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小菊時計

小菊時計(1)プロローグ 星野ひかり

2022年8月4日21時38分 コラムニスト : 星野ひかり
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小菊時計 星野ひかり+

「そして主は彼を外に連れ出して言われた、『天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい』。また彼に言われた、『あなたの子孫はあのようになるでしょう』。アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた」(創世記15章)

空一面の星くずを見上げて、主の言葉を信じた父祖アブラハムは、なんと孤独であったことでしょう。土煙が立ち上る深い夜に、蜜のように甘い草木の香りが漂う中で、ひらけた空の下にたたずんで、今では見ることのできないほどに輝いた星くずを見上げたアブラハムの姿が目に浮かびます。アブラハムは、孤独でありながら、その心はどんなにか満たされていたことでしょうか。

この世と己を切り離して、主との道を歩んだからこそ、父祖アブラハムは主の御声を聴き、主の友と言われたのですから。主との関係、それはイエス様がそうされたように、「ひとり、寂しいところで」築かれていったのでしょうから。

私の目は、長いこと主を求めず、地の果てへとそのまなざしは向けられていました。「さとき者はその顔を知恵にむける、しかし、愚かな者は目を地の果(はて)にそそぐ」(箴言17:24)とある通りです。そして、私は主のねたみを引き起こしました。主は、ねたまれるほどに私を愛しておられ、故に主ご自身のもとへと引き戻されました。私はほうほうの体で主の家に帰った放蕩娘でありました。主はそれまでのお怒りを忘れ、私に金や銀の指輪をはめ、上等な着物を着せて、ご自分の家に帰ってきたことを喜んでくださいました。

これは放蕩の限りを尽くした、放蕩娘の物語。私は主の際限ない祝福の中で、放蕩に出た日のこと、放蕩の日々を思い返しては主の私へ注がれた愛を思うのです。「わたしは、ねたむ神である」(出エジプト20:5)。そのねたみの激しさを私はこの身に受けました。それは私の身を焼き骨にするほどの、愛の熱風でありました。

それは今思うと、どうやって生きてこられたのか分からないほどでありました。ぼろぼろのほうほうの体であって、もう力などどこにもないというのに、どうやってか私は天の父の家に帰り、どうして今日まで命があるのだろうと思うほどです。それは「わたしはあなたがたの年老いるまで変らず、白髪となるまで、あなたがたを持ち運ぶ。わたしは作ったゆえ、必ず負い、持ち運び、かつ救う」(イザヤ46:4)とある通りに、神様が私を背負って持ち運び、今日も生かされているとしか思えないのです。

私は放蕩の限りを尽くして心も体もぼろぼろであり、その疲れによって今日も私の四肢はだるく重たく、体をベッドに横たえるばかりです。それでもどこから力が湧いてくるのか不思議なほどなのですが、何とか仕事に出て働けて、教会も礼拝から家庭集会、祈祷会だって出ています。神様が私を背負われて、運ばれているとしか思えない奇跡を生きています。

重たい体を引きずって、なんとかシャワーを浴びた後、実家の2階の自室で、今日もベッドに横になり、天井を見上げておりました。介護施設での肉体労働に慣れることはなく、今日もへとへとのくたくたです。腰も膝もきしんでキィキィ悲鳴を上げていました。私は神様の御手の上に包まれるように抱かれて、体を休め、照明を落とした暗い部屋に横たわって天井を見つめておりました。すると、暗がりの中でも際立って輝く光の粒が、小菊の花びらを散りばめた大きな時計の姿に代わり、その針をさかのぼらせてゆくのです。私は小菊時計の中に吸い込まれ、いつか天の父の家で退屈に過ごしていた幼き日まで時をさかのぼってゆきました。

*

私は熱心なクリスチャンの両親の元、毎週教会に通っていました。日曜日は朝の10時から教会学校。紙芝居で年長の先生たちが父祖アブラハムの物語を聞かせてくれておりました。耳にタコができるほど聞かされた物語です。

