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宗教は現代社会で何を求められているのか 芦名定道・関西学院大学神学部教授が講演

2022年8月6日08時09分
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関連タグ:阪神宗教者の会芦名定道関西学院大学
芦名定道+
講演した関西学院大学神学部の芦名定道教授

欧米など先進国では「宗教離れ」が進んでいるといわれるが、果たして本当に宗教は衰退しているのか。また、変化の著しい現代社会において、宗教は何を求められているのか――。キリスト教神学や宗教哲学が専門の芦名(あしな)定道・関西学院大学神学部教授が、6月に開かれた「阪神宗教者の会」の例会で、「現代世界と宗教哲学の可能性」と題して講演した。芦名氏は、宗教哲学の成立背景や日本の宗教構造などを概説しつつ、キリスト教を含めた伝統的な宗教が現代社会で問われている役割について語った。

宗教哲学の成立

宗教哲学が一つの学問分野として成立したのは近代。その成立において重要な役割を果たしたのが、共にドイツの哲学者であるイマヌエル・カント(1724~1804)と、フリードリヒ・シュライアマハー(1768~1834)だという。芦名氏は、カントが、人間にはそもそも宗教的である可能性があるという論を展開したと説明。「『可能性』であるため、すぐに現実化するわけではない。宗教に疎遠な人もいる。しかし、(カントは)人間には本来、宗教性が備わっているとし、そのようにして宗教を人間の本質として考えた」と話した。そして、このカントの思想をさらに深めたのがシュライアマハーだという。

その後、宗教哲学の輪郭は曖昧なものとなるが、英語圏ではキリスト教思想との連続が明確で、比較的まとまった議論が確認できる。その代表的な人物がジョン・ヒック(1922~2012)で、著書『宗教の哲学』は宗教哲学の教科書的な位置付けにあるという。

宗教哲学が成立した背景には、大航海時代と啓蒙主義という近代特有の状況があった。それまで地中海を中心とした世界観だった欧州の人々が、大航海時代に入ったことで、世界にはさまざまな宗教が存在することを発見する。そして、多種多様な宗教を見いだす中で、自らが信じるキリスト教をどのように位置付けるかを探求することになる。一方で、理性を重視する啓蒙主義は、理論的にキリスト教を批判するだけでなく、教会や修道院を破壊・没収するなど実力行使に発展することもあり、こうした批判に応える必要も出てきた。このような状況から、宗教の存在意義や本質を究明する宗教哲学が生まれることになった。

宗教哲学の2つのタイプと3つの基本的な問い

芦名氏によると、宗教哲学は大きく2つのタイプに分けることができる。1つは、神や悪、罪といった宗教固有のテーマを扱う「宗教の哲学」。もう1つは、宗教社会学や宗教心理学といった宗教を扱うさまざまな学問の研究について、その合理性や方法論の妥当性などを扱う「宗教研究の哲学」。

芦名氏はまた、宗教哲学の3つの基本的な問いとして、①宗教の概念規定、②宗教批判、③宗教的多元性を挙げた。②は、啓蒙主義などによる宗教批判への応答となるが、そのためには批判が宗教に対する誤解に基づくものであることを説明する必要があり、「宗教とは何か」といった根本を問う①につながる。また、扱う対象は特定の宗教ではなく、世界に存在するさまざまな宗教となり、③が求められる。

これら3つの問いは、現代のさまざまな宗教研究においても、問題設定や方法論に関わる重要なものだという。例えば、「現代において宗教は衰退している」というとき、「宗教=教会などの宗教施設」と考えてよいのか。宗教施設の数が減れば、それが宗教の衰退といえるのか。芦名氏は、宗教研究においては常に「宗教とは何か」が問われるとし、これら3つの問いが重要になってくると語った。

世俗化論の誤りをデータで読み解く

その上で芦名氏は、1960年代に盛んだった「世俗化論」を取り上げた。世俗化論とは、社会の近代化に伴い宗教は衰退するという考え。芦名氏によると、世界的にはすでにその誤りが指摘され過去のものとなっているが、日本においてはいまだにこうした考えを持つ人々が一定数いるという。

世俗化論の誤りを示す一例として芦名氏は、英エディンバラ大学が出版している『世界キリスト教百科事典』(第3版)から、世界人口の約6割が信じている世界三大宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)の人口比較を提示した。

各宗教の1900年から2050年(予想)までの人口変化を見ると、キリスト教は対世界人口比で32・3~35・0%の間で推移してほぼ変わらず、仏教は若干減退傾向にはあるものの6・1~7・8%の範囲に収まっている。さらにイスラム教にいたっては、1900年に12・4%だったのが、2050年には28・4%と150年間で2倍以上に増えることが予想されている。

また、キリスト教の衰退が著しいといわれる欧州は、確かにキリスト教の人口比は1900年の68・2%から2050年の14・7%と大幅に減少しているが、信者数自体は2015年までは一貫して増えており、2050年であっても約5億人の信者がいると予想されている。一方、キリスト教の発展が著しいアフリカはその逆に、1900年は人口比1・7%だったのが、2050年には38・7%まで成長。キリスト教信者はアフリカだけで13億人を超えると予想されている。

