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花嫁

花嫁(5)花婿は与えるばかりである 星野ひかり

2024年4月19日16時01分 コラムニスト : 星野ひかり
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花嫁(1)食卓 星野ひかり+

3月の初めに、私の夫は上顎を原巣とするがんの宣告を受けた。提示された生存率は高いとも低いとも言えなかった。私は憔悴(しょうすい)し、ろうばいし、泣いた。主のなさることは最善であるということを疑うことはなかったが、その ‘最善’ のためにここまでの苦しみを通らなければならないのか、と嘆いた。

ベッドに伏せって泣いている私の横で、夫は小さな震える声で「God Bless You」を歌ってくれた。何を食べても痩せていき、張り詰めた心で主にすがった。

教会の牧師先生、姉妹たちも共に泣き、心痛めてくださった。私は主に文句も言わず、「主は万事を益としてくださる。主のなさることは、必ず善きことでしかないのだから」とうわごとのように繰り返していた。そんな私に牧師先生は「それでも人は弱いものだよ」と語りかけた。

その言葉に、私の心の糸はぷつりと切れてしまった。私はようやく泣きじゃくり、神様にぶつぶつとつぶやいた。「どうしてここまでするの。どうしてここまでできるの。ようやく幸せになれたと思ったら取り上げるの? そうやって虫けらのように私を踏みつぶして、踏みにじって、殺すがいい。御心のままにおやりなさいな・・・」。涙を流してもう言うことがないほどに、言葉を尽くして主をののしった。

泣き疲れてぐったりとした私を、優しい風が包むようにただじっと見つめている主の臨在があった。ぜんぶ分かって私を抱こうとしておられる主のぬくもりを感じた。そして深い御胸の中に抱かれた私は、安堵(あんど)して眠ってしまった。

その翌日、夫に付き添って行った、車で1時間ほどの大学病院で、執刀医より話を聞いた。前回聞いた生存率はあくまで一般的なデータによるもので、この病院では、取り除く上顎を顎義歯として製作できる全国で数少ない技師もおり、生存率はもっと高いことを知らされた。

その数値は、涙が出るほどにありがたいものであった。もちろん100パーセントではないが、そもそも私たち全て、等しく1年後の生存率が100パーセントではないことを思うと、改めて感謝するばかりであった。

不思議なことばかりである。今生きて夫と共にあることも、確率などではなく、神様の与えてくださったこの世での有限なる接触の時であったのだ。私は夫といる時間が、とても美しい奇跡なのだと感じるようになった。夫の表情、しぐさ、温かな言葉、一つ一つが神様からのあまりに素晴らしいプレゼントであったのだ。

私は夫をよく見つめ、たくさん話すようになった。私はこのことがあってから、夫と美しい時間を過ごしている。今まで、どうせずっと続くのだからと、あぐらをかいておざなりにしていた夫との時間を、大切な奇跡の積み重なりだと思うようになったのだ。義家族との絆もこのことを通してより強められ、これからいっそう支え合ってゆこうと励まし合った。

昨年、義母は信仰を告白し、先日のイースターにバプテスマを受けた。温かなバプテスマ式であり、教会の牧師先生、兄弟姉妹たちも涙を流して喜んでくださった。あまりに美しい時を私たちは生きている。有限であり、奇跡的な一瞬一瞬を連ねて今も私はここにいる。

この連載の第1回は「食卓」という題名で、私が食卓テーブルで夫と共に食事を取れないことを書き記した。しかし今回のことがあってから、夫と共に食卓で食事を取るようになったのだ。

術後しばらく固形物が食べられなくなるために、料理も心を込めて作っているし、テーブルに並べて、夫と向かい合って食べている。夫と共に食べる食卓での食事を、私は初めて「おいしい」と思い、そして1時間も2時間も、食後のお茶とともにたわいもない話をして「幸せ」を感じている。

小さな台所は私の愛する仕事部屋だ。義父母のため、夫のために心を込めて料理をする。これからは、夫のためにゼリー食やペースト食、きざみ食にとろみ食、回復に従っていろいろな食事を創作する私の主戦場になるだろう。

明日のことは何も分からない。神様のなさることが分からなくて、泣くこともわめくこともある。でもイエス様も公生涯において、たくさん泣かれたのだ。友の死に涙を流して悲しみ、人々を憐(あわ)れんで、はらわたがえぐれるほどに心痛めた。声を荒げて怒るときだってあった。寂しさも悲しさ、痛みも、それは人間らしく歩まれて、ゲツセマネの園での祈りでは、血の汗を流して嘆かれた。眠ってしまった弟子たちに、寂しさを感じられたことだろう。十字架の上では御父に向かって「私をお見捨てになったのですか!?」と叫んだのだ。私たちだってジタバタしていい。人間らしく、神様に泣きついていいのだ。

それであっても、父なる神様、聖霊様、イエス様は与えるばかりなのである。不安を覚えやすい私に、イエス様は優しく語りかけてくださる。

だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。空の鳥をよく見なさい。種も蒔(ま)かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。だから、「何を食べようか」「何を飲もうか」「何を着ようか」と言って、思い悩むな。それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。(マタイによる福音書6:25〜34)

どんなことであろうとも、時に過酷に思えても全て、私たちに善きことであるからこそ与えられているのだ。花婿イエスは与えるばかりであり、与えることしか知らないのだ。それは確かに、揺るがすことのできぬ事実なのだ。

花婿は、花嫁に善きものしか与えない。花婿は与えるばかりである。

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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