アルバはカリブ海の南端、ベネズエラ沖約25キロに位置する、面積約180平方キロの小さな島国だ。オランダ王国を構成する自治領の一つで、公用語はオランダ語とパピアメント語となっている。観光業が経済の柱で、美しいビーチと安定した治安により、多くの欧米観光客が訪れる。また、自由貿易港や石油精製の歴史を持ち、近年ではサービス業や情報通信産業も発展しつつある。
人口は約11万人で、多くはカリブ地域出身者を中心とする混血系だが、近年はラテンアメリカ、アジアからの移民も増加している。こうした多様な文化背景を持つ社会において、福音派教会の存在感は近年顕著に高まっている。特に、新たに移住してきた人々の中に、信仰を求める者が多く、英語やパピアメント語で礼拝を行う教会が数多く存在する。
しかし、福音派の成長は一様ではなく、特にアジア系移民への宣教は依然として課題となっている。文化や言語の壁が伝道の障害となっており、さらなる霊的影響が及ぶよう祈りが必要だ。
また、多様な教派が共存する中で、教会間の一致と協力は重要なテーマだ。外国のキリスト教テレビ放送を通じて持ち込まれる、繁栄の神学や商業主義的な説教スタイルが、分裂や混乱を引き起こす懸念もある。だが、近年では牧師たちの間に交わりと協力が深まりつつあり、福音派が一致して、未婚の母の増加(非嫡出出生率は約50%)、青少年の薬物依存、同性婚の法制化への対応などの社会的課題に声を上げる動きも見られる。
メディア宣教も重要な役割を果たしている。島内には3つのキリスト教ラジオ局があり、その中でも Radio Victoria は特に影響力を持つ。また、TWR(Trans World Radio)は近隣のボネール島から短波やインターネットを通じて広く福音を発信している。これらの媒体は、島内外に生きた希望のメッセージを届ける貴重な手段となっているのだ。
アルバはその小ささにもかかわらず、文化・宗教・社会の交差点に立つ国である。この地にまかれた福音の種が、島の全住民と移民たちの心に実を結ぶよう、そして教会が一致して愛と真理をもって地域に仕えていけるよう祈っていただきたい。
■ アルバの宗教人口
プロテスタント 10・1%
カトリック 74・5%
聖公会 0・8%
異端派 2・2%
無教派 5・2%
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