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日本宣教論

日本宣教論(82)生涯雇用の衰退 後藤牧人

2019年1月8日21時07分 コラムニスト : 後藤牧人
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関連タグ:後藤牧人

この小論の執筆は、折しも日本の経済が底を打ったと思われている時期に当たっている。企業は旧来の形態を避け、生涯雇用を廃止しようとしている。では、職場の共同体は崩れているのだろうか。

先日、テレビで見たことであるが、ある大規模小売店舗のチェーンで、店長を含めてすべてがパートという店がある。店長も正規の雇用でなくパートであり、時給が他のパートより200円ほど高いのみである。

他の例では、ラーメン屋のチェーンでパート従業員にコック教育をし、コック資格の認定のための試験制度を用意している例がある。幾つか段階があり、合格者の中から、パート労働者のまま店長になる者が出ている。報酬といえば、時給が2倍近いということだけである。

日本人はこのように生産者集団、または業務集団(hands-on work group)への帰属の願望が強い。生産者集団とは、社交集団(social fellowshipping group)に対してそう呼んだ。日本人は、そのような業務集団の中で自分の位置を確認し、そこでの機能を果たしたいと願っており、それが満たされるとき、精神的に安定する。そうすると人生に張りがあり、生き甲斐を感じるのである。

日本人は、このような職場の共同体に所属し、その中で仕事を愛し、仕事に誇りを持つことを許されている。仕事場をきれいに掃除し、道具を大切にし、良い仕事をし、きちんとした製品を造るのである。欠陥製品を造れば、誰がやったかが社内ですぐ分かるし、良い仕事をすれば、誰がやったか直ちに分かるのである。そのようにして共同体の中で自分に与えられた責任を果たすのは当然のことと考えられている。

2003年の中ごろに、ムーディーズ(米大手債券の格付け機関)はトヨタ自動車の格付けを最上のAAAから1ランク下げた。その理由は、「クビ切り無し」の労務政策では、収益性が悪いからとするものであった。

ところが、同年末にムーディーズはトヨタの格付けを最上級に戻したのである。コメントはないが、日本式の生涯雇用は、必ずしも収益性を損なわないという認識が成立したようである。生産される自動車の品質が安定していることが労務上のコスト増を補って余りあるということであろう。

自動車の品質

そのような事情であるから、日本人は車を買えば快適に走るのが当然だと思う。何をせずとも故障がなく、車屋に持っていくのは車検の時だけであり、それが当たり前だと思う。これは実は、世界的に見れば不思議なことなのである。

自動車は、約1万個の部分品を精密に組み立てて製造されている。エンジンというエネルギー発生装置を載せているが、これは微弱な出力と(巡航時・アイドリング時)大馬力の発生(発進・追い越し)にほぼ瞬時に対応する。それを機械に無知な一般人が荒っぽく使う。まるで鉈(なた)かバケツでも扱うようである。しかも排気ガスの有毒性が抑えられ、また燃料消費はギリギリまで抑えられている。

機械製品としては、常識を超えた勝手な扱いがされている。雨でも雪でも、そのままである。おまけに車を愛する人は、しばしば洗車する(いくらカバーがあるといっても、原動機を含む機械物に水をかけて無事で済むハズがない!)。それでも日本車は、10年も20年も故障しない。これは奇跡である。

007シリーズを読むと、ジェームス・ボンドは、ちょっとでも長距離を乗るときは前日に愛用のアストンマーティンを必ず車屋に出して整備しておく。いわばセスナの飛行前に整備する、その感覚である。それが世界の常識である。

少し前に日本でも英国車のミニマイナーを洒落(しゃれ)て乗るのが流行した。軽自動車のサイズで、1600ccである。身近な人が2年ほど持っていたが、車屋に整備で入っている時間の方が多かったと言っていた。冗談半分だったかもしれないが、一般の評判もそのようなところである。

社会の秩序

日本人は、自分が所属する集団を大切にする。これは社会の治安ということでも、そのような態度が現れる。町は清潔であり、交通機関は正確に運行され、人々は破壊的な行動に走らない。地下鉄の車内にも、公衆電話のボックスの中にも、排泄物はしていない。麻薬の使用、薬物依存、アルコール依存なども、諸外国の状況と比較すれば、皆無に等しいと言ってもよい状態である。

10代後半の男子による殺人は、1965年には100万人当たり50人であったが、95年にはこれは限りなくゼロに近くなっている。20代前半の男子による殺人は、 同じく1955年には210人、1975年には50人、1995年には25人と、これも確実に減少しているのである。

殺人犯が一番多く出るのは、20歳前後の男子で、これは日本の社会の全体的な落ち着きを示している。そのように、矢作俊彦が2002年の朝日新聞のコラムで書いている。

また、2003年4月4日付の朝日新聞によると、20歳代前半の若者の中で殺人者の出現率は未遂も入れて1955年には10万人当たり23人だったのが、1990年以降は2人と、40年間で10分の1に減少した。

