Skip to main content
2025年6月16日23時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(20)白取春彦著『この世に「宗教」は存在しない』

2018年1月8日19時55分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:青木保憲
神学書を読む(20)白取春彦著『この世に「宗教」は存在しない』+
白取春彦著『この世に「宗教」は存在しない』(ベスト新書、2017年10月)

白取春彦著『この世に「宗教」は存在しない』(ベスト新書、2017年10月)

本書は『超訳 ニーチェの言葉』『超訳 イエスの言葉』など「超訳シリーズ」の著者、白取春彦氏の最新刊である。ちなみに「超訳」とは、原文の言葉をそのまま訳すのではなく、現代の日本人が分かるように、多少恣意的ではあっても「分かりやすさ」を狙った意訳ということになる。

哲学、宗教などの専門家として、このような分かりやすい本を次々とお書きになっていることは、すごいことである。本書でも世界四大宗教(キリスト教、仏教、イスラム教、ユダヤ教)を私たちの身近なものとして紹介してくれている。

特にキリスト教に関しては、私たちが彼の主張から学ぶべきことが多くあるように思われる。まず白取氏は「この世に宗教が純粋な形で存在することはない」と言い切っている。これを文字通り取るなら、本書を読む必要はない。

しかし、彼はこういった表現を通して、私たちが「何か得体の知れないもの」と受け止めている「宗教」という枠を見事に打ち破ってみせるのである。そして、宗教が存在する世の中で、もしその教えや考え方が実践されるとするなら、世の中にどんな形で残存することになるか、を描いているのである。

キリスト教に関してのみ言うなら、聖書を「哲学的」に解剖して見せる第5章は賛否両論であろう。いわゆるリベラル神学の手法を用いて、聖書に記載されているイエスの出来事、彼の言葉を解説している。その中身は、現代の理性的合理的世界に生きる私たちにとっての「道徳的」な教えとしては、大いに刺激的である。

しかし、本紙に代表されるような保守的キリスト教信仰にとっては、噴飯モノと取られても仕方がない。それくらいドラスティックな解釈がなされているからである。

だが、序章で解説されている「宗教とは何か」の定義や「宗教を難しくしている、三つのコーティング」といった項目などは、多いに参考になる。キリスト教をまったく知らない人からすると、こういう点がとっつきにくいのか、ということを示唆してくれているからである。

その中で特に面白かったのは、第3章「神の言葉」と「ドグマ」の項である。ここには宗教的な禁止事項に関する探究が記されている。そして「字義通り禁止事項を受け止める」保守的な教派に対し、その解釈の幅を学術的に与えてくれている。具体的には次の箇所である。

宗教の禁止命令というのは(中略)どれもが絶対的な禁止ではなく、英語で言えば「shall not」あるいは「should not(できればそういうことはしてほしくない)」のニュアンスが含まれているものではないか。少なくとも『聖書』の「出エジプト記」に出てくる有名な「十戒」は「shall not」が含まれている。(中略)「shall not」の言語感覚がない日本語に翻訳された場合は、どうしても強い命令形になってしまうしかないのだが、この十戒を英語にしたものは助動詞 shall が用いられているのがふつうである。(85~86ページ)

そして、筆者はこうまとめている。

翻訳のことはともかく、ここで言いたいのは、宗教上の命令は軍隊の上官からの絶対命令である「コマンド(command)」とは異なる性質のものだということだ。諫言(かんげん)、あるいは言い含めて教える意味合いがたくさん含まれている。これを英語にすれば、「オーダー(order)」である。(中略)オーダーには、道理も秩序も整理も含まれている。だから、柔軟性と建設性がある。つまり、例外を認めるし、場合によっては変化しうるということだ。(同)

いかがであろうか。確かに合理的整合性を取る解釈は、角が取れ、そして明瞭さに欠けることがある。だが、このような解釈の幅を持つことで、私たちは自分ができもしないこと、または到底できないと思うことに「気合のみ」でぶつかっていく愚行を避けることができるのである。

私は決して聖書のメッセージを鈍らせようとか、字義とは異なるものへ変化させることを良しとはしない。だが、あえてリベラル的な手法で聖書を解釈してみるなら、その物語や教えに対して、実は読み手である私たちが「勝手に思い込んでいたこと」を見いだすことができる。それはつまり個々人の世界観であり、生まれたときからサングラスをしているため、世界が異なった色に見えていてもそれに気付かないようなものである。

この前提としているものを払拭(ふっしょく)したり、または、あらゆる解釈にはこのような「思い込み」が付随するものであることを教えてくれるのが、本書のようなリベラル視点の新書であろう。

ただ最後に苦言を1つ。後半、イエスの言動をすべて「暗喩(メタファー)」と解釈するのはいかがなものであろうか。それでも古代キリスト教のいい意味での「得体の知れなさ」が失われてしまい、文言を通してこちらがいろいろと想像したり、追究しようと思う探究心を殺(そ)いでしまうことにならないだろうか。

確かに哲学や文学的な読みは、聖書などの聖典を読むときに役に立つだろう。しかしだからといって、その枠ですべてを解釈できます、と提示するだけでは「宗教」としての面白みを取り損ねてしまうことにはならないだろうか。

この本にどっぷり依存すると、今の信仰が儚(はかな)いものに見えてきてしまう。だからあくまでも聖書は「字義通り」を原則とし、その解釈の手法を複数提示する、というやり方がベターな気がする。そういった観点から、ぜひ1度は手に取ってもらいたい良書である。

白取春彦著『この世に「宗教」は存在しない』(ベスト新書、2017年10月)

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:青木保憲
  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(19)『キリスト教は「宗教」ではない 自由・平等・博愛の起源と普遍化への系譜』

  • 神学書を読む(18)藤本満著『歴史―わたしたちは今どこに立つのか―』

  • 神学書を読む(17)冷泉彰彦著『予言するアメリカ 事件と映画にみる超大国の未来』

  • 神学書を読む(16)ジョン・C・マクスウェル著『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』

  • 神学書を読む(15)来住英俊著『キリスト教は役に立つか』

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • トラウマからの解放と癒やし 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.