聖書をメガネに 本紙の記事執筆について・その3:性に関する記事の執筆について 宮村武夫

2016年7月9日23時14分 執筆者 : 宮村武夫 印刷
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本稿第1回では、聖書をメガネに本紙の記事執筆について総論的な基本理解を提示し、第2回では、その基本的総論的な理解に立ち、各論としてカトリック教会に対する態度を取り上げました。

その際、記事の対象と記者の人格的信頼関係が最も重要な記事執筆の基盤であるとの本紙の理解から、実例として上智大学神学部の恩師ペテロ・ネメシェギ神父と筆者との文通を取り上げました。

今回は、各論の第2として、性に関する記事の執筆について2つの面から「聖書をメガネに」の方法と実践がどのようなものか紹介します。

(1)性に関する記事の聖書における位置

まず第一に注目したいのは、創世記1章27節「神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された」です。

聖書は、人間を「男と女」とに創造されたと、男性と女性、つまり「性」と人間存在の本源との関わりを明示しています。ですから、「性」を軽視したり、ましてや無視することは許されません。小紙の性に関する記事執筆の全ては、この「性」の重要性に基づきます。

同時に、見逃し得ない聖書の視点があります。それは、男性、女性の違いや関係を絶対視せず、女性と男性との性別を越えて「人間」そのものに重点が置かれている事実です。

実例の1つに、マタイ22章23節以下に見る「復活についての問答」の記事があります。男性と女性の違いと関係のみで全てを判断しようとするときに直面する根本的な行き詰まりからの解き放ちを示唆しています。男性と女性の違いを越え、「めとることも、とつぐこともな」い「人間」存在そのものに焦点を合わす道です。

軽視や無視でも、また絶対視でもなく、1人の人間存在そのものの尊さに目を注ぎつつ、目前に生きる人の性に関わる現実の全体を見、記述するのです。この「1人の人間である存在そのものの尊さ」を根底から支えるのは、真の人となられた真の神であるイエスご自身です。このお方との関係を第一に「性に関する記事」を記述する道を本紙は進みます。

(2)ガラテヤにおける割礼問題からの示唆

ガラテヤ人への手紙において、「割礼」をめぐり鋭く対立する論争が展開されていると、多くの場合、受け止められます。確かにそのように見えます。

しかし、著者パウロ自身は、「キリスト・イエスにあっては、割礼を受ける受けないは大事なことではなく」(ガラテヤ5:6)と、論争の争点を相対化しています。そして、最重要点は、「愛にあって働く信仰だけが大事なのです」と明言します。

さらに手紙の結びの部分で、「割礼を受けているかいないかは、大事なことではありません」(6:15)と再度強調し、「大事なのは新しい創造です」(6:15)と本来の大道を指し示します。

以上に見る、何が相対的で、何が絶対的で最重要であるかの区別は、私たちが直面している性をめぐる見解の違いに基づく行き詰まりから解き放たれて「愛にあって働く信仰」からくる1人の人間の徹底的な重視、そしてイエス・キリストの再臨における新しい創造の希望に立ち、全ての状況において忍耐しつつ性に関する記事を書く営みを励ましてくれていると見ます。

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宮村武夫

宮村武夫(みやむら・たけお)

1939年東京深川生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部(組織神学)修了。宇都宮キリスト集会牧師、沖縄名護チャペル協力宣教師。クリスチャントゥデイ編集長兼論説主幹。

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