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上を向いて歩こう 佐々木満男

2019年12月6日11時19分 コラムニスト : 佐々木満男
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関連タグ:佐々木満男

「天には星、地には花、人には愛が不可欠だ」

家庭裁判所での離婚裁判の後、最寄り駅に向かって歩いていた。道路わきに駐車している乗用車の後部に、この言葉がペイントされている。思わず立ち止まり、しばらく眺めていた。夫婦の憎しみ合い、子どもの取り合い、財産の奪い合いという、泥々した時間を過ごした後だけに、心にジーンとしみわたり、さわやかな気分になった。これはゲーテの言葉だといわれている。

天に星がなければ真っ暗闇である。地に花がなければ生活に潤いがない。人に愛がなければ人生は殺伐としてしまう。創造主は、天には輝く星をちりばめ、地には美しい花を咲かせ、人々はお互いに愛し合うように、造ってくださった。それなのに私たちは、星にも花にも愛にも、あまりにも無関心ではないか。

「創造のものすごさ」

とても深刻な問題を抱えた人の法律相談をしていたときのことである。その人はあまり悩んでいないようだった。ただ、法律的な手続きを聞きにきたのだ。不思議に思って、その人に聞いてみた。

「ご趣味はなんですか?」
「星を見ることです」
「プラネタリウムかどこかで見るのですか?」
「いいえ、時々山に登って、望遠鏡で夜空の星を見ます」
「どうしてそんなに星に興味があるのですか?」
「宝石のように輝く広大な星空を眺めていると、神様の創造のすごさに圧倒されてしまいます。そうしていると、嫌なことを忘れてしまうんです」
「そうなんですか」
「問題がどんどん小さくなってくるんです。どうしてこんな些細な問題に悩んでいるんだろうって思えてきます」

「上を向いて歩こう」

その話を聞いてから、背筋を伸ばし、胸を張り、上を向いて歩くようにした。天には太陽も輝いている。天気の良い日は青い空が広がっている。真っ白な雲が浮かんでいる。暗い雲で覆われる日もあるが、天からは時に応じて恵みの雨が降ってくる。上を向いて歩いていると、悩みで縮こまっている心が解放され、おおらかになってくる。気分が良くなると、悩みは消えてしまう。

私は飛行機の窓から地表を見下ろして眺めるのが好きだ。野山や河川がきれいに造られた箱庭の中で、マッチ箱の家が立ち並んでいる。細長い道路をおもちゃの車が走っている。小さな工場から煙が立ち上っている。そんな中で、人々が暮らしている。まるでメルヘンの世界だ。ずっと眺めていると、自分の問題が小さく思えてくる。

天の父の壮大な創造の中に生かされていながら、神の子どもである私たちはあまりにも些細なことにこだわっていないだろうか。なぜ赦(ゆる)し合うことができないのか。なぜ愛し合うことができないのか。なぜ仲良く生活できないのか。

いつも天を見上げて、創造主の偉大な愛の注ぎを受けよう。心がおおらかになれば、道の片隅に咲いている小さな花にも目が留まる。ちゅんちゅん鳴いている街路樹の一羽のスズメにも思いが向く。花やスズメに「おはよう!」と笑顔であいさつしたくなる。こうして神の天地創造の素晴らしさに感動し、心から賛美と喜びがあふれてくる。敵対している人をも赦す気持ちになり、心からその人を愛することができるようになる。だから、いつも上を向いて歩こう。

キリストとともによみがえらされたのなら、上にあるものを求めなさい。(コロサイ3:1)

あなたがたは、地上にあるものを思わず、天にあるものを思いなさい。(コロサイ3:2)

◇

佐々木満男

佐々木満男

(ささき・みつお)

弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL. M)。インターナショナルVIPクラブ東京大学顧問。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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