イエスを愛する若者が全国からオンラインで集まり、それぞれの賜物を生かして若者に福音を伝えている新しい伝道団体がある。コロナ禍にあった2021年にオンラインのバイブルスタディーから始まり、今ではインスタグラムやTikTok(ティックトック)などのSNSで、活発に若者向けのコンテンツを発信している「てもて」だ。
「誰かと一緒にやる伝道ってすごく楽しい」と代表のサンチャゴ・クリステルさんは笑顔で話す。両親がフィリピン出身の牧師家庭で、小さい頃から教会で育ったが、本気でイエスを信じたのは20歳の時。うつ病を患い、薬の強い副作用に苦しむ中で読んだ聖書の言葉に衝撃を受けた。
「しかし、私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます」(ローマ5:8)
「人が優秀だからとか、お金を持っているから、容姿がいいからではなくて、まだ罪人であったときに人を愛してくれる。こんな狂った愛し方をする神がいるのかと。泣きながら悔い改めてイエス様を受け入れました」
次第に症状は和らぎ、気が付けば薬を必要としなくなっていた。うつ病が癒やされたのだ。
この神様の愛、イエス様から与えられた希望と喜びをシェアしたい――。2021年8月にオンラインのバイブルスタディーを始めた。「でも、全くうまくできませんでした」。泣きながら、「伝道したいのに、私は伝道に向いていないのですか。どこか間違っていたのですか」と祈る中で、インスタグラムのアカウントを始めるように示された。
「インスタ映(ば)え」の文化が大嫌いだったが、「SNSは使い方によって良いようにも悪いようにも使えるプラットフォームだから、私のために使いなさい」と示されたという。ふてくされながらもインスタグラムのアカウントを立ち上げ、若者に響くようなコンテンツを少しずつ投稿していった。
すると、若者の伝道に重荷を持っている全国の若いクリスチャンから、次々と連絡が来るようになった。「『ああ、こういうニーズがあるよね』と話が一致したとき、悩み相談チームができたり、『路上伝道やりたいけれど、どうやればいいか分からない』という人とつながったとき、路上伝道チームが生まれたり。そこからどんどん『てもて』という働きが出来上がっていきました」
現在では、学生から社会人まで約20人の若いボランティアスタッフが全国から集まり、若者伝道に特化したさまざまな働きにチャレンジしている。クリステルさんは昨年末から、それまで3年勤めたIT企業を辞め、フルタイムで働きに携わっている。また、昨年4月からオンラインでオーストラリアの神学校に通い、伝道師となるための準備も進めている。
ミッションは、クリスチャンの若者がキリストから与えられた賜物を用いて、人々の救いの場、成長の場、交わりの場を備えること(2テモテ2:22)。また、キリストの家族として互いに励まし合うことで、キリストの証人としてのそれぞれの歩みをサポートすることだ。一人一人が賜物や個性を最大限に発揮できるよう、離れていてもほっと一息つける居場所づくりを目指していきたいという。
「『神様が今望んでいることは何か』を常に求めて考えることを心がけています。若者の団体は勢いがある分、いろいろな誘惑に遭いやすいと思います。自分たちの知恵に頼っていないか、自分たちの栄光を無意識のうちに求めていないかを常に意識して祈るようにしています。イエス様だけが有名になって栄光を受け取る、そういう団体になっていけたらと願っています」
今後は、地域の教会や学校、クリスチャンが経営する飲食店などと連携して福音を届ける働きに注力していきたいという。「日本のリバイバルへのうめきがどんどん大きくなっているのを感じています。その中で『てもて』が日本中の教会にとって祝福となれるように祈りながら、若者を伝道するためのいろいろな方法を探っていきたいです」
「てもて」は4カ月ごとに新しいメンバーを募集しているが、2月がその募集月に当たる。「地方にいて、信仰を励まし合える仲間がいない、教会に同じ伝道の重荷を持っている仲間がいない、という若者の皆さん、『てもて』でぜひ一緒に伝道してお互いを励まし合いながら、信仰を刺激し合えたらうれしいです」。応募はインスタグラムのリンクにある専用フォームから。