救いに導く信仰 ―あなたの信仰があなたを救ったのです―
 ルカの福音書7章36~50節
 
 [1]序
 
 ルカの福音書7章最後の部分を味わいます。まずこの部分全体の流れ・場面の展開をたどり、この箇所で何が中心になっているか見たいのです。
 
 [2]この箇所の流れ・場面の展開
 
 (1)登場人物
 ①「あるパリサイ人」
 彼が主イエスを食事に招く。主イエス、招きを受ける、36節。
 
 ②「ひとりの罪深い女」
 イ)彼女なりの事実の確認
 「イエスがパリサイ人の家で食卓に着いておられることを知り」(37節)。
 
 ロ)女の行為
 「御足」(主イエスの足)と三回繰り返し強調(38節)。
 
 ③パリサイ人
 女の行為を見て心ひそかに思う。パリサイ人の判断、主イエスについての理解に根本的な問題。
 
 (2)主イエスの宣言
 ①主イエスとパリサイ人
 イ)主イエス、パリサイ人シモンに言いたいこと。シモン、「先生、お話しください」と承知。
 
 ロ)主イエスのたとえ、41、42節。
 
 ハ)主イエスはシモンに問う。シモンの答え(42節後半、43節)。シモン、たとえについては正しい判断。
 
 ニ)女の行為とシモンの行為の対比(44~46節)。38節に見る女の行為を主イエスご自身が認めてくださる。
 
 ホ)事実判断(44~46節)から価値判断(47節)
 多くの罪が赦されている。なぜならよけい愛している事実のゆえに。44~46節に見る行為の相違は、愛の程度の違いであり、それは赦されている罪の多少にかかわる。
 
 ②主イエス、女に対して罪の赦しの宣言
 「あなたの罪は赦されています」(48節)
 
 ③いっしょに食卓にいた人たちの反応
 「罪を赦したりするこの人は、いったいだれだろう。」(49節)
 
 ④主イエス、女に再び罪の赦しの宣言
 「あなたの信仰が、あなたを救ったのです。安心して行きなさい。」(50節)
 
 [3]この箇所の中心、主イエス、罪の救しを宣言
 
 (1)主イエス、罪の救しを宣言
 ①48節、「あなたの罪は赦されています」。
 
 ②50節、「あなたの信仰が、あなたを救ったのです。安心して行きなさい」。
 
 (2)いっしょに食卓にいた人たちの反応
 ①「罪を赦したりするこの人は、いったいだれだろう」(49節)、神ご自身以外、人の罪を赦すことはできない(マルコ2章1~12節参照)。
 
 ②主イエスご自身こそ、人の罪を赦すことのできる、真の人となられた真の神。
 
 [4]結び
 
 (1)死からの解放(11~17節)、病や障害からの解放(22、23節)をもたらしてくださるお方であると共に、主イエスは罪の赦しを与えてくださる救い主。
 
 (2)神の国で一番小さい者(この場面に登場する女)
 ①罪を赦されている喜び
 
 ②主イエスを愛する思い、行為、生活、生涯
 
 (3)ナインのやもめ、22節にあげられている人々、さらにこの場面に登場する婦人のような人々を含む群れの広がり。
 
 罪の赦しの福音。罪の赦し→神と人との和解、平和。Ⅱコリント5章17~21節、ロマ5章1~11節参照。
 宮村武夫(みやむら・たけお)
 
 1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
 
 主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。
 
 







 
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                        








