社会主義国として知られるカリブの島国キューバで7月11日、大規模な反政府デモが行われた。このデモはここ数十年で最大規模だ。
キューバでは今、コロナ感染者が急増しており、医療や食料品、生活必需品の欠乏が深刻化している。また、パンデミックにより島の主要産業である観光業が停滞したため、多くの人々が絶望的な経済状況に陥っている。これが民衆の怒りに火をつけたのだ。
そもそも、報道や言論が政府によって統制されているキューバで、なぜ大規模な反政府抗議活動が起きたのか。これはいわゆる「アラブの春」ならぬ「カリブの春」と言える現象による。キューバ政府は2018年12月に、携帯電話のネット接続を解禁した。これにより人々は、SNSなどを通じて外の自由な世界に触れ、またSNSを通じて互いに連携、団結するようになった。そこにきて、今コロナ禍の物資不足が引き金となって、今回の大規模反政府デモに発展したのである。
これに対して政府は、ネットを遮断し民衆の分断を謀った。この抗議活動中に、活動家やジャーナリストを含む少なくとも100人が行方不明になっている。
このデモは、キューバ系米国人が多くいるフロリダにも波及し、参加者らはバイデン大統領に、キューバ政府の圧政に対して介入するよう求めた。バイデン大統領は、懸念を表明してはいるが、具体的な行動は起こしていない。
キューバで活動する宣教団体は、キューバ全土で教会を設立し、人々を弟子化している。ネットワークの切断は彼らの働きにも支障をきたしている。
キューバの自由と宣教拡大のためにお祈りいただきたい。
■ キューバの宗教人口
カトリック 48・4%
プロテスタント 7・5%
無神論者 25・0%