Skip to main content
2025年10月28日10時24分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由

2021年9月17日18時50分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由+
映画「マイ・ダディ」 / 9月23日(木・祝)全国ロードショー / 配給:イオンエンターテイメント / ©2021「マイ・ダディ」製作委員会

ムロツヨシ主演、しかも演じるのは牧師、そして「父娘モノ」ときたら観ないわけにはいかない。本作「マイ・ダディ」は、映像クリエイター支援プログラム「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」で2016年に準グランプリを受賞した金井純一監督の最新作でもある。最近このプログラムから多くの作品が世に出ている。現在公開中の作品では「先生、私の隣に座っていただけませんか?」(18年準グランプリ)があり、今年2月には「哀愁しんでれら」(16年グランプリ)が公開された。脚本の面白さ、そして新進気鋭の若手監督の登竜門として次第に認知されてきているようである。

本作もそういった系譜の作品として観るなら、確かに面白いアイデアに満ちた人情コメディーであるといえよう。だが、少々難ある脚本に興ざめしてしまう人もいるかもしれない。ネタバレになるので詳しくは書けないが、「そういうことね」とあっさり流して観ないと、ラストの感動の雑音になってしまうだろう。

主人公・御堂一男(ムロツヨシ)は本業が牧師。しかし牧師だけでは食べていけず、近くのガソリンスタンドでバイトをしている。彼には娘が一人おり、名前は「ひかり」。彼女が生まれたとき、喜びのあまり赤ちゃんの脚に「ひかり」と書いてしまうくらいの子煩悩パパだったという。妻は8年前に他界。それ以来、父娘はいつも一緒だった。

ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由
©2021「マイ・ダディ」製作委員会

ある年のクリスマス、礼拝後にひかりが倒れてしまう。最初は軽い貧血かと思ったが、検査の結果、白血病だと判明。何とか一命を取り留めたひかりだったが、再び倒れてしまうことで、骨髄移植しか治療の方法がないと告げられる。親が一番ドナーとして適している可能性があるため、一男は検査を受けるが結果的に不適合。しかしそれ以上に彼を打ちのめしたのは、医師の何気ない一言だった。それは、彼が今まで信じてきたものすべてを打ち壊すほどの衝撃的な内容であり、同時に誰にも知られてはいけない秘密だった――。ここから先は実際に映画を観ていただきたい。

本作は「宗教映画」と呼ぶにはあまりにも身近で、かといって単なる「人情モノ」と言うには逆に宗教感にあふれ過ぎている。悪く言えば「どっちつかず」だが、良く言えば見事に「日本におけるキリスト教界」の在り方を活写しているといえよう。

「一人娘の治療のために奔走する父親」というと、古今東西さまざまな映画があり、そのどれもが感動的な仕上がりとなっている。しかし本作が従来の「病気モノ」と異なるのは、主人公の一男が頑張れば頑張るほど、必死になっている彼自身がその行動の意義を見失っていくところである。

ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由
©2021「マイ・ダディ」製作委員会

一男は牧師である。「師」と名が付く職にある者は、一昔前までは「聖職者」といわれてきた。だから彼はその聖職者ぶりをいかんなく発揮して、娘のために奔走する父親を「演じる」。「そうあらねばならない」「そのように世間からは見られるはずだ」というしがらみにいつしかとらわれてしまった一男は、目的達成(娘のドナーを見つけること)のために手段を選ばなくなってしまう。ついには他人に包丁を突き付けることもいとわなくなるのである。

その必死さと、その先に彼を待ち受けているであろう目的の消失。その間で格闘し、葛藤する主人公の姿は、滑稽でもあるが観る者の涙を誘う。私が牧師だから、余計にそう思うのかもしれない。「牧師として、父親として、こうあらねばならない」という枠にはめられていく一男の姿に、私は新約聖書に登場するイエス・キリストの父ヨセフを連想してしまった。

