「決してシリアを忘れていない」立教大の学生が企画「シリア・モナムール」上映会・講演会(2)

2017年1月21日10時27分 記者 : 守田早生里 印刷
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+「決してシリアを忘れていない」立教大の学生らが企画「シリア・モナムール」上映会・講演会(2)
あいさつする立教大学異文化コミュニケーション学部の山田一竹さん=12月23日、立教大学で
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2012年と13年の2度にわたってシリアを訪れ、取材したという八尋伸氏は、「シリア革命の素顔」と題して、シリア取材の裏側を話した。

八尋氏が初めてシリアに渡ったのは、2012年8月。すでにシリア革命は激化していたと話す。アレッポの街の至る所に弾痕が残り、建物が倒壊した様子をカメラに収めていた。取材中にも、容赦なく空からの攻撃は続き、爆撃があると、生き残った市民たちは逃げることなく爆心地に向かい、負傷者を探しては病院へ運ぶ。そんなことが当時から日常的だったという。

ある男性に話を聞くと、彼はアレッポ大学在学中に「アラブの春」に触発され、自由と民主化を求めてデモに参加した。政府軍は、政府に反対する者に対して、徹底的に攻撃を仕掛ける。すると、いつの間にかデモに参加していた学生たちも武器を取り、戦う・・・。

1度でもデモに参加すれば、そこから逃げることはできない。政府軍に捕まれば、酷い拷問が待っている。この最悪の状況下で、シリアの若者たちは難民となって国から逃げるか戦うかの二者択一を迫られるのだ。八尋氏は、「戦争になると、人の中にある箍(たが)が外れて、敵と味方に分かれてしまう。戦争で一番怖いと思うのは、人間が人間でなくなることではないか」と話した。

ホワイトヘルメットのメンバーと会場をつないだ会話は、彼らの悲痛な叫びを直接聞く貴重な機会となった。ホワイトヘルメットは、シリアの内戦によって完全に機能を失った公的機関の代わりに、国内の救護活動を行う市民のボランティア団体だ。2016年にはノーベル平和賞にもノミネートされている。情勢が悪化する現在もなお、国内で活動中だ。

アレッポの西側にいるというメンバーは、カメラに向かってメッセージを語り続けた。アレッポ中心部にいた彼は、激しい空爆を生き抜き、15日間、政府軍の包囲網の中にいた。その後、西側に強制移動を強いられたという。

包囲網の中にいた最後の15日間は、病院も薬もなく、人を支援するという機能は何1つなかったという。包囲は3カ月前に始まった。現在もなお、障がいのある人、自力では動くことができない人、また自由シリア軍の兵士の一部も、包囲網の中にいるという。

現在のアレッポは、動物でさえも爆撃音におびえるような状況であり、とても人が住めるような状態ではない。こうした過酷を極める状況下で、国際社会が禁止する武器の使用も始まっていると話す。

空爆は、ほぼ24時間続き、ジャーナリストですら、その様子を記録することが困難だったという。「包囲はすでに3カ月前から始まっており、市民たちが必死に助けを求めていたが、その声はメディアに届かなかったことが、悔やまれる」と話した。

過酷な食糧事情についても話があった。「家族の人数にかかわらず、1人に配給されるのは、2日に1回、2切れのパンが与えられるのみ。飲料水もひどく汚れており、その汚れた飲み水が原因で、さまざまな病気を引き起こしたりしている。病院も破壊され切っているので、治療も受けることができない」と話した。

最後に会場にいる人々をはじめ、日本人へのメッセージを語った。

「今、シリアで起きていることは『結果』であると言える。私たちが自由を求めて起こした革命の『結果』です。国連をはじめ、国際社会は今、何がシリアで起きているかを知っているはずです。それなのに、彼らは『数』を数えるだけ。中国やロシアを囲んで会議をするだけで、何も解決になっていない。いつまでこの殺りくが繰り返されるのか教えてほしい。日本人一人一人、また日本政府には特にこの問題に関わっていってほしい。私たちは、お金や食糧が欲しいと言っているのではない。自由が欲しいのです。このイベントで皆が自由に考えていることを話すことができるようにしたいのです。日本がかつてボロボロの状態から国を再建したように、シリアも日本のように国を再建して、自由を得たいと思います」と話した。

最後に、立教大学異文化コミュニケーション学部の山田一竹さんは、現在シリアのアレッポで戦火から逃げている友人のことを思い、涙ながらにこのイベントを主催した理由を話した。

「現在のシリアは、今世紀最悪の危機に陥っています。しかし、そこに住む人たちがいるということは、私たちは忘れてはいけないと思います。今まで、普通にそこで暮らしていた人々が、なぜ武器を取って戦わなければいけなくなってしまったのか。それを私たちは考えなければならない。『テロリスト』という言葉で、簡単に片づけられる人たちではないと思うのです。彼らも私たちと同じように生きたいのです。人としての尊厳を求めて、私たちが日々過ごしているこの時間を求めて、逃げ惑い、戦い、そして命を落としていっているのだと思います。私の友人が一番伝えたいと思っていることは、『私たちのことを忘れないでほしい。日本の皆さんに、シリアの状況を知ってほしい』ということでした。今日、こうしてこんなに多くの方々が集まってくださったことで、『決してシリアを忘れていない』というメッセージをこの日本から送ることができたと思います。皆さんも今日1日だけで終わることなく、シリアの人々に寄り添ってほしい」と話した。

私たちが彼らの気持ちに寄り添うことによって、シリアで消えかけている希望の灯をともし続けられるのではないだろうか。「Stand for Syria」と同時に「Stand with Syria」という言葉でこのイベントは締めくくられた。

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