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畳の上で死にたいと願ったのに 安食弘幸

2022年3月2日20時24分 コラムニスト : 安食弘幸
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畳の上で死にたいと願ったのに 安食弘幸+

「わたし自身、あなたがたのために立てている計画をよく知っている。――主のことば――それはわざわいではなく平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ」(エレミヤ29:11)

オバアチャンの口癖は「ワタシャ死ぬときは畳の上で死にたい!」です。しかし、周囲の人は言います。「オバアチャン、今のご時世それは無理な話だよ。病気になれば大抵病院に運ばれて、死ぬときはベッドの上だよ。それに今は、交通事故や事件に巻き込まれて命を落とす人も多い時代だよ。畳の上で死ぬなんて、大往生できる人は滅多にいないよ」

それを聞くとオバアチャン、ますます「畳の上で死にたい」という気持ちが強くなったのです。そしてついに、素晴らしいアイデアを考え付きました。

次の日からこのオバアチャン、畳を背中にしっかりと背負って歩くことにしたのです。「これならどこでどんな死に方をしようが、間違いなく畳の上で死ねるわ!」

その日もオバアチャンは、背中に畳を背負って出掛けました。しかし、玄関を出た所でつまずいて、前のめりにバタッと倒れてしまいました。そして、打ちどころが悪くてそのまま亡くなってしまいました。

あれほど「畳の上で」と願っていたオバアチャンでしたが、最後は「畳の下」で亡くなったのです。

私たちの人生は、自分の願いや計画通りにいかないことがしばしば起こります。私たちは、自分の最善や幸せを願って計画を立てるわけですから それが実現しないとき、がっかりします。失望します。落ち込みます。「神も仏も無いものか」と文句を言いたくなります。

しかし創造主なる神は、私たちの人生にもっと別の計画、もっと良い計画を持っておられるのだと知ることは、大きな励ましであり、慰めです。

一つの詩を紹介します。この詩は、南北戦争に従軍した南軍の兵士の作だと思われます。この無名の兵士の詩が広く人々に知られるようになったのは1950年代、米国の政治家A・スティーブンソンが、クリスマスカードに記したことがきっかけだそうです。

彼は52年と56年の大統領選に民主党候補として出馬しましたが、2度ともアイゼンハワー大統領に敗北します。その失意のさなかに、彼は田舎の教会でこの詩を見つけ、深い感銘を受けたのです。

A・スティーブンソンから贈られたクリスマスカードを見て、ハーワード・H・ラスク博士(リハビリの父)もこの詩にいたく感動しました。そこで彼は、銘板を作り、自分が創立したニューヨークにある物理療法リハビリテーション研究所の受付ロビーの壁に掲げたのです。

その後、この詩は多くの悩める人々に慰めと励ましを与え、世界中へ広がっていったのです。

*

「苦難にある者たちの告白」

大事を成そうとして
力を与えてほしいと神に求めたのに
慎み深く、従順であるようにと
弱きを与えられた…

より偉大なことができるように
健康を求めたのに
より良きことができるようにと
病弱を与えられた…

幸せになろうとして
富を求めたのに
賢明であるようにと
貧困を授かった…

世の人々の称賛を得ようとして
権力を求めたのに
神の前にひざまずくようにと
弱さを授かった…

人生を享楽しようと
あらゆるものを求めたのに
あらゆることを喜べるように
命を授かった…

求めたものは一つとして
与えられなかったが――
願いはすべて聞き届けられた

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
心の中の言い表せない祈りは
すべてかなえられた。
私はあらゆる人の中で
最も豊かに祝福されたのだ!

(作者不明)

*

(原文)

A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED

I asked God for strength, that I might achieve
I was made weak, that I might learn humbly to obey…

I asked for health, that I might do greater things
I was given infirmity, that I might do better things…

I asked for riches, that I might be happy
I was given poverty, that I might be wise…

I asked for power, that I might have the praise of men
I was given weakness, that I might feel the need of God…

I asked for all things, that I might enjoy life
I was given life, that I might enjoy all things…

I got nothing that I asked for -- but everything I had hoped for

Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.
I am among all men, most richly blessed!

AUTHOR UNKNOWN

◇

安食弘幸

安食弘幸

(あんじき・ひろゆき)

峰町キリスト教会牧師。1951年、島根県出雲市に生まれる。関西学院大学社会学部卒。大学時代は硬式野球、関西六大学リーグのスラッガーとして活躍。関西聖書学院卒。セント・チャールズ大卒(哲学博士)。JTJ宣教神学校講師、国内外の教会や一般企業、ミッションスクール、病院、福祉施設などで講演活動を行っている。著書に『キリストを宣べ伝える―コリント人への手紙第二』『心の井戸を深く掘れ』『道徳力―モーセの十戒に学ぶ―』『ルツの選択、エステルの決断』など多数。

■ 峰町キリスト教会ホームページ
■ 峰町キリスト教会 YouTube
■ 峰町キリスト教会 Facebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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