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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」 (3)

2007年2月17日22時02分
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週日曜日朝9:30〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。今日はその第3回目です。


                                     ◇
「つもりになってみる」


 あなたはゴールデンウィークをどう過ごされましたか?海へ山へご家族で行って楽しまれましたか。何もせず家でゴロゴロして休養を取られた方もたくさんいると思います。中には思い切って、外国へ飛び立って海外旅行を満喫された方もおられると思います。


 「ずいぶん日焼けされましたね。ゴールデンウィークに海にでも行かれたんですか」とある人から聞かれました。「ええ、今年はハワイに行って一週間海でダイビングしてきたんです」と言ったら、「ああそうですか、よかったですね。ご健康そうで、うらやましいですよ」と言われました。「いや本当は、ハワイの海じゃなくて、自宅近くの公園で毎日サイクリングをしたり、日光浴したら、こんなに日焼けしてしまったんです」と言うと、「えーっ、本当ですか、信じられませんよ」とびっくりしていました。


 私も、たまのゴールデンウィークにハワイやニュージーランドにでも行って、ゆっくり楽しい休暇をとりたいと思っていましたが、いろいろな事情でできませんでした。しかたなく、自宅近くにある大きな公園をサイクリングしたり、誰もこないような場所を探して上半身裸になって日光浴をしたのです。その時こう思ったのです。この緑が色濃くなりつつあるけやきや銀杏の並木も、美しくあざやかに咲いているチューリップやパンジーも、ニュージーランドの公園にあるのと同じではないか。この澄みわたった青空に輝いている太陽はハワイの海を照らしているのと同じ太陽ではないか。では、ニュージーランドの公園を自転車で走っているつもりになってみよう。ハワイの海岸で日光浴を楽しんでいるつもりになってみよう。こう考えました。そうすると、まるで自分が今、ニュージーランドやハワイにいるような気がして、普段とはまったく違う、楽しい旅行気分を味わうことができました。


 わざわざ成田から満席の飛行機に乗らなくてもいいし、ホテルに泊まる必要もない。おみやげを買うわずらわしさもない。お金もぜんぜんかからない。この方がずっと楽しいじゃないかと心から実感しました。自宅付近の公園で、「ニュージーランドとハワイに行ったつもりになった」だけで、実際に海外旅行をした以上の豊かなゴールデンウィークを楽しむことができました。


 ですから、あなたもなんでもその「つもりになってみる」といいですよ。


 あるお医者さんから相談を受けました。大変深刻に悩んでおられるようでした。そのお医者さんはガン末期の患者さんに抗ガン剤を投与してきました。その抗ガン剤は新薬でしたが、とてもよく効くとそのお医者さんは信じていたのです。しかし、副作用もきついので、「この新薬はとてもよく効きますが、副作用があるので、どうしますか」と念入りに患者さんに尋ねました、。患者さんは、「副作用がどんなにきつくてもけっこうです。どうしても治りたいんです。ぜひその新薬をお願いします」と言って、新薬投与を承認したのです。


 ところが、患者さんの症状はどんどんよくなっているのですが、副作用が全然出てきません。おかしいなと思ってよく調べてみたら、なんと看護婦さんが間違ってガンの特効薬ではなく、新薬のカゼ薬を投与してきたというのです。大変な医療ミスで、もし訴えられたらどうしようと、お医者さんは夜も寝れないほど悩んでしまいました。


 「でも、患者さんはカゼ薬をガンの特効薬と信じて飲んで、症状がどんどんよくなっているんですよね。副作用も出なければ、なおいいんじゃないですか。今急に薬を変えて、かえって症状が悪化したらどうでしょうか。何の害もないのであれば、もうしばらくカゼ薬の投与を続けてみてもいいんじゃないですか」と言うと、お医者さんはかなり安心されたようです。


 数ヵ月後お医者さんから連絡がありました。「あのガン患者さんは完全に治りました。もう元気で仕事をしています」とのことで大変喜んでいました。患者さんはカゼ薬を飲んでいたのですが、ガンの特効薬を飲んだつもりになっていたんですね。そうしたら末期ガンが治ってしまったんです。


 「つもりになってみる」って、すごい力がありますよ。


                                     ◇


 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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