クリスチャンの国でなぜ? 青年らが「ルワンダ大虐殺」を考える

2016年7月2日07時12分 記者 : 守田早生里 印刷
+クリスチャンの国でなぜ? 青年らが「ルワンダ大虐殺」を考える
ナビゲートをした日本国際飢餓対策機構(JIFH)職員の福地麻美さん=6月25日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)のJIFH東京事務所で

海外の自立開発や教育の支援を行っているキリスト教国際NGO「日本国際飢餓対策機構」(JIFH)が6月25日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)にある東京事務所でイベント「ルワンダへ旅をしながら」を開催した。東京近郊の20代を中心とした青年ら約20人が参加。多くが教会につながるクリスチャンだが、友人と共に来たというノンクリスチャンの姿もあった。

1994年に国内情勢が急激に悪化したアフリカ中部の国、ルワンダ。ツチ族とフツ族の間で争いが起き、大規模な虐殺につながった。たった100日間で、80~100万人の国民が命を落としたとされ、その数は人口の1割以上にも上った。国民の8割がクリスチャンだというこの国で、なぜこのような大虐殺が起きたのか。この日、会場に集まった若者たちが真剣に語り合った。

イベントをナビゲートしたのは、JIFH職員の福地麻美さん。2011年1月にルワンダを訪れ、その様子を映像を交えて紹介した。福地さんがルワンダを訪れて驚いたのは、街がとてもきれいだったということ。ゴミが1つも落ちていなかったというのだ。「これは、国策で掃除の日が定められているためです。掃除をしないと罰金の対象にもなり得るほど厳格で、スーパーなどでは、ビニール袋も禁止。空港では、ビニール袋を持っていると、没収の対象になります」と説明した。

ルワンダの歴史は、常に紛争と共にあった。1918年、ベルギーの統治下に置かれ、植民地に。62年に独立するも、紛争が続き、93年にやっとルワンダ政府と反政府勢力であったルワンダ愛国戦線(RPF)の間で停戦を定めるアルーシャ協定が結ばれた。しかし、翌94年に当時の大統領が暗殺されると状況は一変し、「ルワンダ大虐殺」の引き金となった。

「それまでの紛争では、『教会に逃げ込めば、命は助かる』とされていたため、この時も多くの人が教会に逃げ込みました。しかし、この虐殺では、それまで仲が良かった隣人が、突然、部族の違いから敵になるといったことが起きたため、神父様が教会に集った信徒をブルトーザーでひき殺すといったことが起きました。プロテスタントの教会でも、集った多くの人の中に手りゅう弾を投げ込んで、一度に多くの人の命を奪うということが起きました。また、25万人の女性がレイプされたといわれており、約2千人もの父親不明の赤ちゃんが誕生しています」

映像では、約1万人の人々が殺害されたとされるニャマタ教会の写真が映し出された。多くの頭蓋骨。赤ちゃんも投げ殺されたとされ、いまだに血の跡が残る壁。目を覆いたくなるような写真でも、参加者たちは皆、しっかりと目に焼き付けるように見入っていた。

クリスチャンの国でなぜ? 青年らが「ルワンダ大虐殺」を考える
参加メンバーが作ったルワンダ料理。異国情緒漂うルワンダ料理を試食した。

映像の後に、ディスカッションの時間が設けられた。テーマは、「国民の8割がクリスチャンだとされるルワンダで、なぜこのような悲劇が起きたのか」。それぞれのグループでは、「クリスチャンの多い国では、意外と戦争が多い。聖書では『裁き』を禁止しているにもかかわらず、クリスチャンの心の中には、『排除』する気持ちが強いのでは?」「『ガチ』なクリスチャンは少なかったのでは? ベルギーの植民地だったことで、形式的なクリスチャンがいたのではないか」といった意見があった。

JIFHがルワンダの各教派の聖職者に話を聞いたところ、カトリックの司祭は「カトリック教会は、国家権力と非常に近い関係にあったため、正しい対応ができなかった」と話し、聖公会の司祭は「儀式をきちんと守ってさえいれば、立派なクリスチャンだと考えていた」と話していたという。また、プロスタントの牧師は、「互いに愛し合うことが欠けていた。当時は救い、天国への希望など、霊的な事柄のみに関心があった」と話し、福音が歪め狭められ、委ねられた使命に生きてこなかったことがうかがえたという。

JIFHが、その活動の一部を支援している現地のキリスト教NGO「REACH」 (Reconciliation Evangelism Christian Healing)を視察した様子も紹介された。REACHでは、聖書に基づくカウンセリングを行い、夫を殺害された女性と加害者、または加害者の妻らが共同作業などを行い、加害者は自分たちの犯した罪を認め、被害者のために家を建てるというプログラムを実施している。映像で登場した被害者のAさんは、自分の感情を全て吐き出したこと、加害者たちと一緒に共同作業する中で仲間意識が芽生えたこと、彼らの涙ながらの謝罪に彼らを受け入れようとしたことなどを話した。

また、Aさんは聖書から「だから、キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました」(Ⅱコリント5:17、18)を示し、「今は神様によって、憎しみから解放されました。謝罪ができていない加害者は勇気を出して謝罪を」と話した。

この日、スペシャルゲストとして証しをした金子涼子さんも、数年前にルワンダを訪れた。訪問のきっかけには、事故による親類の死があった。突然の事故で、親類の命を奪った加害者に対する怒り、周りの人たちに対する疑いは、金子さんを苦しめた。ルワンダの大虐殺で愛する人を失った彼女たちなら、自分の境遇を理解して、何か分かち合えるのでは、とルワンダに行く決心をした。

「生きる意味を探している」彼女たちと出会い、「父よ、彼らをお赦(ゆる)しください」と祈るようになった。そして、イエスの心を持てるように祈ったのだという。「人を赦すことは難しいです。しかし、イエス様の心を思い、祈っていくことで、自分自身も変わっていけます」と話した。イベントの最後には、ルワンダ料理が用意され、皆で味わいながら交わりの時を持った。

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