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聖山アトス巡礼紀行

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人

2016年6月25日22時08分 コラムニスト : 中西裕人
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関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス

聖堂には、ろうそくの灯だけ。なんとか足元に目を凝らし、イコンに口づけする。徐々に修道士たちが定位置に着き、声を合わせ始めた。修道士の数に圧倒されながら、巡礼者の数も相当数で、大祭日の様相が見えてきた。

聖堂内は、修道士の数にも増して、巡礼者の数も多く、主聖堂に入りきらず、その前堂にも溢れるほどだった。そして、その巡礼に訪れた人々を、修道士たちは丁寧に「こちらへどうぞ」と聖堂内へ案内し、迎え入れているのも印象的だった。

巡礼者はそれぞれ目を閉じ、何かを感じているように見えた。ある者は天を仰ぎ、聖堂のドームに描かれたフレスコ画を見つめ、またある者は壁一面に飾られたイコンへ口づけする。

中には、修道士と声を合わせて聖歌を口ずさむ者、聖堂内での修道士たちの行動を見て、彼らを心から敬愛し、おそらく近くに神を感じ、それぞれが心の中の自分と会話をしている。そんな瞬間に思えて仕方なかった。

これは、やはりギリシャ人の9割以上が正教徒であり、生まれてすぐに洗礼を受け、自分たちの生活の根幹に祈りや教えというものが根付いていることの表れなのだと思う。彼らにとっては当たり前のことなのであろうが、多くの日本人にとっては到底考えられない光景でもある。

数多くのろうそくが光を発し、聖堂内のきらびやかな金の装飾と反響し合い、驚くほどの明るさを感じる。その色味がとても柔らかく、温かく、多くのイコンにも光が照らされ、そこに映る尊き聖人たちもまるでそこにいて、一緒にこの日を迎えているのではないかと思えるほどである。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
聖堂に立ち並ぶ輔祭

聖堂中心部には、シャンデリア(燭台)が吊り下げられている。神の栄光を表し、輪の周りには12使徒のイコンが配されている。大祭日のこの日は、修道士が専用の棒で十字に4カ所の取っ手を順に引っ掛け、大きく揺らすのである。

聖歌を歌う修道士の声も徐々に大きくなり、反響し、それは、それは、息を呑む瞬間であった。これは、天使の来臨を意味しているものであるという。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
シャンデリア(燭台)

その下には、修道士たちの霊的指導者である修道院長(イグーメノス)が鎮座し、教会をつかさどる聖杖を携えて祈りを導く。この修道院長の下に、全ての生活の中で、厳格な規律、組織化がなされる。

修道院長は責任者でもあり、修道士たちはその都度、確認や許可を得て日々を過ごしているのも特徴である。実際に撮影の許可も、やはりこの院長の許しをまず得ることが必要となる。

そして、圧巻なのが、この日のために各修道院から訪ねた司祭が、一斉に至聖所から出てくる瞬間である。主聖堂の中心に円を描き、刺しゅうの施された三角形の祭服(フェロン)をまとう。これはキリストの受難、十字架につけられた苦しみを背負うことを意味しているのだという。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
フェロンをまとった司祭たち

祈りは夜9時から翌2時ごろまで続いた。すると一度食堂(トラペザ)へ案内された。軽い軽食と飲み物が振る舞われるのである。ここで少し、ホッとした瞬間が訪れた。

日本の祭りでも、御神酒所(おみきしょ)の横でお酒を振る舞われることがあるが、まさにそれと同じ感覚で、巡礼者たちもこぞって飲み物を手にし、特に歌い続けた修道士たちは、この時はとばかりに飲み物を口にする者が多かった。

数分その時間を過ごし、また、みな聖堂へと移動し、聖歌が鳴り始めた。

深夜3時、約束の時間が来た。再びあの料理長のいる食堂を目指した。すると、違う修道士が火のついた大鍋を振るい、煮込み料理を作っていた。味を確かめながら、調味料などを加え、納得の表情。その後、料理長の味のチェックを受ける。この調理場でも、しっかりとした組織化がなされていることを感じた。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
料理人

時間は明け方5時過ぎ、聖体礼儀が始まる。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
大聖入

聖体となったパン、聖血となった赤ぶどう酒を口にする。この日、多くの巡礼者たちが最も待ち望んだ、神と一体となる瞬間である。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
領聖

明け方7時ごろ、修道院長から参列者全員が一かけらのパンを頂き、聖水を飲んで終了した。それまでの時間、約10時間。彼らは身も心も神と向き合い、祈りを続けたのである。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
徹夜祷に参列した全員にパンを渡す修道院長

外へ出ると、空は青みが強く、少しひんやりし、祈りの時間を終えた人々には心地よく感じる瞬間なのだと思う。祈りを終え、清々しく心満たされた巡礼者たちは、中庭に出て握手をしたり、ハグをし合ったりした。

その後「ゴーン、ゴーン」と大きな鐘の音が鳴り響く。修道院自体が森に囲まれているからか、その音は停滞し、近く、そしてかなり大きく感じたのを今でも覚えている。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
中庭

この鐘の音は食事の合図でもあり、みな食堂へ通された。そこには、深夜を徹して食事を準備したあの修道士の料理が華やかに並ぶ。食べ始めた修道士たちがご馳走を口に運ぶ軽やかな手の動きから、彼らがこの日の料理を待ちわびていたことを感じ、私としては少しホッとした瞬間でもあった。

この喜びに満ちた食堂の修道士たちの姿を見ながら、祈りの列には参加しなかったが、料理を作る担当修道士たちは、厨房の中できっとそれぞれが祈り、神、修道士たち、巡礼者たちを思い、作業に当たっていたのだろうと感じた。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
食堂 ご馳走を頂く修道士たち

食後、修道士たちが向かった先とは・・・。

聖山アトス巡礼紀行(10)フィロセウ修道院の大祭日・その2~祈りの後に 中西裕人
食後また、聖堂へ向かう

彼らの生活において、祈りの時間がない日はない。同じように、これまで通り日々の祈りへ向かうのである。千年を越えても、彼らの祈りは普段通り、今日も絶えることなく続く。

次回予告(7月9日配信予定)

これまで紹介できなかった修道士の食事、また料理についてお話しします。お楽しみに。

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◇

中西裕人

中西裕人

(なかにし・ひろひと)

写真家。1979年生まれ。東京都杉並区出身。日本大学文理学部史学科卒。外苑スタジオ勤務後、雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)専属フォトグラファーを経て独立、雑誌、広告、webを中心に活動中。2014年に洗礼を受ける。父は日本ハリストス正教会司祭であり、年に数回共にアトスを訪れ修道士の生活などに密着した取材を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス
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