イエス様のことも、小学5年生の時に信じることを告白しました。自分の身代わりに罰を受けてくださったイエス様のことを信じ、天のお父様とイエス様に愛されて、食べ物も飽くほどに与えられ、おせっかいで優しい牧師先生や温かい兄弟姉妹に囲まれて教会中心の生活を送っていました。

天の父の家には何でもありましたが、私は不意に出るあくびを隠しておりました。「退屈だな」。そんな心が芽生え始めたのは、中学校生活も半ばにあったころでした。教会では、「同じクリスチャンの兄弟姉妹の交わり」の大切さをよく教えられておりました。世界は悪魔が支配する恐ろしいところであり、吠えたけり、喰(く)うべきものを探して歩いている悪魔から、教会という天の父の家で身を寄せ合って祈り合い、守り合ってはじめて、世の中に出て行ってイエス様のことを伝えるのだ、と教えられておりました。

しかし私の目には、学校で友達から回ってくる漫画本や雑誌にあるきらきらとしたものたちに瞳が輝いていったのです。おしゃれな服を着て、男友達と仲良くして、もてはやされて楽しんでみたい。きれいなペンダントやブレスレットの似合う、細い首や腕が欲しい。そんなことに心は揺れ動いていったのです。成績は悪くはありませんでした。しかし私は推薦でたやすく入れる、制服のおしゃれな高校を選びました。

それでも教会には、必ず通っておりました。私が髪を染めたり、短いスカートを履き出したりしたことを教会の兄や姉も気付いていたことでしょう。祈り会では私のために祈っているといううわさが聞こえて、うんざりとしました。幼い頃からの習慣であった聖書を読むことは、やめてはいませんでした。しかし、聖書の世界が次第に遠のいて、まるで物語の世界のように自分とは隔たれたものへと感じられていきました。

ある日、コンビニの裏で、友達に勧められて缶チューハイを飲んだとき、酔いも相まってそれは良い気分になり、‘この世界を縦横無尽にゆきめぐり、私はすべてを手に入れられる’ そんな錯覚に陥りました。見渡した町は、明かりの一つ一つがそれはキラキラと輝いており、車が通ることのほとんどない車道に飛び出して、仰向けになって空を仰ぎました。「何やってんだよ」。友達もそれは愉快そうに笑っていました。星たちが明滅してあたりはきらめき、私も笑いが止まりませんでした。

真実の世界がうつろいでゆきました。神様、イエス様、聖書、教会、兄弟姉妹・・・それしか知らなかった私の世界は、新しい扉を開くように移り変わっていったのです。私は思いました。「私は何も知らなかったのだ」。そして「知りたい」と思いました。教会にいては知ることのできなかったこの世界の隅々まで、知ってこの手に収めたい。そう思い始めていたのです。

異教の渦巻くカナンの地で、祭壇を築いて礼拝をささげたアブラハム、またはエジプトのゴシェンの地に住み、エジプトと自分たちを切り分けて暮らした、ヤコブの家族たち。この世と切り分けて、己を主のものと聖別して歩んだ神の民の道のりの果てに、私たちの主イエス・キリストがお生まれになりました。私はアブラハムの子孫とはもはや言えず、喜び勇んで異教の神との姦淫を始めたのです。その神は悪魔であったことを、今ははっきり分かります。悪魔の花嫁になるための身支度をするようにいつも鏡を見て、日ごとに濃くなる化粧に熱心でありました。

そしてある頃から、教会に行かなくなりました。もう同じ道を歩むことはできないと、私は神に、教会に背を向けて歩き出したのです。それはよくあること、思春期を過ぎた青年たちが教会を離れるのは珍しいことではないのだと、立ち去っていったのです。

両親がののしり合う声が、真夜中の静寂に聞こえておりました。私がこうなったのは誰のせいか、責任を押し付け合っているようでした。「さすがアダムとエバの子孫だわ」。私はたばこの煙を天井に向かってふかしました。これはずっと企んでいた ‘復讐’ なのかもしれない、とふと頭をよぎりました。何に? 誰に? よく分かりません。でもとっさにそう思ったのです。(つづく)

次回へ>>

◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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