やり直せます」ということではないかと考えたのです。実際、ルカ福音書は「やり直せます」ということを示す出来事や、イエス様の言葉を多く伝えているのです。

夜通し魚がとれなかった漁師たち

ルカ福音書5章1~11節に、以下のような「弟子の召命」のお話があります。

1 イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。2 イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。3 そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。4 話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。5 シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。6 そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。7 そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。8 これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言った。9 とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。10 シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」11 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。

マタイ福音書4章18~22節と、マルコ福音書1章16~20節にも、同じようなお話がありますが、読み比べると内容が大きく違うことが分かります。ルカ福音書のみ、シモン(ペトロ)たちが、ガリラヤ湖で夜通し漁をしていたのに何もとれなかったというお話が含まれているのです。魚がとれなかったということは、漁師にとってはいわば「失敗」です。そのシモンにイエス様は、もう一度網を降ろして漁をするように言ったのです。シモンたちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかります。

このお話は、私たちがイエス様のメッセージを聞くことによって、「やり直せます」ということが実現するということだと私は考えています。

失敗して帰ってきた弟

15章11~24節には、よく知られた「放蕩(ほうとう)息子」のお話があります。このお話は、ルカ福音書だけにある固有のものです。

11 また、イエスは言われた。「ある人に息子が二人いた。12 弟の方が父親に、『お父さん、わたしが頂くことになっている財産の分け前をください』と言った。それで、父親は財産を二人に分けてやった。13 何日もたたないうちに、下の息子は全部を金に換えて、遠い国に旅立ち、そこで放蕩の限りを尽くして、財産を無駄遣いしてしまった。14 何もかも使い果たしたとき、その地方にひどい飢饉が起こって、彼は食べるにも困り始めた。15 それで、その地方に住むある人のところに身を寄せたところ、その人は彼を畑にやって豚の世話をさせた。16 彼は豚の食べるいなご豆を食べてでも腹を満たしたかったが、食べ物をくれる人はだれもいなかった。17 そこで、彼は我に返って言った。『父のところでは、あんなに大勢の雇い人に、有り余るほどパンがあるのに、わたしはここで飢え死にしそうだ。18 ここをたち、父のところに行って言おう。「お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。19 もう息子と呼ばれる資格はありません。雇い人の一人にしてください」と。』20 そして、彼はそこをたち、父親のもとに行った。ところが、まだ遠く離れていたのに、父親は息子を見つけて、憐れに思い、走り寄って首を抱き、接吻(せっぷん)した。21 息子は言った。『お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません。』22 しかし、父親は僕たちに言った。『急いでいちばん良い服を持って来て、この子に着せ、手に指輪をはめてやり、足に履物を履かせなさい。23 それから、肥えた子牛を連れて来て屠(ほふ)りなさい。食べて祝おう。24 この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったからだ。』そして、祝宴を始めた。

父親から財産を分けてもらった兄弟のうちの弟は、それを換金して遠い国に行き、放蕩三昧の生活をします。瞬くうちにお金はなくなり、豚の番をしてその餌を食べる生活になってしまいます。弟は回心して父親の元に帰る決心をします。しかし息子としてではなく、雇い人の一人にしてもらおうと考えます。ところが弟が帰って来たのを遠くで見た父親は、息子を見つけて走り寄り、首を抱き接吻します。そして服を着させ宴会を行うのです。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「放蕩息子の帰還」(米ワシントン国立美術館所蔵)
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「放蕩(ほうとう)息子の帰還」(米ワシントン国立美術館所蔵)

このお話の父親は、神様を表しています。神様に回心するとき、失敗したとしてもやり直せるというメッセージであると私は捉えています。

以上のように、ルカ福音書は「やり直せます」という視点で読んでいくと分かりやすいと私は考えています。このコラムは、この視点を中心に執筆していきます。(続く)

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◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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