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ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(2)地獄への恐怖

2023年1月25日15時39分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

10歳になったジョンは、ベッドフォードにあるグラマ・スクール(文法学校)「ホートン・コンクエスト校」に入ることになった。

両親は貧しく、鋳掛(いかけ)屋という卑しい職業で生計を立てていたが、子どもには正当な教育を施さねばならないという良識は持っていたのである。この学校で、ジョンは読み書きを教えられた。

しかし、彼は学校になじめず、勉強にも身が入らなかった。級友のほとんどが中流階級の役人や商人の子どもで、鋳掛屋のような低級な職人の子どもはいなかった。彼らは、汚らしい前掛けをして汗水たらして働く職人を軽蔑しており、事あるごとにジョンの悪口を言うのだった。

(あいつは卑しい職人の子だからね)ジョンはこんな悪口が聞こえてくるたびに眉をそびやかし、今にやつらをやっつけてやるぞ――と心に誓うのだった。

またジョンは、もったいぶった口調で教理を教える教師も大嫌いだった。「モーセの律法」について教えるのは校長だったが、彼はいつでも、神が人間に下す最後の審判についてもっともらしく語るのだった。

「律法を守り、正しい生活をする者は、審判を受けた後天国に迎えられる。しかし、悪いことをした者は、地獄に行くのだよ」

「先生!」ジョンは、手を上げると質問した。「地獄に落とされる人ってどんな人ですか?」

「モーセの律法にあるように、神様を尊ばない者、人殺し、盗みをはたらく者、それからうそつき、親不孝者、お金や物を盗む者・・・そういう人だ」

「それじゃあ、そういう人は、もう天国へは行けないのですか」。「そうです。永久に地獄で苦しむのです」

ジョンは震え上がった。このような人たちは、みんな自分に当てはまるではないか。人殺しはしていないが、うそはつくし、神様を汚す言葉は終始口にしている。家からこっそりお金を持ち出して買い食いしたこともある。

親不孝者といえばこの自分を指すし、いつでもお金や物が欲しくてガツガツしている。つまり、自分みたいな人間が最後の審判で地獄に落ち、永遠に火で焼かれるのだ。

「もういいよ。そんな心の狭い、ケチな神様なんか信じたくないや!」いきなりジョンは立ち上がると叫んだ。教師は信じられないというように目をむいた。

「そうでしょう? 先生。どうせ自分は天国に入れてもらえないんだから、そんな神様の顔も見たくないや」。そして、教室を出ていこうとした。

「待ちなさい!」教師は引き止めた。そして、今なら間に合うから、何かこの子に教訓を与えようとした。しかし、ジョンは聞こうとせず、荷物をまとめると、そのまま学校をやめて家に戻ってきてしまった。

父親のトマス・バンヤンは、息子が1年足らずで学校をやめてしまったことに落胆したが、彼の特別な性格を理解していたので、叱ったり強制したりはしなかった。(あの子をこれ以上学校に縛りつけても、ますます性格が歪んでしまうだろう)そう考えた父親は、息子にこう言った。

「おまえが、それほど学校が嫌いで行きたくないなら仕方がない。無理にとは言わん。その代わり、ここにいて鋳掛屋の修業をしろ。真っ黒になって働くんだ。われわれ職人はな、偉い聖職者や学者のように学問をして世の中の役に立つことはできない。だが、こつこつと日々の働きを続けていけば、神様は祝福してくださり、天国につれてってくださるぞ」

父親の言葉はジョンの胸に染み通り、翌日から、彼は生まれ変わったように働き始めた。こうしてジョンは、父の仕事を手伝い、朝から晩まで一生懸命に働くうちに、いつの間にか地獄の恐怖を忘れるようになり、夜うなされることもなくなった。

そんなある日のこと、それは素晴らしい秋晴れの日だった。仕事に疲れたジョンがふと空を仰いだとき、神々しいほど輝く雲の中に、ほんの一瞬だが壮麗な建物を見たように思った。(ああ、あれは神様の住居だ)そう思って目を凝らすうちに、その光景は消えてしまった。

両親に話すと、夢でも見たのだろうと笑われたが、妹のマーガレットは真面目に話を聞いてくれた。「兄さん、あたし信じるわ」。そう言って、彼女は天を仰いだ。

「そこにいらっしゃる神様は情け深い方よ。地獄って本当にあるかもしれないけど、でも神様は、いつかはあたしたちをその中から救い出してくださるわ」

ジョンは驚いて妹を見つめた。マーガレットは、特別に霊的な資質を持った子だったのである。

*

<あとがき>

10歳になったジョンは、グラマ・スクールに入学しますが、この学校は彼にとって居心地のいい所ではありませんでした。級友は貧しい鋳掛屋の息子である彼をからかったり、悪口を言ったりして友達になってくれる者はいませんでした。また教師も、神の恐ろしい審判ばかり語って子どもたちを抑え付けるだけだったので、ジョンは教師にくってかかり、そのまま学校をやめてしまいました。

これに対して、父のトマス・バンヤンは決して息子を叱らず、自分たちのように卑しい職業の者は、毎日汗水たらして誠実に働いていれば、きっと神様は天国につれていってくださると諭すのでした。ジョンはこの父の言葉に心を打たれ、それからは真面目に働くようになりました。

そんな彼に、ある時神は素晴らしい天の都の幻を見せてくださったのでした。彼が妹にこれを話すと、妹は全てを信じました。この時、この妹のマーガレットは既にキリストの贖罪(しょくざい)愛を知っていたのです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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