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“福島の現実、伊方で繰り返してはならない” 「伊方原発をとめる会」共同代表・須藤昭男牧師

2015年11月6日17時47分 記者 : 行本尚史
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関連タグ:原発
“福島の現実、伊方で繰り返してはならない” 「伊方原発をとめる会」共同代表・須藤昭男牧師+
四国の西北端から西へ細長く伸びた佐田岬半島の瀬戸内海側にある、四国電力伊方原子力発電所=10月31日、同発電所の正門前付近で撮影

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に、同県の中村時広知事が10月26日に同意してから6日後の1日、同県松山市で「STOP伊方再稼働!全国集会 in 松山」が開かれた。知事の同意に対し抗議声明を出していた「伊方原発をとめる会」が主催したもので、同会共同代表で福島県出身の須藤昭男牧師(インマヌエル綜合伝道団松山キリスト教会)は10月31日、本紙とのインタビューに答え、旧約聖書のエレミヤ書などに触れつつ、「福島の現実を伊方で繰り返してはならない」と強調した。

2011年、東日本大震災と福島第1原発事故で松山にも福島から多くの避難者が訪れ、須藤牧師は「何とかしなければという現実」を目の当たりにした。そして、地元にある伊方原発を何とかして止めなければならないと考え、同年に「伊方原発をとめる会」の共同代表に就任した。

同会の設立には多くの同志が加わり、須藤牧師は1338人の原告団の共同代表として、同年12月、四国電力を相手に松山地方裁判所で伊方原発の運転差し止め請求訴訟を起こし、140人の支援弁護団の下で法廷闘争をしている。この訴訟の意見陳述書でも須藤牧師は、「福島を繰り返してはならない、唯(ただ)この一つの願(ねがい)で『伊方原発運転差止請求原告』になった」と記している。

「それまではこういう問題には全く関心がなかった」と言う須藤牧師。しかし、東日本大震災後に故郷の福島を訪れた須藤牧師は、地震と津波、そして原発事故に見舞われた福島県浪江町は「死の町」と化し、「あそこには帰れない」とつけ加えた。

「クリスチャンというのは、現実の諸問題と向き合う現代の預言者だ」と話す須藤牧師は、旧約聖書の預言者エレミヤが「時の政治権力と闘った」と語った。

“福島の現実、伊方で繰り返してはならない” 「伊方原発をとめる会」共同代表・須藤昭男牧師
「STOP伊方再稼働!全国集会 in 松山」で閉会のあいさつをする須藤昭男牧師。赤いネクタイは福島第1原発事故で死んだ人たちの血、愛媛県宇和島産の真珠のネクタイピンは、福島の人たちの涙を表すという=1日、城山公園やすらぎ広場(愛媛県松山市堀)で

74歳になる須藤牧師は1964年、千葉商科大学の学生だった当時、政治や経済に絶望していたところに、市川市八幡の駅前で路傍伝道していたある人に声を掛けられて教会へ行くようになった。「エレミヤは神の言葉を語って闘った預言者だ」と、その教会の牧師が語っていたのに感銘を受けたという。

須藤牧師は原発について、「難しいことは分からないが、福島の現実を見てください」と強調する。「福島では自殺者が増えている」と指摘し、「コントロールされているなんて、よく言ったものだ」と、2013年に国際オリンピック委員会で安倍晋三首相が福島第1原発の汚染水の現状について語った発言を批判した。

10月20日には、ドイツ・エコ研究所の物理学者であるクリストフ・ピストナー博士が愛媛県八幡浜市で行った伊方原発をめぐる対話集会を聴きに行ったという。

「ドイツは福島の3・11以後大きく舵を切り、脱原発に向かっている。しかし日本は、広島・長崎・第五福竜丸、そしてスリーマイル(米国)・チェルノブイリ(旧ソ連)、そして3・11の福島を体験、甚大な被害を受けながら再稼動を目指す。この違いはどこにあるのか。考えさせられ、大きな祈りの課題です」と須藤牧師。「日本はこれほど被害を受けながらも学ぼうとしない」「エレミヤが求めたのはリバイバル。本当にここで悔い改めて、豊かさとは何なのかを考える必要がある」と力を込めた。

須藤牧師は、「やっぱり、人間というのは手を付けちゃいけない禁断の実がある」と、創世記のアダムとイブの物語に触れながら、原発で「誘惑と貪欲、豊かさ、快楽を求めて」いる人間の在り方について語った。そして、「(原発は)神様の恵みとか言う人がいるが、土に返らないものはダメ。(核)廃棄物はどうにもならない」と厳しい表情で語った。

伊方原発運転差し止め請求訴訟について、「ぜひ勝訴したい」と言う須藤牧師は、原発問題に対する運動について、「継続してやっていくことがとても大事。福島を忘れちゃいかん」と強調する。

「伊方原発の地元の町で行われた再稼動に関する住民はがきアンケートの結果は、『賛成27%、反対51%、どちらともいえない22%』なのです。この22%の人たちの心配は『仕事がなくなるのでは』ということなのです。ですから原発反対と共に、稼働停止の後はどのようになるのか、廃炉作業が完全に終わるまでの原発の固定資産税、今までの交付金などを含めて『稼働停止後の伊方町と佐田岬の青写真』を具体的に提示するにはどうするか。このことを提示することのない『伊方原発運転差止』では、22%の人々の不安は解消されない。原発反対運動の中でこのことを具体的に立案するにはどうすればいいのかが今の大きな悩み、祈りの課題です」と須藤牧師は言う。

また、「伊方原発が事故を起こせば、瀬戸内海の海の幸が壊滅的な打撃を受け、おいしいミカンは全滅、文化の香りに染む遍路道には人が途絶え、天下の名湯・道後温泉に観光客は訪れるでしょうか」と懸念する。

松山に移り住んで43年。松山は「第二の故郷」だと言う須藤牧師は、「原発の幸せは一炊の夢。本当の幸せの木(再稼動を阻止、廃炉から始まる具体的地元の経済対策)を植えなければならない。福島から学び、本当の豊かさ、幸せをもたらす施策が必要なのですよ」と言う。

須藤牧師は、2012年8月に日本基督教団松山教会で行われた「平和の集い」で、原発問題について講演している。「教会は、『主イエス・キリストの救いを伝え、一人の人を救いに導く』、このことを絶対に忘れてはならないのです。しかし、クリスチャンは現代の預言者。牧師やクリスチャンは政治の動向、社会の動き、社会問題と向き合うことを忘れてはならないと思います。この二つを聖書的に正しく捉えていかなければならない」と須藤牧師は語っていた。

また須藤牧師は、現在は自らの教会を挙げて原発問題に取り組んでいるわけではなく、「福島県出身・牧師須藤昭男」として取り組んでいると付け加えた。(続く)

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