刑務所伝道シリーズ特別編 鈴木啓之牧師×進藤龍也牧師対談(後編)

2017年10月29日06時39分 記者 : 守田早生里 印刷
+刑務所伝道シリーズ特別編(2) 鈴木啓之牧師×進藤龍也牧師対談
笑顔で思い出話を語る進藤龍也牧師(左)と鈴木啓之牧師

――シロアム教会でやり直した人の中で、現在もなお牧師という人は。

鈴木:神学校に行って牧師になったのは何人かいますね。ただ、開拓伝道をして今も牧会しているのは進藤先生だけかな。

進藤:「進藤先生」って呼ぶのはやめてくださいって何度も言ってるんですよ。でも、鈴木先生は僕のことを「先生」って言ってくれるんですよ。愛ですよね。おそれ多いことです。

――進藤先生が最初に教会に来た時のことを覚えていますか。

鈴木:「こいつ、大丈夫かな」といった感じでしたよ。

進藤:今だから言えるんだけど、住み込みをしている時に1度、「やりなおし道場」の仲間とけんかしてしまったんですよ。僕が風邪をひいて、それでも教会のトラクト配りなんかを街に出てやっていたら余計に体調を崩して、とうとうクリスマス当日に熱を出してしまったんです。そしたら、「お前、住み込んでるのに、なんで寝てるんだ!早く教会を手伝え」って言ってきたやつがいて、カチンと来た僕は熱が出ているのも忘れて、「なんだと、この野郎!表出ろ」なんて言っちゃってね。もう、本当に恥ずかしい話ですよ。悔い改めたどころか、こんなことばかりやっていましたね。

――進藤先生は他の人とどんなところが違っていましたか。

鈴木:進藤先生が初めて俺に手紙を刑務所の中からくれた時、便箋十何枚、分厚い手紙でしたよ。文章のうまいやつだなと思いましたね。

――進藤先生にとって鈴木先生とは。

進藤:刑務所に入って、聖書を読んで、鈴木先生みたいになりたいって思って、つらい受刑生活も、一縷(いちる)の望みっていうのかな、夢みたいなものを持って過ごすことができたんだよね。

刑務所伝道シリーズ特別編(2) 鈴木啓之牧師×進藤龍也牧師対談
週の半分は北海道だという鈴木牧師

――教会を離れていく人も多いと聞きます。教会につながり続けることのできる人は何が違うのでしょう。

鈴木:それは、向いている方向でしょうね。神様のほうをきちんと向いているかどうか。最初は、教会の人って温かいから、なんとなく居心地がよくて教会に来る人もいます。しかし、ちょっとしたことで教会につまずくというより、人につまずくと、途端に来なくなる。イエス様から目を離さない人はつまずかないのでは、と思います。

進藤:いろんな人がいますよ。でも僕は、鈴木先生を見て牧師になろうと思った。今度は、僕を見て牧師になろうと思う人が増えてくれれば、それはとてもうれしいこと。そのためなら広告塔でも何でもなりますよ。

刑務所伝道シリーズ特別編(2) 鈴木啓之牧師×進藤龍也牧師対談
国内外での講演会に飛び回る進藤牧師

――進藤先生は、鈴木先生の教会を離れたことは?

進藤:若い時にあるんですよ。だから今、僕の教会に来て、反発して離れていくやつの気持ちが分かるんです。僕は1回離れてしまったけど、絶対戻らなければいけない場所は鈴木先生のところだと思ってた。だから、神学校を卒業した時に、鈴木先生にも報告に行ったんですよね。その後、しっかり悔い改めて鈴木先生に謝罪しました。それで受け入れてもらって、今があります。牧師按手の時も、JTJ宣教神学校の学長2人(岸義紘牧師、中野雄一郎牧師)、安田眞牧師(日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団川口神召キリスト教会)と共に鈴木先生にも手を置いてもらいました。住込みまでさせてもらって、洗礼を授けてもらったんですから、命の恩人ですよ。神と人に対してこういう気持ちを忘れたらいけないですよね。鈴木先生に対する恩義を忘れたら、牧師以前に私は人間として失格者です。

