米国家朝餐祈祷会に3500人、キリスト教人権団体代表が講演「分裂のために善の追求やめてはならない」

2019年2月10日09時11分 印刷
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米国の2019年国家朝餐祈祷会の基調講演で語るキリスト教系人権団体「インターナショナル・ジャスティス・ミッション」(IJM)の創設者で会長兼最高責任者(CEO)のゲイリー・ホーゲン氏(写真:IJMのツイッターより)

米国の2019年国家朝餐祈祷会が7日朝、首都ワシントンのホテル「ワシントン・ヒルトン」で開催された。1953年から続く祈祷会で、現職の大統領が出席することが伝統となっている。ドナルド・トランプ大統領も昨年に続き出席し、全米50州、世界約150カ国から訪れた約3500人を前にスピーチした。

基調講演では、キリスト教系人権団体「インターナショナル・ジャスティス・ミッション」(IJM)の創設者で会長兼最高責任者(CEO)のゲイリー・ホーゲン氏が演説し、国家の指導者らに対し、現代の奴隷制との戦いにおいて団結するよう訴えた。ゲイリー氏は講演の中で「この分断の時代にあってさえも、協力して成し遂げるべき善がある」と力説した。

人権派弁護士として米司法省などで働いてきたホーゲン氏は、「神の誠実さ」は「たゆむことなく善を行わせてくれる」と述べる一方、分裂する米国社会の中では、善を行おうとしても、疲れ、落胆することは容易だとも述べた。

「われわれは現在、国家として危険なまでの落胆の高まりの中にあると私は感じている」。ホーゲン氏はそう述べ、「民族的分断、連邦政府機能の停止、生きるか死ぬかの勝者独り占め競争文化に対する拒否反応。これらがわれわれの胸を圧迫し、国家崩壊の不安を増大させているように見える」と指摘した。

闘う価値のある闘いはあるとする一方で、多くの人が落胆しているために「すべての闘いが最終的にうまくいくわけではない」とホーゲン氏は述べ、国家朝餐祈祷会のような団結を促す式典でさえ「表面的であったり、真実味のないものになりつつある」と警鐘を鳴らした。

「すべてが間違った方向に進むことで落胆することもあれば、正しさの追求を諦めたくなる誘惑に駆られることもある」と、C・S・ルイスの小説『悪魔の手紙』の一節を引用。「そうした絶望こそ、絶望を誘発する罪の中で最も大きな罪であることを、われわれの霊的敵対者は知っている」とした。

「今この時、私は励ましの言葉を祈り求めている。その言葉のおかげで、われわれが絶望のふちから大きな一歩を踏み出せるかもしれないからだ」とホーゲン氏は語り、「善を追求するためには、善が最終的に勝利することを実際に信じる必要がある」と述べた。

世論に否定的な見方が広がることで落胆するかもしれないが、「(重要なのは)一時だけの支配的な見方ではない」とホーゲン氏は喚起した。

「歴史という巨大な天蓋(てんがい)を堅持するのは神の御手である。神は御言葉で銀河を創造されるお方だ」

「御座に座る方が涙をすべて拭い去り、死も痛みも嘆きもなくなる日が来る」

「しかし、油断できない側面がある。私は、今この時の激しい聖なる戦いのために、聖なる神の働き掛けを強く求めている。しかし急ぐあまり、私は善を促す神の御声に耳を傾けていないかもしれない。障害物に向かって突進する中でつまずいてしまい、善を呼び掛ける御声を聞き損ねているかもしれない」と続けた。

ホーゲン氏は、聖書の戒めは「正しい行いを諦めてはならない」というものだけではなく、「正しいことをひたむきに追求し続けることを諦めてはならない」とも教えていると指摘した。

ホーゲン氏は、米国務省が人身売買問題における「英雄」とし、米政府が反奴隷制度の指導者として高く評価する人物。ホーゲン氏によると、世界に数千人いるIJMの職員は、祈りと黙想のために毎日10分間、沈黙の時を持っているという。

