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星のかけら

【童話】星のかけら(12)アルムのなやみ・その1 和泉糸子

2016年11月15日19時03分 コラムニスト : 和泉糸子
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関連タグ:和泉糸子

アルムは人間の世界に行ってみたかったのです。

この前、あずまやの中でほんの少しの時間3人組に会ったけれど、もっと本かく的に旅をしてみたかった。ユキトって子に頼んでみようかな。あの子のおじさんは牧師さんだそうだから、カンサイさんのことを知っているかもしれないじゃないか。グリーはいいよな。お父さんもお母さんもそろっていて。ブランのように1人ぼっちじゃないけれど、ぼくもお父さんの行方が知りたい。

アルムは思いにふけっていました。

ぼくは、この新天地に来て平和にくらしているけれど、もしかしたら、お父さんは人間の世界で苦しんでいるのかもしれない。きっと生きているはずだ。でもお父さんの消息は分からない。病気になったり、けがをしたりして動けなくなったのかもしれない。あの時お母さんが苦しんでいたように。

おチカさんは元気だろうか。親切にしてもらったなあ。あのおばあさんは、ぼくたち小人のことを変な目で見ないで、弱っているお母さんをかいほうしてくれたし、ぼくのことも大事にしてくれた。

「ぼっちゃん、元気を出すんだよ。わたしゃあ、学はないけど、あんたたちのことをおかしくなんて思ってやしないよ。神様は大きい体も小さい体も、いいように作ってくださったのだから、きっと、あんたたちにも、いいことをたくさんしてくださるはずだよ」。そう言って世話をしてくれ、元気になったぼくたちを、行商の軽トラックに乗せて、カンサイさんの所に連れて行ってくれた。

カンサイさんはぼくたちを一目見るなり、山の中に連れていき、黄色い玉を取り出して、仲間のところに連絡をしてくれた。背の高い目の大きい、いくつなんだろう、年齢不詳(ねんれいふしょう)のおじさんだった。大きな声でよく笑い、ぼくたちをはげましてくれた。あの人は牧師さんだと、ビタエ様が教えてくれた。でもそれ以上のことは分からない。

ビタエ様はお父さんを探(さが)す旅をゆるしてくださらないにちがいない。変な人間に見つかったらどんなことになるか、ぼくだって知っているけれど、もうすぐぼくだって大人になる。そんな予感がしているから、今のうちにお父さんを見つけに行きたい。

ぼくたち小人は、毎年、1つずつ年をとるというんじゃなく、ある期間同じじょうたいが続いて、急に大きくなる。体がじゃなくて、年がということだけど、竹の子がにょきっと大きくなるように、急に大きくなる。気がついたら大人になっている、そんな感じなのだけど、今じゃないけど、もうすぐという予感がする。そうなったら、もう子どものようにのんきにしてはいられないじゃないか。この新しい国では働き手がたくさん必要だということは、ぼくだって分かっている。

おチカさんは山のふもとに住んでいた。田んぼや茶畑のある、のどかな田舎(いなか)で、軽トラックに品物を積んで、売る仕事をしていた。お年よりが多くて、バスも無いし、お店も遠い。そんな不便な土地だったから、おチカさんの軽トラックの周りは、お年よりの社交場になっていた。おチカさんは世話好きで、初めて会った人ともすぐに仲良くなった。

そんな土地だったから、ぼくたち小人もかくれて住んでいることができていた。ぼくたちは、旅を続けてようやく、落ち着けそうな場所にたどり着いたと思ったのだけど、その生活もあまり長く続かなかった。人間は少なかったけれど、山には動物がいた。ネコもたくさんいたし、たぬきやイノシシまでいた。カラスもいた。ぼくらのように体の小さい者はこういう動物がとてもこわかった。

お母さんは、ぼくに飛びかかってきたネコに体当たりして、つめを立てられてたおれてしまった。その時お父さんがいてくれたら良かったのだけど、新しい土地を探そうとして出かけている間の出来事だった。

けがをしたお母さんを見つけて手当てをしてくれ、自分の家に連れて帰り、世話をしてくれたのが、おチカさんだった。おチカさんの周りには、いつも友達が集まってきて、家の中は老人のいこいの家のようだったけれど、ぼくたちのことは秘密にして、こっそり納屋(なや)の中にかくしてくれた。

「朋輩(ほうばい)が多くて、ざわざわしとるけど、だーれにも内しょにしとるから、心配せんでええよ」。そう言って、食べ物や飲み物を運んでくれ、あたたかい寝床(ねどこ)も用意してくれ、お母さんのきずの手当てを毎日してくれた。

お母さんの具合がよくなるとすぐに、軽トラックに乗せ、カンサイさんの所に連れて行ってくれたのは、そういう友達のいっぱい集まる家だったから、だれかに見つかって、うわさになると気の毒だと思ったからなのだろう。

ぼくもお母さんも、お父さんのことが気になったけれど、おチカさんが、お父さんを見かけたら、カンサイさんの所に連れて行ってくれると約束してくれたので、お母さんもなっとくしたのだった。でも、それから、何の音さたもない。

