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ジョージ・フロイド事件(3)補遺その1 冷泉彰彦著『アメリカの警察』 事件を「警察組織」という面から理解する好著

2021年5月17日11時51分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:ジョージ・フロイドアメリカ
ジョージ・フロイド事件(3)補遺その1 冷泉彰彦著『アメリカの警察』 事件を「警察組織」という面から理解する好著+
冷泉彰彦著『アメリカの警察』(ワニブックス、2021年2月)

ジョージ・フロイド事件の有罪評決を受けて書いた寄稿の後編で、在米ジャーナリストの冷泉(れいぜい)彰彦氏が2月に出版した『アメリカの警察』を少しだけ紹介した。すると何人もの人から「この本はどんな内容なのですか」「詳しく知りたいです」という連絡を頂いた。「自分で買って読んでください!」と返そうとしたが、丁寧に内容と評価(どうして今この本を読むべきか)について、「補遺」として書いておくことは意味があると思うに至った。そこで今回は冷泉氏の著作を紹介したいと思う。

まず本書は、新書200ページ余りのとてもコンパクトにまとめられた著作である。値段も830円(税別)と、とてもお手頃。そして米国建国に始まり、今注目を浴びているジョージ・フロイド事件まで、見事に米国の200年余りの歴史をまとめ上げている。

「米国の警察」といえば、さまざまな種類の制服を着た人物たちが映画やドラマに登場している。「ダイ・ハード」シリーズのジョン・マクレーン刑事はニューヨーク市警。「X-ファイル」シリーズのモルダー捜査官とスカリー捜査官は連邦捜査局(FBI)。そしてアーノルド・シュワルツネッガーが政界引退後初主演を果たした「ラストスタンド」で演じていたのは、メキシコ国境付近の田舎町を管轄にする保安官。また、トム・クランシー原作の「ジャック・ライアン」シリーズの主人公は警察ではないが、米国の対外情報機関、中央情報局(CIA)の局員である。それ以外にも、SWAT部隊や大統領警護に当たるシークレット・サービスなど、一度は名前を聞いたことがある警察組織・情報機関が米国には多岐にわたって存在する。しかしその一方で、それらがどう連関しているのか、また逆に何が違うのかについて、私たち日本人はあまり理解していない。このあたりについて「かゆいところに手が届く」ように論を展開しているのも、本書の特徴の一つである。

ご存じのように、米国、つまりアメリカ合衆国とはその名の通り、「アメリカ(America)における各州の連合体(United States)」である。そのため、警察組織も「連邦(国)」「州」「市」と細分化され、しかも各々が独立した組織を形成しているのである。ここに西部開拓時代の名残である「保安官」が加わることになる。彼らはどのように連携しているのか、また組織的な上下関係はどうなっているのか、について述べられているのが本書の1章から3章である。

読み進めながら、上記の映画キャラクターが私の頭の中を駆け巡ったことは言うまでもない。なぜなら、ほとんどの場合、私たちは米国の映画やドラマの中で「米国の警察」と巡り合うからである。本書は、その原因と構図を見事に開示してくれている。これを読んでからハリウッド産のアクション映画を観るなら、単なる「アクション」を超えた「深み」を堪能することができるだろう。

4章では、米国と銃の問題を取り上げている。ここに政治的要素が加えられることで、問題がねじれていく様がとてもよく分かる。加えて、「どうしてあんなに銃乱射事件が頻発するのに、銃器を取り締まらない(または取り上げない)のか」という、日本人であれば誰もが抱くであろう疑問に対しても、明白な回答を突き付けている。特に銃を携帯する米国市民の心情を描き出しているところは何度も読み返したが、「うーん」とうならざるを得ないリアリティーがあった。

米国は「独立宣言」そして「合衆国憲法修正第2条」で、銃を携帯する権利(と解釈できる余地)を認めている。だから銃器は米国独立の象徴であり、これを奪うことはできない、ということになる。これは米国の歴史全体からの見地である。しかし、現代米国人のすべてがこの感覚を持っているわけではない。そしてこれだけで「銃社会」が形成されているわけではない。これを補填(ほてん)するのが、4章で述べられている銃携帯者の「本音」である。

そしてこの「本音」が今回のジョージ・フロイド事件の分析につながっていく。それが5章と6章で詳細に描き出されている。本事件の有罪評決に関して、米国の識者たちは「画期的だ」と手放しで喜ぶ者たちが多い。しかしそれで事件が終わるわけではなく、心情的なカタルシスを得ることができたとしても、米国の「警察組織」という制度面での改善がなければ、このような悲劇は繰り返されることだろう。事実、フロイド氏の事件後であっても、警官によって命を奪われるアフリカ系アメリカ人(黒人)は後を絶たない。そこに組織的欠陥があるとすれば? さらにその欠陥を補填する術が米国にない、またはその決断をしづらい歴史的背景があるとすれば? この問題は、事件を起こした警官個人の浅はかな行為を糾弾することで解決するものではなく、「米国の米国たるゆえん」に裏打ちされた巨大な宿痾(しゅくあ)の一つであるという現実を本書は投げ掛けてくる。

随所に日本の警察や日本の警察制度との比較があるため、その違いをより分かりやすく理解することができる。ぜひ一人でも多くの人に読んでもらいたい一冊である。次回は、ジョージ・フロイド事件にインスパイアされて製作された短編映画「隔祟る世界の2人」を取り上げたい。

■ 冷泉彰彦著『アメリカの警察』(ワニブックス、2021年2月)

<<寄稿後編へ     補遺(2)へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:ジョージ・フロイドアメリカ
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