9・11、「分裂ではなく一致を」 世界福音主義指導者ら

2011年9月11日19時57分 印刷
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世界福音同盟(WEA)は9・11米同時多発テロ事件10周年記念日を前にした9日、記者会見を開き、「宗教は人々を癒し一致させるために用いられるべきであって、分裂を促進させるものであってはならない」と述べた。WEAは会見で、「今年は、9・11テロ事件10周年を記念して、さまざまな国家的宗教指導者の間で議論を醸す環境が形成されています。このことに対応して、世界福音主義指導者ら、神学者ら、および米社会教会牧師らは9・11テロ事件記念集会が平和と一致のうちになされるように呼びかけています。これら福音主義指導者らは、宗教は歴史的に摩擦の要因と見られてきたものの、摩擦を解決する要因としても機能すると信じています」と述べた。

世界福音同盟(WEA)代表のジェフ・タニクリフ博士は、「9・11のテロ事件は、米国のみならず世界中を震撼させました。より希望に溢れ、暴力の連鎖に終止符を打つべくより良い世界を形成していくために私たちに何ができるでしょうか?私たち世界福音共同体の中にあって、私たちが倫理、文化、宗教の分断をつなぎ合わせ、信頼関係を構築していくための架け橋にならなければならないという認識が強まっています。これは社会環境的、政治的な理由に基づくものではなく、イエス・キリストの模範となり、隔ての壁を打ち壊し、隣人を自分自身のように愛する生の模範を示していかなければならないものであると見なしています」と述べた。

WEAの世界中様々なクリスチャンから、9・11記念日を前にした動画や文書での声明文が提出され、その中で希望あふれる一致と和解のためのメッセージがなされた。エジプト首都カイロ市に住む福音主義指導者アンドレア・ザキ・ステファナス博士は、「アラブ人のキリスト者として、私たちは9・11記念行事について注視しています。記念行事が行われることによって憎しみが増長され、互いに拒絶する敵対心が高まるのではなく、共存に向けた新たな平和と他者受容に対する理解が促進されることを願っています。私たちすべてにとって、この10年間は神様のかたちに似せられて作られた人間がどのように共存していくことができるかということを見上げる上で重要な期間でした」と声明文を発表した。

昨年、キリスト教の牧師がイスラム教の聖典コーランを焼却する計画を発表し、その他イスラム教徒に対する差別的な行動が米国で広まった際、イスラム教国に住むキリスト者らが深刻な迫害に直面した。米国内のイスラム教徒に対する憎しみや非寛容による行動は、他国に住むキリスト教徒らの安全を脅かすことにつながっている。

キリスト教福音派組織であるソージャナーズCEOのジム・ウォリス氏は「10年前、テロリストたちは私たちにすべての人類の嘆きと不正を修正するには暴力と抑圧しかないという厳しい世界観を私たちに呈しました。アメリカはあらゆる多様性を抱えるすべての市民にとって安全な場所でなければなりません。あらゆる国籍、民族性、宗教的背景のある人々が守られ、尊敬されるべきであり、アメリカのあるべき姿を提示するモデルとして私たちが行動の模範を示していかなければなりません。しかしながら、多くの世の人々が宗教について悪いイメージをもっています。しかし悪い宗教に対する回答は、一部現代人がしているように宗教をもたない、宗教というもの自体を受け付けないというのではなく、より良い宗教を実践し、伝えていくことにあります」と述べた。

9・11テロ事件記念日を前に、政治指導者らは、宗教指導者らは追悼記念行事から排除しようとする動きを見せている。その動きは理解できる一方で、そのような決断をすることがより大きな社会的問題を考える機会を失うことにつながるとの懸念も指摘された。記者会見でWEA指導者らは、9・11テロ事件の生存者や遺族の心が癒されるための祈りの時間を持った。

記者会見でWEA指導者らは、世界に悪がはびこっており、これ以上の悪の蔓延を防がなければならないことも言及した。しかし聖書の御言葉には悪を善で克服しなければならないことが書かれている。歴史が示してきたように、テロリズムの形式で示される悪というものは、軍事的な力だけで対抗できるものではなく、外交や対話、共同体の発展を通して克服していかなければならないことであることが言及された。

公益への新福音的パートナーシップ会長のデーヴィッド・ガッシー博士は、「イエス様は弟子たちに隣人に常に同意を示すようには教えませんでした。しかし私たちに彼らを愛するように命じられました。クリスチャンとして、アメリカ人として、私たちは他者をもてなすためのこの『黄金律』を適用していかなければなりません。そのようにして私たちも他者に同じように扱われるようになるのです」と述べた。

米ニューヨーク市子羊の教会主任牧師で全米ラテン福音主義同盟プレジデントを務めるガブリエル・サルグエロ牧師は、グラウンド・ゼロにおける9・11テロ事件記念日の際の聖職者の役割について議論が生じていることについて「信仰の指導者らをこのような記念行事から排除することは、国家的な対話や生活の相違について私たちが人々を導いていくことができない兆候を示しているようなものです。礼節のある行いが高く求められているにもかかわらず、そのような行いがあまりなされていません。現代の社会にあって慈愛と公正に基づいた良識に満ちた信仰の指導者は十分に存在しているにもかかわらず、一部の礼節のない人々の行いのせいですべての宗教指導者の質が問われるような状況を形成してしまっています。聖職者は9・11テロ事件の被害を受けた多くの人々を慰める者でなければなりません。そしてこのような嘆きと追悼の意を示す記念行事を行う時に、癒やしを示す存在としてその立場を公に示すことができなければなりません」と述べた。

反イスラム的感情が米国内の一部に高まっている一方で、米国内のクリスチャンの中には、イスラム教共同体とどのように良い付き合いをしていくかを模索し、実践に移している人々もいる。米テネシー州コルドバのハートソング教会牧師のスティーブ・ストーン氏は、イスラム教共同体を同氏の教会に招いた経験を通して「彼らはイスラム教徒であるというとてもはっきりとしたアイデンティティがあり、私たちはキリスト教徒であるというとてもはっきりとしたアイデンティティがあります。しかし私たちは公益のために何か共に活動できないかと模索しました。しかし教会で正しい行いをしなければ、間違った教会になっています。私たちは彼らと共に正しいビジネスをしようと努めています」とイスラム教徒との協働体験について言及した。

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