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【寄稿】みこころの味 ―敬愛するY兄を記念して― 大坂太郎

2016年9月16日15時53分 執筆者 : 大坂太郎
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知らせを聞いた刹那、ぼくの心は14年前に居た場所に引き戻された。2002年2月某日、ぼくは1人の兄弟(以下Y兄と記す)と食事をしていた。2回にわたるシンガポール留学でずっとお世話になった、主にある兄弟である。

Y兄は有名企業に務める生粋の企業戦士、ぼくはといえば風来坊の留学生にして行儀見習い中の神学生だった。アルファロメオのエンジン音を響かせて教会に来、歯に衣着せず本質をついた議論をするときのコワモテと、時折見せる一寸はにかんだような愛くるしい笑顔のギャップが何とも魅力的な兄弟だった。

そんなぼくらが信仰の歩みを共にした、北緯一度の南の島の教会で「事件」は起こった。皆に慕われていた主任牧師のK先生がすい臓がんで倒れたのだ。手術によって一時は持ち直したが、がんの進行は止まらない。教会員は祈った。彼も、ぼくも、みんなで祈った。

しかし先生の病は治らない。先生は講壇の奉仕をやめないという。危なっかしくて見てられない。「座ってやったらどうですか」という役員会の提案も断固拒否。業を煮やしたY兄は「先生、これ以上ぐらついたら、即中止ですよ!」と言い放った。

そして神学生として先生の近くに座っているぼくに向かってぶっきらぼうにこう言った。「そうなったら、よろしくな!」。くるりと踵を返し、いつもより少し強めに礼拝開始の鐘をならすY兄の背中に、師に対する愛と敬意を見た気がした。

どうにかこうにかその日の礼拝は終わった。その日だったか、その前後だったかは定かでない。しかしその前後でY兄と食事をした。現地の屋台常連の私には全く似つかわしくない、オーチャードロードのショッピングコンプレックスにある、とある小奇麗(こぎれい)なタイ料理のレストランだ。

当然のことだがどれも皆おいしい。しかし会話は弾まない。食いしん坊のぼくでさえ、だ。名物のカオ・パッ・サッパロ(パイナップル炒飯)が出てきた。その時だった。「大坂さん・・・『みこころ』って何なんだろうね」とY兄がつぶやいた。やりきれない思いが伝わってきた。

しばらくの沈黙の後、こう答えるのがやっとだった。「みこころって・・・何でしょうね。うーん・・・ぼくにも分かりません」。どちらともなく皿に手を付け、無言のままパイナップル炒飯を頬張った。その味は甘く、酸っぱく、そしてちょっとだけ涙の塩気が効いていた。

Y兄が大腸がんの肝転移で59歳の生涯を終えられたという知らせを聞いたとき、兄の笑顔と、叱咤(しった)と、苦しみの中でつぶやいた究極の信仰の問いと、そしてあの日テーブルの上に載っていたパイナップル炒飯を一気に思い出し、ぼくはオフィスのディスプレイの前で突っ伏して泣いた。

そして昨日。Y兄の名によって招集された数百名の礼拝者のただ中で彼は証しを立てた。未来を見据え、次世代のために生き抜く勇敢にして優秀な企業人として、また真実に生きるキリストの弟子としての生き方を、その59年の生の全てで立証したのだ。

そして献花の時。デニムのカジュアルシャツを着、あの日のようにはにかんだように笑うY兄の遺影を前に、ぼくはそっとつぶやいた。「Yさん、みこころって・・・甘く、酸っぱく、一寸しょっぱい。そんな感じですかね」。敬愛するK先生とともに、御国で安らいでいるY兄に、14年越しの宿題の答えを返せた気がした。

「彼は死にましたが、その信仰によって、今もなお語っています」(へブル11:4)

(8月31日)

◇

大坂太郎

大坂太郎

(おおさか・たろう)

日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団山手町教会牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:大坂太郎
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