世界人口は、1900年は16億人で、2050年には97億人と約6倍に増加すると予想されている。しかし、宗教人口の伸びは世界人口よりも急速で、芦名氏は「宗教が衰退しているとは、非常に考えにくい」と語った。

世俗化論は何を誤ったのか

では、世俗化論は何を誤っていたのか。芦名氏はまず、宗教哲学を含めた哲学がこれまでとってきた方法論について、哲学者個人の経験や直感に頼っている面が大きいことを指摘。個人の経験や直感には限界があり、哲学であっても、データの裏付けをしながら進めていく必要性を語った。

その上で、世俗化論が陥ってしまった具体的な誤りとして、近代と宗教の関係を「宗教=反近代、近代=反宗教」という単純な対立図式で捉えていたことを挙げた。「この単純な対立図式から、より歴史の現実に即した宗教理解、関係理解へと移行する必要がある」。芦名氏はそう言い、「あまりにも単純な対立図式ですべてを片付けるのは、宗教にとっても、世俗のさまざまな思想にとっても不幸なこと」と語った。

また、これまでは「宗教」というとき、制度化された宗教が念頭に置かれてきたが、現代は制度化された宗教を中心としながらも、より広がりがあると指摘。「宗教は衰退しているというよりも、形が変わり(形態変化)、さまざまな形を持つようになってきている(多形化)」。芦名氏はその上で、制度化されていない宗教がより重要になってきていると指摘したトーマス・ルックマンの「見えない宗教」や、宗教を含めた個人化論で知られるウルリッヒ・ベックの「私だけの神」、本来宗教ではないものが宗教的な役割を果たしていることを取り上げたパウル・ティリッヒの「擬似宗教」などを紹介した。

日本の宗教構造

宗教哲学の成立背景や概要、また世俗化論の誤りなどを述べた上で、芦名氏は日本の宗教について語った。

芦名氏によると、日本の伝統的な宗教構造は、①基層宗教、②民族宗教、③世界宗教の3層になっており、非常に特徴的な重層構造になっているという。①は、アニミズムやシャーマニズムで、日本の民族概念がまだ成立していない段階における神道もこれに該当する。②は、大和朝廷以降の天皇を中心とする神道で、明治以降はこれが国家神道へとつながっていく。③は仏教。そして、これらの3層が歴史的な状況により互いに結び付いていく。例えば、仏教には本来、先祖崇拝はなく、先祖崇拝の色濃い日本の仏教は「極めて日本的な仏教」であり、神道と仏教が融合した神仏習合も見られる。

芦名氏また、宗教の重要な役割の一つとして、共同体の統合があると説明。日本においては、天皇を中心とする神道、特に国家神道が明治以降、近代国家をなしていく上で重要な役割を果たしたと語った。また、前述の重層構造にはさらに儒教の伝統も影響しており、天皇を親、国民を子とするような「国家=家族の拡大版」とする捉え方は儒教的だという。こうした共同体の形態は、その共同体の宗教形態にも対応することになり、日本の伝統的な宗教は家族的共同性を基盤とした「家の宗教」という特性がある。

だが、特に戦後は、日本の家族の姿が大きく変容していく。近年は、結婚しない人も増えており、子どもがいない家族も珍しくなく、都会では単身者が増加している。日本の宗教が家族的共同性を基盤とする特性がある以上、家族の姿が変われば、宗教の在り方も変わっていく。実際に、こうした変化は新宗教の動向からも読み取ることができるという。その一方で、日本の伝統的な宗教は、それまでの基盤が大きく揺らいでいることになる。

宗教に求められる「新しい共同性の創出」

家族や地域社会における共同性が大きく変容、あるいは崩壊していく中で、宗教、特に伝統的な宗教はどのような役割を果たしていく必要があるのか。芦名氏は、一人だけで生きていける強い人も存在するかもしれないが、多くの人は、共に生き、その中で安心を感じられる場が必要だと指摘。「共同性をもう一度活性化する、場合によっては、新しい共同性を創出することをしていかなければならない。伝統的な宗教はこれまでもそれを担ってきたし、今後もその基盤になっていくことが求められている」と語った。

最後には、新約聖書から、イエスが「神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ」と話した場面(マルコ3:31~35他)や、「神の家族」(エフェソ2:19)といった言葉を紹介。「そこには新しい共同性が見えてくる。家族が新しく意味付けられている」と言い、聖書に見られる新しい共同性の創出の姿を提示した。

阪神宗教者の会は、専門家を講師に招いた例会を毎月開催している。次回は、8月26日(金)午後5~7時にオンラインで開催され、在日中国人2世で旅日華僑中日交流促進会共同代表の林伯耀(りん・はくよう)氏が「ウクライナと台湾の相違について」と題して語る予定。問い合わせは、阪神宗教者の会世話人代表の岩村義雄氏(メール:[email protected]、電話:070・5045・7127)まで。

関連タグ:阪神宗教者の会芦名定道関西学院大学
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