カンサイさんに会えたら、おチカさんのことも分かるだろう。ユキトに連絡して、調べてもらおうかなと、アルムは思いました。

ユキトの家は9階建てのマンションの6階にありました。車の通りのはげしい大通りから、少し入ったところにあったけれど、リビングの窓からは車の行き来が見わたせました。でも音はほとんど聞こえません。マンションのエントランスからも家の前の入り口からも、チャイムをおしてやって来る人の様子はテレビモニターで見ることができます。そういう安全なつくりになっていたから、パパやママが留守の時でも、ユキトはこわくありませんでした。おまけにかしこい室内犬のチワワがいました。

パパは東京の会社に勤めていて、帰りがいつもおそくなります。ママは病院の看護師をしているから、勤務時間が不きそくでした。そういうわけで、今日もユキトは1人で留守番をしていました。夕食はレンジでチンすれば食べられるようになっていたので、もう1人で食べてしまいました。4年生になってからは、1人でやることがふえてきました。チワワのポルテのえさやりもユキトの仕事でした。

ああ、たいくつだなあ、テレビの録画したのを見ようかなと思っていたら、「ユキト、聞こえるかい、アルムだよ」という声がしました。「そばにだれかいる?」

「いや、ぼく1人」「じゃあ、そっちに行ってもいい? 赤い玉を用意してくれたら行けるよ」

ユキトが大急ぎで赤い玉に貝がらをセットすると、ボオッと光の道ができて、アルムがそばに立っていました。

ワオーン、ワン、ワンとポルテがほえました。「えっ、犬がいるの?」「こら、ポルテ、おとなしくしろ。アルムはぼくの友達だ」。そう言うと、ポルテはしっぽをふって、おとなしくなりました。

「こいつは利口な犬だからぼくの言うことを聞くんだよ。大丈夫。悪さはしないから。それにケージに入っているから外には出られないよ」。アルムにとって、犬はきょうふの的だったけれど、ぐっとこらえて、できるだけ遠くにはなれて立っていました。

「カンサイさんってどこの牧師さんなの?」
「わからないけど、あの山のことを良く知っていた」
「そこって月山さんがきれいな色のかけらを見つけたところの近くなのかな?」
「たぶん」
「ほかに何か手がかりは?」
「背の高い、声の大きい、よく笑う、あせかきの人。顔は童顔」
「それだけ?」
「おチカさんという行商のおばさんの親せきらしい。おチカさんは田舎の山の中に住んでいた。大きなたきが近くにあったと思う。そこから、トラックで1時間くらい走って、カンサイさんの車に乗りかえた。途中で富士山(ふじさん)を見たけど、あれが富士山だよってカンサイさんが教えてくれた。でもつかれて眠っていたから、途中のことは良く覚えていなくて」
「おチカさんの住んでいた町の名前わかる?」
「分からないけど、色川という川があった」
「カンサイさんは教会のこと、何か言ってなかった?」
「そう言えば、教会堂を建てるのにぼ金を集めているって。それでお茶も売っているんだって。親せきの人がそのお茶を作っていると言ってたなあ。そのお茶の名前が、川の名前と同じで色川茶っていうんだって。カンサイさんは東京の神学校を卒業したと言ってた。それくらいしか分からないけど、調べてくれる?」

ユキトはアルムの話を聞いてとても同じょうしました。お父さんを探すのを手伝ってという頼みごとをアルムがしてくれたのもうれしくて、小人のアルムと、本物の友達になれた気がしました。雲をつかむような話だけど、アルムのお父さん探しを何とか手伝ってあげようとユキトは決心しました。

アルムはめずらしそうにマンションの部屋の中を見て回りました。田舎の家しか見たことがなかったそうで、窓の外を見てびっくりしていました。背が低いので、ユキトがかかえて見せてあげたのだけど。そして、小さなお皿に入れたアイスクリームをごちそうして、アルムにたいそうお礼を言われました。初めて食べて感動したのだそうです。

もうすぐママの帰る時間なので、アルムは帰って行きました。お土産にプリンを1つあげました。グリーとブランと3人で食べてねと言って。(つづく)

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◇

和泉糸子

和泉糸子

(いずみ・いとこ)

1944年生まれ、福岡市出身。65年、福岡バプテスト教会で受洗、後に日本基督教団の教会に転入し、Cコースで補教師試験に合格。96年より我孫子教会担任教師、2005年より主任担任教師となり、20年間在職。現在日本基督教団隠退教師。九州大学文学部卒業。東京都庁に勤務後、1978年より2002年まで、船橋市で夫と共にモンテッソリー教育を取り入れた幼児教育や、小中学生対象の教えない教育という、やや風変わりな私塾(レインボースクール)を運営。(2017年7月17日死去、プロフィールは執筆当時のものです)

【執筆者からのコメント:童話「星のかけら」は、小学生の孫のために書いたものですが、教会学校の子どもたちが少なくなっている今、お話を通して教会や神様に少しでも出会える場が与えられればうれしいです】

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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