国内の死刑確定囚が100人に、人権団体は厳罰化を憂慮

2007年2月26日15時13分 印刷

20日、男性被告の死刑判決が新たに確定され、国内の死刑確定囚が100人の大台に達した。最高裁で死刑を言い渡された被告の数は、昨年まで3年連続の2ケタを記録している。凶悪犯罪の多発や被害者・遺族感情を重視した厳罰化の流れをくみ、死刑判決は00年以降年々増加傾向にある。このことに対し、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本(以下、アムネスティ)は、「世界では死刑を廃止する国が増えており、死刑制度の撤廃に向けた風潮が高まっている」との声明を発表。死刑制度存置の可否を人権の側面から考える議論が起きるように訴えている。

最高裁判所によると、記録が残る昭和55年以降、全国の地裁・高裁で言い渡された死刑判決は、平成11年までは年間2〜15人で推移してきたという。しかし12年以降は、刑罰一般が厳罰化している流れをくんで、年間20〜30人に急増。最近3年間で死刑確定囚の数は、平成16年=66人、17年=77人、18年=94人と推移した。

死刑判決の急増に対し、執行される死刑囚は年数人程度。判決までは順調だが刑の執行だけ滞っている状況だ。このため、最高裁は今後も死刑確定囚の数は常時100人台で推移すると見ている。

死刑判決が増加傾向にある現状を危惧し、死刑判決の撤廃を訴えてきたアムネスティは、国内の死刑確定囚が100人に達したという報告を受けた今月20日に、「死刑の問題は人権の問題である。国家の制度によって、人の生命を奪うことは許されない。国際社会はそれを受け入れはじめ、死刑制度を廃止する国は年々増加している。日本でも死刑制度存置の可否を人権の側面から考える議論が起きることをアムネスティは期待する」との声明を発表し、国側を牽制した。

アムネスティは声明で、国内の治安に対する不安を度を越えて報道しているメディアが厳罰化の風潮を助長していると批判し、「厳罰化によっては犯罪不安は除去されない」と主張している。さらにアムネスティは、厳罰化の風潮が高まることによって治安に対する不安が逆に増大するとも指摘している。

またアムネスティは、昨年米国で死刑判決数が前年比で減少したことや死刑囚の数も減少していること、13州で死刑執行が停止され、さらに死刑存置のうち18州で死刑執行停止や死刑廃止法案が審議されていること、中国で第1審で確定した全死刑判決が、07年1月から最高人民法院で再審されることが決定したこと、ロシアで死刑執行停止を2010年まで延長する法案が昨年末に可決されたことなど、世界各国で死刑制度の廃止に向けた動きが活発化している事例をあげ、死刑制度の撤廃を強く要請した。

死刑制度の廃止に向けた国際的な最近の出来事としては、今月初めにパリで開催された第3回死刑廃止世界大会がある。同大会で採択された最終宣言では、いかなる権力も人の命を奪う権利はなく、死刑は残虐かつ非人道的で品位を傷つける刑罰であることが確認された。この宣言を受け、フランス政府は19日、上下両院合同会議で死刑廃止を憲法に明記するなど3つの条項に関する憲法改正案を賛成多数で可決した。

アムネスティは、昨年12月25日に4人の死刑囚に対する死刑が執行されたことに関し、「死刑執行は世界的な人権擁護にそむく歩み」であるとして、長勢法務大臣に死刑制度の廃止を要請する嘆願書を先月提出している。同団体は、今後も人権の側面から死刑制度の存置意義を訴え、国に死刑制度の撤廃を働きかけていく方針。

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