愛による全面受容と心の癒やしへの道(64) 峯野龍弘牧師

2014年9月1日21時56分 コラムニスト : 峯野龍弘 印刷
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第5章 心傷つき病む子どもたちの癒やしへの道
Ⅲ. アガペーによる全面受容の癒やしへの道
2)アガペーによる全面受容の癒やしが成されるための具体的な道
■ 癒やしへの具体的な道
⑥ 決して是々非々を言わず、正論をもって抑圧せず

さて、次に心掛けねばならない大切なことは、心傷つき病んでしまったウルトラ良い子たちを癒すためには、決して是々非々を云々したり、正論をもって説き伏せようとしたりしてはならないということです。

とかく多くの善良な両親たちや周囲の人たちは、その子どもの異常にさえ見える日々の言動を見て、それは精神的病か、どこかに先天的な障害を持っているのか、さもなければ結局のところは、この子の極度の甘えやわがままによるものであると思い込んでしまうでしょう。

その日々の怠惰な振る舞いや、ただひたすら自分の要求ばかり繰り返し、両親や他人の言うことを一切聞かず、自己主張ばかりして、しかも自分のことは棚に上げ相手や他者のことは結構正論をもって厳しく裁く様子などを見て、それだけの正論を吐けるならお前もこのくらいのことは分かるだろうと、まさに正論をもってその子どもに畳みかけるように説き聞かせ、説得しようと試みてしまうものです。しかし、それはほとんど功を奏しません。のみならずかえって反発を呼び起こし、その子どもの心をよりかたくなにしてしまい、さらに事態を悪化させてしまうのが落ちです。

またせっかく「アガペーによる全面受容」を試み、それを続けたことにより以前に比べると大分癒やしが促進し物分りも良くなり、比較的穏やかに対話することができるようになったのを見て、これならばよかろうと思ってしきりに是々非々を説いて奨め正論をもって諭そうとすると、たちどころに今まで忍耐し受容し積み上げてきた労苦が、一切無駄になってしまったと思われるほど速やかに逆戻りしてしまうものです。この点において実に多くの両親やケアに当たる人々が、極めて苦い経験をしてきたことでしょう。この過ちを犯してしまったため賽(さい)の河原の石積みのように、積んではまた崩れ、更に積んではまたしても崩れてしまう悲しい経験を持っています。これではせっかくの「アガペーによる全面受容」の愛の労苦も水の泡になってしまいます。

ですから一旦「アガペーによる全面受容」を始めたなら、最後までこれを継続し続け決して中断してはなりません。真に素晴らしいことは「アガペーによる全面受容」こそが、かかる心傷つき病んでしまった子どもたちの「癒やしのための王道」であって、これは真理であり、確実な「癒やしへの天的階梯(かいてい)」です。この階段を一歩一歩登り、決して踏み外すことなく上り詰めたところに、安息と喜びと勝利に満ちあふれた「癒やしの完成」が待っています。そこで筆者は声を大にしてケアに当たられる皆さんにこう申し上げます。

「『アガぺー』し続けてください。あくまでも『アガぺー』を!『アガぺー』は決して失望に終わることはない!」と。

それにしても是々非々を言いたくなるのは、また正論を言いたくなるのは、癒やしがある程度まで進みつつあるときにやってくる両親やケアに当たる方々への「大なる誘惑」と言えましょう。どうかこの誘惑にくれぐれも陥りませんように!(続く)

峯野龍弘

峯野龍弘(みねの・たつひろ)

1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。

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