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エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(14)「帽子郵便局」の局長

2024年3月6日17時33分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

アームストロングの援助で開いた雑貨屋は繁盛したものの、共同経営者のベリーという男は大変な怠け者で、一日中酒を飲んではのらりくらりと遊んでばかりいたので、リンカーンは一人で店の切り盛りをしなくてはならなかった。

この雑貨店はもともと借金をして出した店なので、次第に経営が難しくなってきて、借金ばかりが増えていくのだった。それでもリンカーンは、ベリーを非難せず、一人で苦労して店をやっていた。

そんな時に、幸いにもこのニューセーラムに小さな郵便局ができ、リンカーンは皆に望まれて局長になった。局長といっても、郵便物の仕分けも配達も、全て一人でしなくてはならなかった。

しかしリンカーンは、この仕事は神からの贈り物と思い、喜んで働き始めた。彼はいつでも帽子の中に手紙を入れて配って歩き、手紙の宛名の人に途中で出会うと、帽子から手紙を出して渡した。また、「この手紙を出したいのですが」という人があれば、「ここに入れてください」と帽子の中に受け取るのだった。

「あっ、ぼうし郵便局だ!」彼が歩いていると、子どもたちがそう言ってワイワイ騒ぐので、いつの間にか村の人も彼のことを「帽子郵便局」と呼ぶようになってしまった。

彼はどんなに遅くても配達した。どんな遠くの人にも郵便を届けた。また、読み書きのできない人には手紙を読んであげたり、返事を書いてあげたりしたので、村中の人から慕われ「帽子郵便局」は村の名物になったのであった。

この郵便局の仕事にはもう一つ楽しみがあった。それは、郵便で来る新聞を真っ先に読めることであった。リンカーンは、新聞を片端から読んだ。そして、そのうちにアメリカ合衆国の政治というものがすっかり理解できるようになった。こうして、彼が政治家となる準備が少しずつなされていったのである。

ところで、共同経営者だったベリーは、酒乱になり、心身を病んで間もなく死んでしまったので、1200ドルもの借金は全てリンカーンが返さねばならなかった。彼はやむなくお金がもうかる測量技師になることを決意した。

そして、普通の人が何年もかかって修得するところをわずか6週間ですっかり覚え、せっせと野や山を歩き回って測量し、1日に3ドルものお金を得たのであった。

そのうちに、またイリノイ州議会議員の選挙が近づいてきた。

「エイブラハム君。今度こそは勝ってくれ」。親友のアームストロングが出馬を勧めると、友人たちもそろって彼の応援を表明した。「君のような人こそ政治家になるべきだ。頑張ってくれよ」

この時、共和党を支持するヘンダーソンという人が世話人となってくれることになったので、多くの友人たちともども、リンカーンの選挙活動のデモンストレーションについていくことになった。こうした人々の熱心な声援に押されるようにして、リンカーンは立候補を決意した。

この日。いよいよ旗を持ち、田舎道をくまなく歩いて、有権者に呼びかけを行った。「皆様!今度のイリノイ州議会議員選挙では、ぜひわたくし、エイブラハム・リンカーンにあなたの一票をお願いいたします」

しかし、畑仕事に出ていた農民たちは、皆これを聞くとそっぽを向いた。「そんな演説なんて聞いている暇があるか。議員なんかに俺たちの苦労が分かるはずがない」「そうとも。麦刈りの邪魔をしないでくれ!」

それを聞いて、リンカーンはしばらく考えていたが、何を思ったのか、上着を脱ぎ、靴や靴下も脱いでズボンをめくり上げた。そしてそばにあった農作業用の鎌を取ると、畑に波打つ小麦をザクザクと刈り始めたのである。

リンカーンは、かつて父トーマスと一緒に農作業をしていたので確かな腕を持っていた。あの「薪割りエイブ」の姿が突然よみがえったかのようだった。

「うまいもんだなあ」。見ていた農夫たちは、目を丸くして言った。いつの間にか大勢の人々が出てきて、あぜ道に腰を下ろして見守っていた。

「皆さん、私は貧しい生まれで学校にも行けず、子どもの頃から労働をして育ちました。だから、皆さんの気持ちが分かる議員になるつもりです」

リンカーンはこう言って、素晴らしい演説を始めた。人々は身じろぎもせずに聞き入っていた。

こうしてこの地区の農民たちがこぞって彼に投票したので、リンカーンは6月の州議会議員選挙に当選した。

*

<あとがき>

ニューセーラムに郵便局ができ、リンカーンは皆に望まれ、そこの局長になりました。彼は常に帽子の中に手紙を入れて歩き、道で人に会うと、その人宛てに来ている手紙を渡し、字の読めない人には手紙を読んであげたり、返事を書いたりするのでした。

評判は町中に広がり、子どもたちは「帽子郵便局」と呼んで彼を慕うのでした。

ところで、この郵便局勤務は彼に大きな利益をもたらしました。局であらゆる新聞が読めたので、彼はアメリカの政治の仕組みがすっかり理解できたのでした。

やがてイリノイ州議会議員選挙がやってきたとき、共和党のヘンダーソンという人が世話人となってくれたので、リンカーンは田舎道を歩いて有権者に投票を呼びかけました。

しかし農民たちの反応は冷たく、自分たちの生活の苦労が議員などに分かるか――とうそぶくのですが、リンカーンはその場で素晴らしい農作業の腕を彼らに見せ、彼らの票を残らず独占してしまったのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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