鈴木:そうだったな。教会に来てくれた時は本当にうれしかった。感謝でした。

――鈴木先生は、進藤先生が教会を離れた時のことを覚えていますか。

鈴木:そりゃ、悲しかったよ、もちろん。何が悲しいって、牧師として、いつも礼拝に来ている誰かが来なくなるってことは、本当に悲しいし、寂しいんだよ。

進藤:牧会していると、それが本当によく分かる。傷付くんだよね。本当は、嫌なこと、先生と考えが違うなと感じたことがあれば、話せばいいのに、話さないで勝手に壁を作って、最後は出ていくっていう、最悪のパターンだよね。心の傷もあると思うよ。従うってことをできない弱さが自分にはあったね。

――心の傷というのは、幼少期からの環境とか、その後の組織でのいろいろとかですか。

進藤:自分に価値がないと思って、弱いからヤクザをやるんですよね、みんな。本当に強かったら、けんかしないし、人とも比べないし、多少勉強ができなくても学校も行くしね。弱いから、それを見透かされるのが嫌だから、みんなヤクザになるんですよ。固まって、よろいで固めて、強いふりをするんですよ。でも、神様に出会った時に、全部をさらけ出して、中身のない自分に気付いて、愕然(がくぜん)とするんですよね。ヤクザって、何かに寄生しているんだと思いますよ。組織に寄生する、兄貴分に寄生する、あるいは女に寄生する。そんな人生を送ってきた人がいきなり神様中心になるわけですから、たやすい道ではないですよ。

――シロアムで進藤先生が得たものとは?

進藤:もちろん聖書の教えだったり、教会生活の基礎だったり、いろいろありますが、その中でもシロアムで得た財産っていうのは、二上英治という盟友であり同志だったんですよ。

鈴木:本当、苦しい時はいつも2人一緒だったもんな。

進藤:シロアムで寝食を共にして、手を取り合って、「俺たちも牧師になろう。イエス様の言葉を伝える人になろうな。教会を作ろう」って何度も励まし合ったんですよ。

――キリストの名による家族ですね。

進藤:そうですね。だから、よく罪友に来るやつらがけんかを始めたりすると、「お前ら、何しにここに来たんだよ。俺はやり直しをしている時に、二上っていう無二の親友を得たぞ」って言うんですよ。

――最近、またタレントが薬物による容疑で逮捕されました。薬物犯罪について、それぞれの思いを教えてください。

進藤:何が一番怖いかって言ったら、まん延なんですよ。誰かが落ちて、そこに引きずり込もうと、陰で仲間と一緒にやり始めちゃうのは、本当に怖いですね。

鈴木:殴られたら、その痛みを記憶している。梅干しやレモンを見たら、唾液が勝手に出てくる。それと一緒で、覚せい剤を打ったことのある人は、打ったら自分がどうなるか、体が記憶してるんですよ。だから、覚せい剤の一番の治療場所は刑務所だと思うんです。本気でやり直す気持ちがとにかく大事なんですが、出所した後は治療が非常に難しいのは事実。だから、シロアムや罪友のようなところがあるんですよね。

進藤:やめるっていうことが目的じゃなくて、やめて、その後どうしたいのか、どんなふうになりたいのかっていうほうがよっぽど重要なんですよね。それに、よりどころである信仰があれば、なおいいのですが。薬物をやめるって、たやすいことじゃない。だから、キリスト抜きには僕は不可能だと思ってる。

鈴木:本当そうだよ。俺もいろんな人を見てきたけど、どんな形であれ、更生できた人っていうのは、信仰を持った人だけだね。信仰を持った人というのは、負荷がかかった時、誘惑があった時に、きちんとよりどころがあるんだよね。これは大きいよ。覚せい剤っていうのは「悪魔のクスリ」だからね。神様以外には勝てないと思っています。

進藤:刑務所の中で「次はどうやって捕まらないようにシャブ売ろうかな」とか考える暇があるなら、「どうやってクリスチャンになろうかな」って考えたほうがいい。僕は刑務所の中にいる時、それを考えてた。だから、出所して、教会に通って、先生から洗礼を授けてもらって、とてもうれしかった。夢が1つかなったと思った。

鈴木:なかなか、それでも難しいのが薬物中毒だよね。

進藤:本当にキリスト中毒にならないと難しいと思う。こんなスゲー世界があったんだ、こんな素晴らしい場所があったんだっていうのを見せていくのが教会の役目だと思う。天国の模型が教会だと。

鈴木:いいものに依存すれば依存症は治るんだと思いますよ。

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