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こころと魂の健康

こころと魂の健康(45)問題となるパーソナリティーと牧師・その3:完全主義者 渡辺俊彦

2016年12月25日23時53分 コラムニスト : 渡辺俊彦
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関連タグ:渡辺俊彦

問題となるパーソナリティーについて連続で検討して3回目です。今回は、完全主義者について検討してみましょう。完全主義ということについて、核信念の視点からすると「強迫観念的核信念」と思われます。別な言い方をすると律法主義的ということです。このような人の内にある核信念は「~はこうあるべき」「~はこうしなければならない」というものです。そのため、物事を極端にしか見ることができません。

そして、妥協したり、修正したり折り合いをつけることが非常に難しいのです。心の内では、自分が正しいかどうか心配です。自分の思ったり考えた通りにならないと、最悪の状況となってしまうと感じてしまいやすいのです。

完全主義のパーソナリティーは、自分に対しても他者に対しても厳格です。その上、物事には改良の余地が残されているのではないかと考えてしまうため、否定的な意見で相手を正そうとすることがあります。そのため、他者に対して絶えず批判的です。別な言い方をすると他罰主義です。

反面、とても礼儀正しく常識を持っている一途な努力家です。なぜなら、完璧でないと社会に受け入れてもらえないと思い、やるべき事を完璧にこなそうとするからです。例えば、提出書類など何度も見直したりします。このような人が好む言葉が正確、善良、正直、完璧、勤勉です。

ただし、得手不得手がはっきりしています。得意な事に関しては時間を使い、内容の精度が非常に高く、妥協を許しません。ところが、苦手な分野に関して回避する傾向があります。なぜなら、嫌でも自分の不完全さを意識せざるを得なくなるからです。そのためでしょうか。人を褒めるのは苦手で、自分自身が批判されるのも嫌がります。そのため、高圧的な態度になってしまう傾向性があります。

このようなパターンの人は、周囲に完璧を求めるため、平常心を装っていますが怒りを溜め込んでしまいます。そして、やがて限界に達し、爆発するのです。家族の中にこのパーソナリティーの人がいると、とてもつらい思いをしてしまいます。なぜなら、絶えず批判と否定的な言葉にさらされるからです。そのため、幸せな気分を味わうことができなくなってしまいます。

実は、完全主義の人ほど、心の深いところに不安があります。完全主義の人の心には、「何をやっても十分ではない」「まだまだできるはずだ」という感情があり、何事もきちんとしないと不安になってしまうのです。それは、きちんとしないと、人から「評価されない」「愛されない」という思い込みからきています。

ですから、達成感を味わうことができず、安心感も持てないのです。完全主義の人は、いつも走り続けているため、次第に生活に疲れてきます。考え方においても、白か黒しかなく、自分や他者の曖昧な部分を良しとすることができません。しかし、とても真面目です。

このようなパーソナリティーを形成している人の信仰のスタイルは、律法主義的な傾向があります。律法主義的な信仰は、自分が「裁かれるのではないか」という不安を抱いています。そればかりか、何をしても「受け入れられている」という安心感が持てません。他者から自分を受け入れてもらうために、物事をそつなく完全にやろうとします。

そのスタイルは、神様に対しても同じです。聖書を通して「私はあなたを愛している」というメッセージを聞いても、神様に愛され評価されるために頑張ってしまうのです。そして、精神的にも霊的にも疲弊してしまいます。

このような人への対応として大切なのは、「~はこうしなければならない」という考え方を修正することです。イエス様から愛されているという事実の中で「こういうふうにしたい」という考え方に修正することです。つまり、自分自身が「こうしたいのだ」という方向に修正することを意味します。それは、義務的、機械的にするのではなく、「そのように主の前にさせていただきたい」と願いを持つことです。それだけでも随分変わってきます。

もっと大切なことは、パウロがローマ書8章で語っている「御霊の法則の原理」の恵みに立つことです。律法主義には何らかの基準が存在し、その基準に合うと受け入れられていると感じるのです。しかし、私たちは、イエス様によって100パーセント全き者として受け入れられています。そこから、歩みが始まるのです。

イエス様に100パーセント全き者として受け入れられているところから始まる歩みは、御霊の原理によって生きる生き方です。新改訳では「いのちの御霊の原理」(ローマ8:2)と表現しています。しかし、私たちの心は、律法主義的な傾向に影響を受けているものです。そのため、頭では理解していても、心では無意識に反応する自分が存在します。

どんな反応でしょうか。もう一度繰り返しますが、律法主義的な反応です。例えば、私たちは物事を見聞きしたとき、「~はこうあるべきなのに」と反応している自分がいるはずです。また、「あの人はいつもこうだ」と反応している自分もいるはずです。こうして、私たちは「この人はこういう人だ」と断定していることが少なくありません。

実は、この反応こそ認知の歪みです。これが、核信念の影響なのです。私たちは、この歪みを修正しなければなりません。これは、決して人のことではありません。自分自身のことなのです。ここから解放されなければ、いつになっても律法主義的信仰に生きなければならないからです。

律法主義的な生き方は、よく人を裁きます。自分が常に正義だからです。物事の基準が自分だからです。誰でも、そんな人のそばにいたくありません。当然、人間関係も悪くなります。その結果、教会の交わりを壊しているのです。

本人は、なかなかその事に気が付いていません。やがて、教会生活や日常生活で息苦しさを感じてしまうものです。このような人は、息苦しさを感じ始めると、人の責任にしてしまいます。その上、そのような自分と向き合うのが苦手です。

認知の歪んでいない人は誰もいません。程度問題ですが。私たちは、自分自身と向き合い、認知の歪みを修正することです。もちろん、自分の力だけではなく御霊の助けをいただいて修正することです。そして、御霊の法則で生きる歩みをしたいものです。そこには、恵みが満ちあふれています。

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◇

渡辺俊彦

渡辺俊彦

(わたなべ・としひこ)

1957年生まれ。多摩少年院に4年間法務教官として勤務した後、召しを受け東京聖書学院に入学。東京聖書学院卒業後、日本ホーリネス教団より上馬キリスト教会に派遣。ルーサーライス神学大学大学院博士課程終了(D.Mim)。ルーサーライス神学大学大学院、日本医科大学看護専門学校、千葉英和高等学校などの講師を歴任。現在、上馬キリスト教会牧師、東京YMCA医療福祉専門学校講師、社会福祉法人東京育成園(養護施設)園長、NPO日本グッド・マリッジ推進協会結婚及び家族カウンセリング専門スーパーバイザー、牧会カウンセラー(LPC認定)。WHOのスピリチュアル問題に関し、各地で講演やセミナー講師として活動。主な著書に『ギリシャ語の響き』『神学生活入門』『幸せを見つける人』(イーグレープ)、『スピリチュアリティの混乱を探る』(発行:上馬キリスト教会出版部、定価:1500円)。ほか論文、小論文多数。

■ 上馬キリスト教会ホームページ
■ 上馬キリスト教会ツイッター
■ 【渡辺俊彦著書】(Amazon)
■ 【渡辺俊彦著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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