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日本人に寄り添う福音宣教の扉

日本人に寄り添う福音宣教の扉(243)絆の強過ぎる共同体(教会)を訪ねるのは難しい 広田信也

2026年3月7日12時27分 コラムニスト : 広田信也
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関連タグ:広田信也

前回のコラムで、日本人がキリスト教を受け入れにくい要因を4つ列挙しました(下記)。この中で1~3の要因については比較的よく議論されますが、不思議なことに、最も身近な4の要因が語られることが少なく、対策が検討されてこなかったように思います。今回は、下記の下線を引いた4について取り上げます。

日本人がキリスト教を受け入れにくい理由

  1. 江戸幕府による約250年間にわたる厳しい禁教令、および明治政府の国家神道に基づく国家経営などが、日本人の宗教観に大きな影響を与えたため
  2. 「唯一神」という明確な信仰対象を持つキリスト教が、多種多様な依り代(祈りの場)を備える日本文化と融合しにくい印象を与えたため
  3. 日本の社会構造では、個人の信仰よりも、強い絆を持つ家族や地域共同体との調和が優先されるため
  4. 欧米の教会組織をそのまま日本に移植したことで、教会内部の絆が強くなり過ぎ、教会の内と外が明確に区分されて閉鎖性が増したため

学校の中に突然生まれた地域教会

私の住む六甲アイランドには、かつてルーテル国際学園ノルウェー学校というインターナショナルスクールがありました。この学校は2005年に閉校になりましたが、その直前、学校の中に教会が生まれ、多くの地域住民が集っていました。

六甲アイランドは神戸市にある人工島で、市の方針から教会や寺院などが作れないことになっていましたが、インターナショナルスクールの中ということで、教会が自然に生まれたように思います。

当時、私は静岡県東部で前職に勤務し、六甲アイランドに住む両親を時々訪ねる生活をしていましたが、ノルウェー学校内に教会が誕生したことに全く気付きませんでした。

私は、福音に心を開かない両親をいつも気にかけていましたが、驚いたことに、母親が教会のうわさを聞きつけ、私より先に、自らノルウェー学校内の教会を訪ね、礼拝に参加してきたというのです。

早速、私も礼拝に参加しましたが、実に多くの地域住民が参加していました。北欧風の学校ということもあり、異文化体験を楽しむように、子どもから高齢者まで、自然体で集っていたのは大変印象的でした。小さな島に住む住民同士ですから、どこかですれ違った隣人のような、緩いつながりが居心地の良さを生んでいました。

ノルウェー学校の閉校に伴い教会が独立

2005年、そのノルウェー学校が閉校になる際、教会に多くの地域住民が集っていたため、人口島の中心部に教会の建物が与えられ、正式に独立した地域教会として出発することになりました。神戸市の方針で教会が作れないと諦めていた私にとって、奇跡を見せていただいたようでした。

その後、両親にとっては、とても大切な教会となり、召されるまでお世話になりました。また私も、教会学校の教師として20年以上奉仕をさせていただき、現在に至っています。

このように、わが家にとっては大変ありがたい教会ですが、教会に集う人は少なくなり、かつてノルウェー学校の中にあったときのような活気はなくなりました。地域住民が自然に集まることはなく、いつも同じメンバーだけが集う一般的な地域教会として存続しています。

教会内部の絆が強くなり過ぎ、教会の内と外が明確に区分される

それでは、かつてノルウェー学校の中にあったときの教会から何が変わってしまったのか。多くの人が自然に集まっていたのに、なぜ教会に来る人が減ってしまったのか。これについて分析したいと思います。

ノルウェー学校の中に教会があったとき、確かに異文化を感じられる開放的な雰囲気が良い効果をもたらしました。しかしたとえ、学校内の教会が存続していたとしても、次第に教会内部の絆が強くなり、タテ社会の人間関係が育ち、地域住民が集いにくい閉鎖的な共同体になっていったように思います。

タテ社会は、家族や職場のように、日本人が居場所を確認できる大切な絆の強い共同体の構造ですが、共同体の内と外を明確に区別する傾向があるため、おのずと閉鎖的な特徴を帯びていきます。

学校内で教会が生まれた当時、地域住民は異文化体験のできるイベント(礼拝)が学校の中に生まれたことを伝え聞き、自分たちが招かれていることを素直に受け取ったのでしょう。生まれたばかりの教会には、強い絆の共同体がなく、境界線を乗り越えて教会(共同体)を訪れるハードルは低かったと思います。

教会がノルウェー学校から独立した際、正式な地域教会になることを目指して組織化されたことで、一部の信徒の間の絆が強くなり、タテ社会化が顕著に進んだことは間違いないと思います。

欧米の共同体と日本の共同体の違い

個人主義を基本にする欧米の社会では、日本社会と異なり、緩い絆を維持するヨコ社会を作りやすく、共同体の絆を強くするための工夫が必要になります。地域教会の活動は、その課題を克服する役割を担っています。

しかし、強い絆のタテ社会を作りやすい日本社会では、絆が強くなり過ぎて生じる人間関係のトラブル(気遣い)や、閉鎖性を改善することの方が重要な課題になります。

残念ながら、日本の地域教会は、欧米の教会スタイルをそのまま持ち込んだため、教会内部の絆が強くなり過ぎ、閉鎖的な地域教会から脱出できない傾向に陥っているのでしょう。

対策に向けて

多くの教会で新来会者が減り、教会数も減少する傾向が続いています。日本のキリスト教会にとって大きな転換が求められています。

あらゆる地域、階層にある日本人に福音が届き、地域教会が日本社会に神様の栄光をはっきりと示せる時代になることを目指し、ブレス・ユア・ホーム(株)と(一社)善き隣人バンクは、今後とも心を込めて働いてまいります。

今回の課題に対する対策案については次回以降で取り上げます。今後ともどうぞよろしくお願いします。

<<前回へ     次回へ>>

◇

広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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