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上司が部下をいらいらさせる4つの方法

2012年5月17日11時30分
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マイケル・ハイアット氏+
 私が初めてトーマス・ネルソンの社長に就任したとき、ランチ会議を月に一回招集していました。月に一度、それぞれ異なる部署の従業員たちを一同に集めてそれぞれの部署の監督者抜きで共にランチを取りながら、会議をしていました。

 この催しが、私にとって混じり気のないフィードバックを得る良い機会となりました。またもっとも生産的で、私にとって大好きな業務内容のひとつとなりました。

 この催しを行ったことで、より多くの部署を率いる存在となればなるほど、どんどん真実を知るに難しい存在となっていくということが現実に生じていることが、明確にわかるようになりました。情報はしばしばフィルターにかけられ、都合のよいように修正されて上司に届けられるものです。人々はあなたに、あなたが知りたい、聞きたいと思うことを伝えるようになっていくでしょう。

 しばらく前に、ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世の伝記を読みました。皇帝直属の部下である将軍たちは、民衆の意見の相違を高圧的に押し込めている中で、皇帝に対しては、民衆の騒動は外国勢力の影響の結果であり、民衆は皇帝を敬愛していると伝えていました。

 皇帝は将軍たちからの情報以外の情報源がありませんでした。共産主義勢力がロシア帝国を転覆させた時、皇帝は突然に逮捕され、王位を放棄せざるをえなくなりました。悲しいことに、共産主義勢力は、最終的に皇帝とその家族全員を処刑してしまいました。これは、私が今まで読んだ伝記の中でも、最も悲しい伝記の一つです。

 極端な例ではありますが、ロシア最後の皇帝の例を見ても、組織のトップが知るべき良い情報を得ることは難しいということが良く分かると思います。もしあなたが何らかの組織の指導者であれば、混じり気のないフィードバックが得られるパイプラインを確保し、広げていかなければなりません。そのためのランチパーティを催すなどのイベントも効果的ではないでしょうか。

 通常私は取締役の10人から12人の人たちと共に昼食を取ります。2,3のアイスブレイク的な質問をした後、いつも取締役たちに質問することがあります。

1.トーマス・ネルソンの何が好きで、どのような道を辿って行きたいと思っていますか?

2.トーマス・ネルソンの何があまり気に入らず、もう止めた方が良いと思っていますか?

 取締役たちと昼食を取る時間は一時間ほどではありますが、これらの質問に対し、取締役たちがとてもオープンに回答してくれて、多くのアイデアを与えてくれることに驚いています。

 その中で、「大部分の部下の職場におけるいら立ちは、上司から影響されるものである」ということに改めて気づくようになりました。

 部下たちは同僚のことを互いに愛し合いながら働いており、会社のことも愛しています。しかし、彼らは、無意識のうちに彼らの仕事の生産性を妨害している上司に対していら立ちを持っていることが多いのです。

 これまで従業員から率直に聞いた上司に対する不満について以下に記述したいと思います。皆さんのご経験と比べてみてください。

 1.上司があまりに多くの会議を開きすぎる。―ほとんどは時間の無駄になってしまいます。また会議で話す事柄はメールで処理可能のものであったりもします。会議を開いても、上司が何を達成したいのか、具体的な課題が何なのか明確でないまま会議がなされてしまうことがあり、それが上司に対する敬意が失われる原因ともなってしまいます。

 2.上司はしばしば自分で招集した会議に遅れる。―上司抜きで参加者だけで会議は始められません。その結果上司が来るまでに多くの時間が無駄になります。

 3.上司が実際の仕事のプロセスについて本当に理解できていない。―仕事にかかる実際の時間を上司が理解していないことがあります。その結果、ただ座って仕事の承認を行っているだけで、仕事全体の進行過程を遅延させることにもつながってしまいます。従業員がそれに対して不平を言うときは、もはや危機的な状況に陥っているときとなってしまうこともあります。締切が過ぎてしまえば、顧客に対して責任を負わなければならなくなります。これが入らぬストレスを多くの人に与えることにつながってしまいます。

 4.上司が反応しない。―電子メールで報告しても返信がありません。上司がメールの文章として返信を伝えようとしません。従業員はしばしば電子メールをブラックホールの中に送り込んでいるような感覚に襲われてしまいます。上司が返信するときには、もはやその問題は解決されているか、あるいはより深刻なレベルに問題が悪化していることになってしまいます。どうしてすぐに何らかの返信ができないのかと従業員はいら立ちを覚えてしまいます。

 さらに悪いことには、そのような行動に対して、上司が罪意識を感じていないということが挙げられます。―もしあなたが上司であれば、このような反応が共に働くチームメイトをどれだけいらいらさせているか考えてみることが必要ではないでしょうか。また従業員であれば、従業員が上司の態度を変えることはできないかもしれませんが、あなたがあなた自身の態度を変革させて、あなたが率いている他の人々との間の環境をより良いものに改善していくことは可能であると思います。

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トーマス・ネルソン 会長(前CEO) マイケル・ハイアット氏

 トーマス・ネルソンは世界最大のキリスト教書籍出版会社である。米国内では書籍出版貿易で第7位となっている。同氏のブログ(http://michaelhyatt.com)では、指導者として必要な福音的思考法やウェブサイトによる効果的なビジネス法、出版業界に関するトレンドなどを紹介している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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