緊急リトリートの提言 穂森幸一(103)

2018年4月19日11時43分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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「さて、使徒たちは、イエスのもとに集まって来て、自分たちのしたこと、教えたことを残らずイエスに報告した。そこでイエスは彼らに、『さあ、あなたがただけで、寂しい所へ行って、しばらく休みなさい』と言われた。人々の出入りが多くて、ゆっくり食事する時間さえなかったからである。そこで彼らは、舟に乗って、自分たちだけで寂しい所へ行った」(マルコ6:30~32)

米国で牧師の自殺が問題となり、教会にも影を落としているとクリスチャントゥデイで取り上げていました。これは、米国だけの問題ではなく、日本でも深刻に捉えるべきことではないかと思います。また、プロテスタント教会だけではなく、カトリックでも考えるべきことです。

また、自殺に至らずとも、心が傷ついて離職する場合もありますし、入院に至るケースもあります。最前線で霊的闘いに挑んでいる働き人を失うことは、キリスト教界にとって大きな損失であります。このコラムを通して私なりの提言をさせていただきたいと思います。

1)支援組織を立ち上げてはどうでしょうか。経費や仕事のことなど心配しなくてもよい環境を作ってあげることが必要ではないかと思います。クリスチャンの実業家の方にお願いします。ぜひ具体的に援助してください。

精神的に思い詰めている状況では、チケットの手配や旅行のスケジュールなどは立てられません。手ぶらで気軽に参加できるように用意してあげることが必要です。キリスト教の保養施設や宿泊施設などの協力を得ることができたらとてもいいと思います。静かな環境でゆっくり休養できるようにします。

預言者エリヤは、カルメル山でバアルの偽預言者と対決し、大きな勝利を収めるという偉業を成し遂げます。しかし、大きな事業を成し遂げた後はバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥りやすくなります。女王イザベルの恫喝を恐れて、死んだほうがましだというような弱気になってしまいます。そして「主よ。もう十分です。私のいのちを取ってください」と祈っているのです。

神はエリヤを荒野に導かれ、眠らされます。御使いがエリヤを起こし、食べ物を与えます。食べるとまた寝てしまいます。しばらくすると御使いが起こして、食事をするように促します。

バーンアウトしたときは、何も余計なことは考えず、ひたすら寝て、食べるというのを繰り返すことで体力がついてきて、元気を回復できるのです。「精神的に落ち込んだときは聖書も読んではいけません」という精神科医がおられます。悪い方に受け取ってマイナスの作用を引き起こすことがあるからだそうです。列王記に記された方法はとても理にかなった回復法だといわれます。(Ⅰ列王記19:3~18)

まず、寝ること、栄養になるものを食べるという治療法が有効ということになります。エリヤの場合は御使いがそばにいましたので、信仰の先輩か、心理カウンセラーにそばにいてもらうことは大切だと思います。働いている場所から遠く離れた所に移動することが大切です。

2)私はカリフォルニアのグラスバリーにある修養施設を訪れたことがあります。湖の近くに牧場があり、周囲を森に囲まれたとても静かな環境でした。一人のカウンセラーが施設を案内してくれるというのでついていきました。牧場にいる動物の話をしたり、湖の畔や森の中を散歩しながら、牧師の働きのこと、家族のことなど世間話みたいに楽しい雰囲気で会話を楽しむことができました。話に夢中になっているといつの間にか2時間がたっていて、出発地点に帰っていました。そうすると「カウンセリングは終わりました。食事が用意してありますから、食堂に行ってください」ということでした。

私の記憶の中では、森と湖を散歩し、会話を楽しみ、おいしい食事を頂いたということしか残っていないのですが、必要なカウンセリングは終了したということでした。いつの間にか心がすっきりし、とても満たされた思いになっていました。

本人に負担にならないような形で精神科医や専門の心理カウンセラーのカウンセリングを受けられるように準備するということは、とても大切だと思います。不眠症やうつ症状などがみられる場合、投薬するなどの医療措置の必要も出てくるかもしれませんが、本人に納得してもらうということは当然のことだと思います。

3)原則として疲れを覚えている伝道者は支援対象になりますが、同じ所で7年、10年、15年働いている人は、その年度の区切りに自主的に参加してリフレッシュすることはとても大切だと思います。

自家用車は車検を受けなければならないし、職場では定期的な健康診断が義務づけられています。霊的な健康診断や休養もとても大切なことだと思います。真面目で熱心な伝道者の中には、息抜きが苦手という方もいらっしゃいます。そういう方には、周りの人々が手を差し伸べなければならないと思います。

米国の信仰の先輩が勧めてくれたことは、「祈る前に深呼吸しなさい。一切を神の御手に委ね、神のお導きを信じなさい」ということでした。

「あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、あなたがたをキリストにあってその永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、あなたがたをしばらくの苦しみのあとで完全にし、堅く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます」(Ⅰペテロ5:10)

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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