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【書評】『宗教からアメリカ社会を知るための48章』

2023年4月12日19時16分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:アメリカ
上坂昇著『宗教からアメリカ社会を知るための48章』(明石書店、2023年2月)+
上坂昇著『宗教からアメリカ社会を知るための48章』(明石書店、2023年2月)

先日、一冊の本が届いた。明石書店からである。10年前に拙著『アメリカ福音派の歴史―聖書信仰にみるアメリカ人のアイデンティティ』を出版してもらったことがあるため、その関係で何か目録でも送られてきたのかと思い、何気なく封を切った。すると、中から出てきたのが、今回取り上げる『宗教からアメリカ社会を知るための48章』であった。

著者の上坂昇氏(桜美林大学名誉教授)は、私にとっては雲の上の人。実際に博士論文を書く際には、上坂氏の『キング牧師とマルコムX』(講談社現代新書、1994年)や『神の国アメリカの論理―宗教右派によるイスラエル支援、中絶・同性結婚の否認』(明石書店、2008年)を通して大いに学ばせていただいた。2012年に拙著を出版した際、感謝の気持ちを込めて上坂氏に献呈させていただいたのだが、そのお礼として今回、こんな小さき者にもご配慮いただけたということらしい。この場を借りて、改めて御礼申し上げたい。

さて、本書は明石書店の「エリア・スタディーズ」シリーズに収録されている。「〇〇を知るための〇章」という言い回しは、このシリーズでは定番である。そして細かく章立てされた中身は、まるで辞書や辞典のようにこちらのニーズに応えてくれるほどの豊富な情報で満ちている。手に取ってページをめくっているうちに、一気に読み切ってしまった。そして改めて、この10年の時代の流れを痛感した。

私が拙著を上梓(じょうし)したとき、大統領はバラク・オバマ氏(第1期)であった。「Change - Yes, We Can!」の合言葉で、人々の心を掌握した「初のアフリカ系米国人大統領」である。しかし、あれから既に10年の歳月が流れている。その間に起こった出来事は周知の通りである。

例えば、民主党のリベラル路線に対する反動から、白人福音派層の絶大な支持を得たドナルド・トランプ氏が下馬評を覆して大統領に就任し、米国は一気に「アメリカ・ファースト」を標榜するようになった。現実は決して米国第一主義ではなかったのだが、マイノリティーとダイバーシティーに非寛容な社会を求める声が一気に噴出したことは事実である。

それから4年がたち、今度は民主党のジョー・バイデン氏が政権を奪取し、現在に至っている。そして来年、再び大統領選を迎えている。果たしてバイデン氏は2期目を迎えられるのか。それとも別の候補者が民主党内の予備選を勝ち上がるのか。はたまた、捲土(けんど)重来を期してトランプ氏が復活するのか。そのあたりの動向が、今後日本でもメディアを通して報道されていくだろう。

そして、このような政治の動向に並行するように、米国のキリスト教界もまた揺れ動く10年間であった。「米国の牧師」といわれたビリー・グラハム氏が逝去し、同性婚が連邦レベルで合法化される一方、中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決が半世紀ぶりに覆されたのだ。

本書は、このような動向をつぶさに知ることができる一冊となっている。誰が読んでも分かりやすく、またコンパクトにまとめられているため、自分の知りたいことに対して、一問一答のような形で回答を得ることができるだろう。

さらに秀逸なのは、幾つかの章の間に挿入されているコラムである。48章で語られる内容をしっかりと理解するための基礎知識や、その後にまつわるトリビアが満載である。中には思わず声を出して笑ってしまうような記述も散見する。著者のユーモアセンスが光っている。

加えて、随所に盛り込まれた表(例えば、主なメガチャーチ一覧、54ページ)や図(例えば、上下院議員の所属宗教、164ページ)などは、「よくぞここまで」という感じである。数字のみならず、それを図式化して再構成しているので、初心者の読み手に伝わりやすいし、専門家にとっても大きな流れをつかむのに有用である。

さらに、「宗教から」と銘打っているものの、教育や戦争などの時事問題、「クリスマス」という表現をめぐる文化的推移までを取り上げているため、いつしか米国全体を把握することがでるような構成になっている。決して宗教好きな人だけに特化した内容にはなっていないため、米国がいかに独自の宗教性を持っているかを知ることができると同時に、日本人が勝手に思い込んでいる「宗教」という枠組みを超えた「宗教性」の領域にまで拡大された全体把握が可能となっている。

本書を辞書や辞典代わりに用いるもよし、最初から丹念に読み通して、米国の「今」を大まかに把握するもよし、である。しかし、これはあくまでも「定点観測」の一冊であるため、ここから専門的な知識を拾い上げることは難しいだろう。どこまでいっても本書は「専門性への入り口の扉」である。だからこそ、多岐にわたるトピックスが収録されているのであり、さらに追究したいと思う者は、巻末に挙げられている参考文献を一冊ずつ当たることができるだろう。

本書は、ビギナーにとっても専門家にとっても、米国の「今」を知る上では有用である。そして、これらの知識を得て、来年行われる大統領選を考察するのも面白いかもしれない。

■ 上坂昇著『宗教からアメリカ社会を知るための48章』(明石書店、2023年2月)

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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