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エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(13)この胸を撃て!

2024年2月21日16時46分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

1832年3月。リンカーンは推されてイリノイ州議員選挙に立候補するが、落選した。その翌月4月のことである。「ブラック・ホーク(黒鷹)」というインディアンの首長が反乱を起こし、イリノイ州を混乱に陥れた。彼らは暴れ回って村や町を襲い、見つけ次第人を殺したり、家畜や家財を奪ったり、放火したりした。

イリノイ州知事は、義勇兵を募ってこれを防ぐことにした。村の多くの若者が集められ、リンカーンも応募した。彼は義勇兵の隊長になった。その中には彼の親友ジャック・アームストロングも混じっていた。

「リンカーン大尉、ばんざーい!」サンガモンの義勇隊員は、一斉にときの声を上げて出て行った。リンカーンは、保護を求めてきた一人の年老いたインディアンを助け、彼の領地まで送り届けようとしていた。

ジャクソンという村に近づいたとき、町の守備兵が2、3人飛び出してきて取り囲んだ。「その男を引き渡せ。この場でリンチ(私刑)にしてやる」。こう言って、そのインディアンを捕らえようとした。

リンカーンは手を振って言った。「このインディアンは、暴動を起こした『ブラック・ホーク』の一味ではない。何も知らない男なんだ」

しかし、彼らは納得しない。そして、押し合いをするうちに、守備兵はインディアンを木に縛り付け、銃口を向けた。その時リンカーンは、その前に飛び出していくと、両手を広げて叫んだ。「罪のないこの男を殺すなら、この私の胸を撃つがいい。さあ、ここを撃て!」こう言って、自分の胸を指した。

その崇高な姿に打たれたように、兵士たちは皆ピタリと銃口を伏せた。助けられた老インディアンは、思わずリンカーンの足元にひざまずいて両手でその足をかき抱き、涙にむせびながら言った。「情け深いあなたに、神様のお恵みがありますように」

リンカーンは手を差し伸べて、また馬に乗せてやりながら言った。「大丈夫だよ。あんたを傷つける者はこの隊の中には誰もいない。安全な所に着くまで、私が送ってあげるから」

その時、守備兵の一人が進み出ると、リンカーンの前でうやうやしく敬礼して言った。「偉大な方よ。われわれは、あなたがこの先どんな命令を出されようとも、それに従います」

この話は、この日のうちにイリノイ州全土に広まった。「悪や不正を憎むリンカーンは、罪のない者や弱い者を愛することも人一倍強い方だ」。誰もがこう言って、いよいよリンカーンの仁徳をたたえるのだった。

3カ月後、反乱は鎮圧され、「ブラック・ホーク」は逮捕された。そして、義勇兵も解散となった。

7月。リンカーンは、再びニューセーラムに帰った。しかし、オフェットは商売で大損をしたことから、店をたたんで遠くへ行ってしまっており、リンカーンは路頭に迷うことになった。

この時、思いがけない助けの手が差し伸べられた。以前広場で相撲を取って以来、大の親友となったジャック・アームストロングが自分の家に招いてくれたのである。彼は気立てのいいアンナという女性と結婚しており、赤ん坊も生まれたところだった。

「すまない。君の親切には感謝するよ」。しみじみリンカーンが言うと、アームストロングは首を振り、われわれは親友じゃないかと言うのだった。

やがてリンカーンはアームストロングに助けられ、雑貨店を開くことになった。すると店は繁盛し、そこには村人たちが出入りし、いつの間にか店の片隅でリンカーンとアームストロングを中心として政治や社会情勢などを話し合うようなグループができた。

そのうち、アームストロングと友人たちは相談し合い、今度の州議会議員の選挙にリンカーンを候補者として立てようということになった。そこで彼の所にやって来て頼み込むと、リンカーンはこれを受け、出馬することになった。1833年。24歳の時であった。

しかしながら、リンカーンは落選した。「エイブラハム。残念だったね。もう一歩だったのに」。アームストロングが言うと、相手はあっさりと言うのであった。「人間、苦労を重ねなければ本物になれないんだ。これにめげずに頑張るぞ」

(今度は、絶対勝たせてやるぞ)アームストロングはそう心に誓うのだった。

*

<あとがき>

1832年4月。「ブラック・ホーク(黒鷲)」というインディアンの首長が暴動を起こし、イリノイ州を荒らし回ったため、州知事は義勇兵を募って鎮圧を図りました。この時、リンカーンも隊長として参加したのです。

彼はある日、保護を求めてきた一人の老いたインディアンを彼の領地まで送る途中、この老人をブラック・ホークの仲間と勘違いした守備兵に囲まれました。彼らがそのインディアンをリンチ(私刑)しようとしたとき、リンカーンは自分の胸を指して叫びます。「罪のないこの男を殺すなら、私のこの胸を撃て!」と。

この話はイリノイ州のあらゆる所に伝わってゆき、誰もが「リンカーンはわが身を呈して弱い者を救う情け深い人だ」と彼の名をたたえたのでした。

後に彼が大統領に当選したのも、町の人々が彼の力よりも人一倍情け深い心を持っていることを評価したからだといわれています。この後リンカーンは、親友アームストロングの助けを得て、雑貨店で働きながら州議会議員への道を歩み始めます。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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