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日本人に寄り添う福音宣教の扉

日本人に寄り添う福音宣教の扉(244)日本社会を支える共同体の特徴を認識しよう 広田信也

2026年3月21日16時36分 コラムニスト : 広田信也
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関連タグ:広田信也

前回、日本社会において、地域教会のような絆の強い共同体は閉鎖的になりやすく、地域住民が新たに加わり難い旨をお伝えしました。

核家族化、高齢化の進展に伴い、弱さの中で孤独を抱える人が増える日本社会ですから、本来なら地域教会が提供する絆の強い共同体は、社会から強く求められ、大いに用いられるはずです。

ところが、地域教会の敷居は一層高くなり、新来会者は減少し、日本宣教の働きが著しく損なわれている現実があります。今回、このような現実に至った経緯を解析し、日本宣教拡大に向けた対策の方針を考えたいと思います。

「家」と「職場」が日本社会のけん引力

かつて日本の共同体は「家」を基盤とした共同生活が主体であり、明治以降は「家」に加えて、企業が「家」のような役割を果たす、絆の強い「職場」を提供し、日本的経営が発展してきました。戦後、このような絆の強い「職場」から、品質の高い製品やサービスが生まれ、日本の高度成長をけん引していきました。

「家」や「職場」は、同じ場と時間を共有するタテ社会の共同体として、それぞれの中で一体感を増し、日本人はその中に所属することで、安定した生活を送ってきたように思います。

ところが、タテ社会の人間関係は、通常、お互いの気遣いによるストレスが生まれやすく、加えて「家」と「職場」の2つの共同体をうまく両立させる必要に迫られたため、ストレスが一層増すようになりました。

ストレスを軽減するヨコ社会の軽い絆

それらのストレスを軽減するため、「家」や「職場」の強い絆の共同体から抜け出し、ホッとできるヨコ社会の人間関係が重要な役割を担うようになりました。共通の趣味、考え、出身、仕事、資格、特技、将来の夢などで集まる、軽い絆によってつながるヨコ社会の共同体がそれに当たります。

人々は、ヨコ社会の軽いつながりでリフレッシュし、再びタテ社会の「家」や「職場」に戻っていく生活をするようになりました。おそらく地域教会も、共通の信仰によって集まる、ホッとできるヨコ社会の共同体からスタートしたように思います。

タテ社会への変化とそれを避ける傾向

ところが日本社会では、このホッとできるヨコ社会が、同じ場と時間を共有することで、絆の強いタテ社会に変化する傾向が見られます。お互いの共通点だけでつながる軽い絆から、生活の全てに関わる強い絆へと変化しやすいのが日本の共同体の特徴です。

もちろん、そのような変化を意図的に避け、お互いのプライベートに触れないようにする配慮も見られます。そのような場合は、表面的には、軽いつながりのヨコ社会が継続していきます。サークル活動や習い事、勉強会などの共同体がその例になります。

また、最近の職場は、終身雇用制度が崩れ、中途採用者や派遣社員が多くなったため、タテ社会の一体感が薄れる傾向が生じています。さらに、自社開発を諦め、他社の部品を組み合わせて製品化する企業や、正規雇用の社員を減らし、短時間労働者ばかりを雇用する企業も増えました。それらに伴い、新しい企画を生み出す力は弱くなり、製品やサービスの品質低下が生じています。

地域教会は急速にタテ社会構造になる

このように、最近の共同体はタテ社会になることを避ける傾向がありますが、地域教会は、互いに愛し合う家族的な共同体を目標にして、ほぼ同じメンバーが定期的に集いますので、一体感のある典型的なタテ社会構造が急速に育っていきます。

お互いの関係が兄弟姉妹のように深くなり、日本的な「家」や「職場」のような絆の強いタテ社会構造となり、信仰に基づく質の高い温かい人間関係が育まれます。

そして時間とともに、閉鎖的な共同体へと変化していきます。教会のウチとソトが区別され、教会のソトからウチに入りにくい状況に陥ります。

タテ社会構造の強みと弱点

このように、タテ社会の構造を持つ地域教会は、信仰に基づく高い品質の共同体になるものの、宣教拡大にはつながりにくい弱点を兼ねそろえているのです。

対策として、タテ社会の弱点を補いながら、強みを生かす仕組みが必要になりますが、具体的な対策を述べる前に、タテ社会構造を持つ共同体(地域教会)の強みと弱点を整理したいと思います。

タテ社会構造の強み

  • 家族的な強い絆を持つ一体感のある共同体になる。
  • 兄弟姉妹のように、生活の全てに関わる親密な関係が育まれる。
  • 共同体のリーダーの意向や方針が容易に浸透しやすい。
  • 共同体の活動の隅々に細やかな配慮が行き渡る。

タテ社会構造の弱点

  • 強い絆を維持するための気遣いが多く、ストレスを生みやすい。
  • 柔軟な発想による変革が起こりにくい。
  • 共同体のウチとソトを区別するため、閉鎖的になりやすい。
  • リーダーの誤った判断が機能不全を招きやすい。

タテ社会構造の強みを生かし、弱点を補う工夫

日本の共同体に見られるタテ社会構造は、これまで日本社会のさまざまな人間関係の中に育まれ、平和で安定した国民の生活を支えてきました。また、日本の地域教会においても、信仰に基づく家族的な強い絆が形成され、質の高い信仰生活を支えてきました。

確かに、多くの弱点を兼ねそろえ、日本宣教拡大を阻む要因にもなっていますが、教会はキリストの体として愛し合う共同体ですから、タテ社会の絆の強い関係を是非とも有効に用いていきたいと考えています。

具体的な対策案は次回以降に提案します。

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◇

広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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