米国の世俗主義者による団体「全米無神論者(AA)」がクリスマスを前に米ニューヨーク市街でクリスマスの世俗化を促進する巨大な広告看板を掲げている。無神論者らは、ただ家族が伝統的に信じてきた宗教としてイエス・キリストを信じているクリスチャンらに対し、「イエス・キリスト」という神話を捨てるように呼び掛けており、「名ばかりのキリスト教」を信じるのではなく、信仰者としてイエス・キリストを信じるキリスト者の姿勢が厳しく試されている。
広告看板には大きく「お祝いしましょう!神話は捨てましょう!」と書かれており、サンタ・クロースの嬉しげな顔が十字架につけられたイエス・キリストの上に描かれている。
AA広報担当者のテレサ・マックベイン氏は米クリスチャンポスト(CP)に対し、「この広告看板は戦略的にニューヨークで最も観光客の注目を集める『タイムズスクエア』に設置されました」と述べている。マックベイン氏は米メソジスト教会で20年間牧師として聖書を教え続けながらも、その後無神論に転向するに至っている。
さらに、AA会長のデーヴィッド・シルバーマン氏は「私たちはいわゆる『キリスト教徒』の大半は実際は神を信じておらず、ただ家族の伝統宗教の中に捉われているだけだということを知っています。神の存在が神話にすぎないと知っているのであれば、自分を偽って、クリスマスの季節だけ『クリスチャン』のように振る舞うのを止めたらどうでしょうか。神話なしにクリスマスを祝うことは可能ですし、実にそのようにするべきではないでしょうか」と伝統宗教の枠にとらわれた「名ばかりのクリスチャン」らに対し呼び掛けている。
シルバーマン氏は「私たちは人々が自分に偽らず正直になってご家族の皆様とお祝いされることを奨励しているのです。神を信じていないのであれば、そのことを正直に自分の家族に伝えるべきです。『正直』がもっとも偉大なプレゼントになるのではないでしょうか」と伝えたという。
マックベイン氏は、「クリスマスは実際宗教的な要素なしに楽しめる行事である」とし、「家族や友人と愛を分かち合える本当に美しいシーズンです。(クリスマスを祝うのに)神との関係は必要ありません。実にクリスマスは罪とかさばきというような、宗教的な背景が関わらないほうがより楽しむことができるのではないでしょうか」と述べている。
米国の無神論者らは毎年このような世俗主義を主張する幾多の看板を注目の集まるところに掲げており、クリスマスの季節に神を信じない人々が孤立しないように、また人々が実際クリスマスに宗教は必要ではないことを伝えようとしている。
昨年のクリスマスシーズンにはAAが米ニュージャージー州において、イエス・キリストをサタン、サンタクロース、ギリシャ神話の神であるポセイドンと比較する広告看板を掲げた。
この広告看板に対し、ニュージャージー州の主流派教会牧師は匿名で「イエス・キリストは他の3者とは異なる存在です。偏向した考えで凝り固まった人がイエスを他の3者と同じカテゴリーに分類してしまったにすぎません。イエスに対する個人的な信仰に欠けている人が、これら歴史上の宗教者や教師が信じていた存在と同列に並べてしまったのです」と述べている。
AAはこの広告看板を来年1月10日までタイムズ・スクエアに掲げ続ける予定であるという。
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