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小菊時計

小菊時計(3)トモダチ 星野ひかり

2022年9月1日10時24分 コラムニスト : 星野ひかり
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小菊時計 星野ひかり+

介護職の夜勤の専属として働いてつらいところとは、体内時計がくるってしまい、‘いつだって眠い’ ということでしょうか。しかし今の私には、この四六時中襲ってくる睡魔こそ、神様の与えられる癒やしのようでありました。仕事の時間以外は、もっぱらベッドで毛布にくるまり、神様とお話ししていられるのです。

ぼんやりした頭で柔らかいシーツに顔をうずめると、イエス様の背中の温かさを感じるようです。私はイエス様の背中にほおをうずめて、イエス様におぶられていることを感じます。

「わたしはあなたがたの年老いるまで変らず、白髪となるまで、あなたがたを持ち運ぶ。わたしは造ったゆえ、必ず負い、持ち運び、かつ救う」(イザヤ46:4)

イエス様の背中からみことばが響いてくるようでした。イエス様はその大きな背中に私を背負い、一日一日を越えさせてくださっておりました。自分の力では今日一日だって、どうやって生きられたというのでしょう。

「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない」(ヨハネ14:6)

そうイエス様ご自身が宣言されたように、イエス様以外に道はありませんでした。イエス様だけが光となって、道を照らしてくださいました。その道は、天の世界へと続く細く、しかし唯一確かな道でありました。自分の足で縦横無尽にこの世界を歩き尽くしたからこそ、心からそう思えました。

自分の考えで選び取るどの道も、袋小路に続いていました。この世で、自分の力で満足に生き切ったと言える人も中にはいることでしょう。しかし、死の向こうはどうでしょうか。その向こうに永遠の命、とわに住む素晴らしい神の都が見える道は、やはりこの道以外にないのです。

私は幸せに満たされて、聖句を口ずさみました。「苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを学ぶことができました」(詩編119:71)と。

すると、聖歌の「人生の海の嵐に」が、窓の向こうの風に運ばれて聞こえてくる気がしました。

♪悲しみと罪の中より 救われしこの身に
誘いの声も魂、ゆすぶること得じ
いと静けき港に着き われは今 安ろう
救い主イエスの手にある 身はいとも安し♪

小菊の花びらの散りばめられた、それは大きな小菊時計が目の前に浮かび上がりました。針をゆっくりとさかのぼらせ、懐かしく、悲しい、目を覆いたくなるような情景が、うっすらと、そしてはっきりと眼前に開けていくのです。

*

毒りんごを売る魔女がいるのは、物語の世界だけではありませんでした。この世界にも、それは優しい笑みを蓄えて ‘あなたの友達’ を名乗る毒りんご売りはおりました。

「なに、あなたそんな憂鬱(ゆううつ)に悩んでいるの? すごく楽になる薬、あるのよ?」会ったばかりの ‘トモダチ’ と朝まで遊んだ後のファミレスで、彼女は身を乗り出しました。彼女の顔をまじまじと見つめると、悩み一つない明るさをたたえた笑みで、それは麗しくうらやましく見え、私は目を輝かせて身を乗り出しました。

「ほんとう!?」「ほんとうよ。悩みなんて秒で吹き飛ぶわ。私うそは言わないわ」。教会で育った私は、この世の闇にあまりにも無知でありました。この世の底の暗がりには、その暗闇を紛らわすための、恐ろしい薬があるということは知っておりましたが、まさか私の人生にそんなドラマの道具のようなものが現れることなどないと高をくくっていたのです。

「欲しいわ。実家に帰っても憂鬱でたまらないの」。「ならうちに泊まってなさいよ。薬もあげるわ。トモダチだもの」。なんて素晴らしい友達だろう、と私は感極まって、その足で彼女の家に転がり込み、一緒に暮らし始めたのです。

都会の真ん中にあるワンルームの彼女の部屋で、私たちはそれは愉快に暮らしました。彼女のドレッサーの引き出しには、銀の装飾の宝石箱がありました。その宝石箱の中には、いろいろな薬がそれはきれいに並べられ、収められていたのです。彼女は魔術師のように、それらの使用法と効能を教えてくれました。

「これはあぶって吸うのよ。気持ちがとっても楽になるわ」。「これは気持ちが落ち込んだときにとってもいいわ。砕いて鼻から吸い込むのよ」。「これは、ハイになり過ぎたときに飲むといいわ。鎮静剤のようなものね」

私は彼女に導かれるままに、いろいろな薬を試しました。笑いが止まらなくなって困ることもありました。でもそれもまた楽しくて、異常な愉快さがまた愉快で、道路を踊りながら渡って牛丼を食べに行きました。甘いものがさらに甘く感じられ、それは綿あめのように頬を溶かしました。

「こんなにおいしいもの食べたことない」。「牛丼だよ」。私たちはまた、笑いが止まりません。

しかし、そんなことを続けていると、突如骨の髄が震えるような孤独と不安が襲ってくることがありました。彼女は母親のように私に寄り添い、過呼吸になった私の口元に慣れた手つきでビニール袋をあてがい「ゆっくり深呼吸して。だいじょうぶ。しんぱいない」と繰り返しました。

まるで本当の母親のように背中をさすられ、私は彼女にしがみついて泣きじゃくりました。「お母さん!」彼女は、それは優しく私の背中をポンポンと叩き、「よしよし」とあやしてくれました。

私の母は、熱心なクリスチャンでありましたが、それは厳しい人でありました。事あるごとに、「そんなことをしてイエス様はどう思うか」と問い詰められ、私は壁際に追い詰められて説教をされたものでした。

母はイエス様を愛していました。しかし、イエス様の名のもとに私はよく怒られ、追い詰められたのです。日曜日に教会に行くことを嫌がると、それは激しいかんしゃくを起こされました。

私の中には「お母さんは私よりも、教会が大事なんだ」、果ては「私よりもイエス様が大事なんだ」と思う気持ちが膨らんでゆき、イエス様に対して嫉妬心を芽生えさせていたのです。私はまだ子どもで、信仰告白をしたとはいえ、イエス様よりもお母さんが好きでした。

*

今日は休日であるために、午後からの家庭集会になんとか出かけていきました。おいしいチョコレートと紅茶を頂きながら、先生から聖書のメッセージを聴きます。少人数の信徒たちで囲んだ丸いテーブルの向こうにあるレースのカーテンからは、程よく日差しが差し込んでいて暖かでした。

先生は、「現に見ている兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することはできない」(1ヨハネ4:20)という聖句から、縦の神様とだけ関係が良好で、横の兄弟姉妹との関係が築けないことは、けっして神様のみこころではなく、逆もまたしかりであると静かにお話しされておりました。

先生の目じりは年相応にしわが刻まれ、その優しいまなざしを通して、みことばが心に染み入りました。隣には母がほほ笑んでいました。紅茶は甘く、温かでした。そしてそれ以上に、甘く温かな空気が、小さなダイニングに満ちていました。

「苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを学ぶことができました」(詩編119:71)

(つづく)

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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