「われわれは、神の道徳的威厳に少しばかり畏敬の念を持とうではないか」

「もしかしたら、われわれ全員にとってそれだけで十分かもしれない。われわれは、たゆむことなく、正しいことをひたむきに追求し続けるべきだ。われわれ全員が必ずしも善人であるわけではない。立ち止まって思案しないなら、われわれは間違いなく正しいことを見失うことになる」

党派を問わず、政治家が行うべき善があることに同意するのなら、その政治家は「それをやるべきだ」とホーゲン氏。この分裂の時代にあっても、刑事司法制度の改革や崩壊した里親制度の回復、オピオイド(麻薬性鎮痛剤)過剰摂取問題の解決、現代の奴隷制との戦いなど、誰もが支持できる事案があると指摘した。

「奴隷制度は邪悪であり、容認すべきではないという点で、われわれ全員が容易に同意できるはずだ」とホーゲン氏。「しかし今日の奴隷制度には、歴史上のどの時代よりも多くの人が関わっていることを知る人はほとんどいないだろう」と語った。

「現代の奴隷制度は、昔のものと同程度に膨大で残忍なものだ」。ホーゲン氏は、奴隷化された人は世界で推定4千万人もおり、その7割以上が女性で、4分の1が子どもだと説明した。

ホーゲン氏は、今の世代こそ奴隷制度を終わらせることのできる最初の世代だと述べ、戦いに勝つための新しい手法として、官民が協力する「現代奴隷制を終わらせるための世界基金」を米議会が超党派ベースで承認したことに触れた。

「毎年適切な資金調達があるなら、われわれは古来から続くこの罪が永遠の終わりを告げるのを見ることができるだろう」。ホーゲン氏はそう述べ、「われわれ全員が声を上げ、資金集めに全力を尽くすなら、何百万という神の子どもたち(人身売買の犠牲者たち)は自分たちが造られた目的が自由のためであることに気付くことができる」と訴えた。

善の追求において誰もが自らの役割を果たすのであれば、出エジプトの神が「奴隷制度を歴史のごみ箱に投げ込む」のを見ることになると胸を張ったホーゲン氏は、「たゆまず善を行いましょう。飽きずに励んでいれば、時が来て、実を刈り取ることになります」(ガラテヤ6:9)を引用して講演を閉じた。

ホーゲン氏の講演後、ワーシップ歌手のクリス・トムリンが、元奴隷商人のジョン・ニュートンが作詞した「アメイジング・グレイス」を歌った。「かつて奴隷商人だった人物によって作詞されたこの歌が、おそらく世界で最も愛される歌となったことは、本当に驚くべきことです」。トムリンはそう述べ、「ジョン・ニュートンは神が劇的な方法で彼を救ったと話しています。そして彼は、この良き知らせと神の自由を伝えるために、残りの人生を使ったのです」と続けた。

トランプ氏はスピーチの中で、ホーゲン氏とIJMが、人身売買の束縛から人々を救出するため「確かに主の働きをしている」と言及。自らの政権も、現代の奴隷制撲滅のために共に尽力していると語った。

米国の国家朝餐祈祷会は、ドワイト・アイゼンハワー大統領の時代の1953年に始まり、以来歴代の現職大統領が出席してきた。毎年2月第1木曜日に行われるのが恒例で、100カ国以上から、さまざまな国籍、宗教、政治的背景を持つ3千を超える人々が参加する。

準備・運営はキリスト教系のフェローシップ財団が行うが、主催は米議会。下院議員が毎週行っている朝餐祈祷会の延長として行われ、今年は共和党のジェームズ・ランクフォード上院議員(オクラホマ州)と、民主党のクリス・クーンズ上院議員(デラウェア州)の2人が共同議長を務めた。祈祷会では、2人がトランプ氏の両脇に立ち、共に祈る場面もあった。

今年の祈祷会ではこの他、福音派のキリスト教慈善団体「サマリタンズ・パース」の医師で、西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱や過激派組織「イスラム国」(IS)の犠牲者の治療に当たってきたランス・プライヤー氏や、米国聖公会のマイケル・カリー総裁主教らも出席した。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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