クリスマスでよく語られるストーリーの中に、私は以前からどうしても看過し得ない「ヨセフの悲哀」を感じていた。それは、主の使いから夢の中でこう告げられる箇所である。

ダビデの子ヨセフよ、恐れずにマリアをあなたの妻として迎えなさい。その胎に宿っている子は聖霊によるのです。マリアは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方がご自分の民をその罪からお救いになるのです。(マタイ1:20〜21)

ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由
©2021「マイ・ダディ」製作委員会

一般的には「おお!マリアが妊娠したのは、聖霊によってなのか。そうか、いよいよメシアがお生まれになるのか!」と、彼は信仰でこの出来事を受け止め、次の展開(イエス誕生)に続いていく。しかし、現実にこんなことがあったら(歴史の不可逆性とか、永遠が時間に突入したとか、そういった神学論議を脇に置いておくとしたら)、男性としては絶望するのではないだろうか。身に覚えがないのに妻が身重になるというだけでも信じられないのに、「生まれてくる子は聖霊による」=「お前の子ではない」と告げられるのだから。つまり、自分はイエス・キリストの誕生にまったく関与していないことになってしまう。この辺りの葛藤は、映画「マリア」で丁寧に(しかもきれいに)描かれている。だが実際は、心の中は大嵐、超大型台風が吹き荒れていることだろう。

少々意地悪な見方をするなら、イエス・キリスト誕生の影の立役者は、間違いなくヨセフである。彼が唯々諾々とマリアの話を受け止め、夢で告げる主の使いの話を丸のみにしたからこそ、世界の救い主はこの地に生まれることができたのだから。

本作は、そんなヨセフの姿をほうふつとさせる現代版物語である。病の娘のために愛情深い父親が奔走する様は、昔からある父娘物語の典型である。予想通りの展開だからこそ、私たちの涙腺を刺激することになる。しかし、その父親が遭遇した自分と家族に関する「事実」は、神の愛を説いている「牧師」だからこそ受け止めなければならなかった。しかしその「ねばならない」に縛られていくことで、いつしか愛から逸脱していく様は、何とアイロニカルに満ちた展開であろうか。

ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由
©2021「マイ・ダディ」製作委員会

しかし、ご安心いただきたい。最後のクライマックスで、一男はこれらすべてを理解して「父親」に戻ることになる。まさにマタイの福音書で「衝撃の事実」を告げられた後のヨセフのように。

ヨセフは眠りから覚めると主の使いが命じたとおりにし、自分の妻を迎え入れたが、子を産むまでは彼女を知ることはなかった。そして、その子の名をイエスとつけた。(マタイ1:24〜25)

さわやかな感動と共に、クリスチャンならではの「深読み」も十分堪能できる、そんな一作である。

9月23日(木・祝)全国ロードショー。イオンエンターテイメント配給。

■ 映画「マイ・ダディ」予告編

■ 映画「マイ・ダディ」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 巨匠・山田洋次監督が描く「キネマの神様」は令和日本版「放蕩息子の物語」だ!

  • 「竜とそばかすの姫」が浮き彫りにする教会生活のリアルと歌の底力(ネタバレあり)

  • 大御所クリスチャン歌手が多数出演 映画「ジーザス・ミュージック」 米国で10月公開

  • 若き日の遠藤周作も見た仏映画「田舎司祭の日記」 制作から70年経て劇場公開へ

  • 4つの国際映画祭で受賞「僕はイエス様が嫌い」 23歳の新鋭、奥山大史監督インタビュー

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(250)聖書と考える「推しの殺人」

  • ワールドミッションレポート(10月28日):アイルランド ホームレスからセレブへ 若き成功者ゲッドの回心(3)

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • ワールドミッションレポート(10月27日):アイルランド ホームレスからセレブへ 若き成功者ゲッドの回心(2)

  • イラクで2つの歴史的教会が再開 「イスラム国」の支配から8年

  • 神の前に高ぶらないで生きよう 菅野直基

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 神の前に高ぶらないで生きよう 菅野直基

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣

  • イラクで2つの歴史的教会が再開 「イスラム国」の支配から8年

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.