法務省法務総合研究所の2002年の『犯罪白書』によると、若者の暴行、傷害、強姦などの犯罪率も激減している。全年齢を通じて殺人被害率は、10万人中0・6人で、世界で最低である。どこの国でも、殺人者は20代にピークがあるが、日本だけはその山がなく、全体がフラットであるという。

共同体と価値体系

家族の共同体においては、エートスの共有はたぶん一番強力であろうが、反対にその背後の価値観の自覚、または家族の価値観についての分析的な把握は弱い。1つの家族が何を一番大切にしているか、その次に大切なのは何か、などのことは明文化されたものはなく、言葉で表現されておらず、明白な意識となっていることも少ない。まれには家訓を持っている家系もあるが、その時の家族の成員がそれを支持しているとは限らない。

では、いつ家族の共同体の価値観が自覚されるのか。それは、たぶん家族の危機などに際してであろう。死による成員の減少、結婚による成員の増加、子どもの成長などによる発展などの「変化」に際して、意識の違いが表面化し「考えが違う」ことが明白になり、家族の価値観が部分的に明らかになることがある。そのような「危機」に出遭うまでは、自覚されていないことが多い。

先に述べたように、家族の共同体では、価値体系は通常自覚されず、家族内部の変化、すなわち成員の変動などにおいて露出するが、知的反省や分析によるものではない。エートス、または決断や行動において伝統的に見られるパターン(modus operandi)の形を取ることが多い。

例を挙げれば、長男の結婚によりその共同体が延長される、といったときに、いつもは隠れている共同体の価値観が露出することがある。嫁となるべき人について親が反対だったりする。何を基準として反対しているのか、理屈は言ってもそれが本当の理由でない、反対する本人も、なぜ反対なのかうまく説明できないというようなことも多々ある。

家族の共同体では、通常は価値観についての自覚や分析はない。だから、危機においてコミュニケーションが成立せず、ぶつかり合いに終わったりする。かといって、いつもぶつかっているわけではない。通常の生活の時には、価値観についての暗黙の同意があって、それで済んでいるのである。衝突があっても価値観は分析されておらず、自覚されていないままであって、そのために「暗黙の衝突」だったりする。

先に述べたように、会社が社訓、社是などを掲げても飾りでしかなく、意思決定が行われるときの「真正の価値観」とは矛盾している場合も多い。社会に対する奉仕とかが掲げられていても、実情はもうけ一辺倒であったり、またはまれにはオーナーの意地であったりする。

しかし、お飾りであろうとなかろうと、社訓の存在は企業というものが価値体系をその基底に持っているべきである、という観念の存在を示している。

職場の共同体は、家族のように自然発生的ではない。そのために価値観の自覚が強い。またその成員に対して「うちの社風は・・・」とか、「それは筋が立たない・・・」というようにして無意識のうちにでも、自分たちのエートスと価値観についての教育が行われる。

そのようなエートスの背後にある価値観は、公式なものとして「社是」などがあることもあるし、ないことも多い。職場の共同体において、自分たちが持っている価値観の分析や知的把握の努力というものは必須ではない。分析がなくても、価値観の暗黙の把握によって、職場の共同体は存在し得る。

(後藤牧人著『日本宣教論』より)

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*

【書籍紹介】
後藤牧人著『日本宣教論』 2011年1月25日発行 A5上製・514頁 定価3500円(税抜)

後藤牧人著『日本宣教論』

日本の宣教を考えるにあたって、戦争責任、天皇制、神道の三つを避けて通ることはできない。この三つを無視して日本宣教を論じるとすれば、議論は空虚となる。この三つについては定説がある。それによれば、これらの三つは日本の体質そのものであり、この日本的な体質こそが日本宣教の障害を形成している、というものである。そこから、キリスト者はすべからく神道と天皇制に反対し、戦争責任も加えて日本社会に覚醒と悔い改めを促さねばならず、それがあってこそ初めて日本の祝福が始まる、とされている。こうして、キリスト者が上記の三つに関して日本に悔い改めを迫るのは日本宣教の責任の一部であり、宣教の根幹的なメッセージの一部であると考えられている。であるから日本宣教のメッセージはその中に天皇制反対、神道イデオロギー反対の政治的な表現、訴え、デモなどを含むべきである。ざっとそういうものである。果たしてこのような定説は正しいのだろうか。日本宣教について再考するなら、これら三つをあらためて検証する必要があるのではないだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』はじめにより)

ご注文は、全国のキリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

◇

後藤牧人

後藤牧人

(ごとう・まきと)

1933年、東京生まれ。井深記念塾ユーアイチャペル説教者を経て、町田ゴスペル・チャペル牧師。日本キリスト神学校卒、青山学院大学・神学修士(旧約学)、米フィラデルフィア・ウェストミンスター神学校ThM(新約学)。町田聖書キリスト教会牧師、アジアキリスト教コミュニケーション大学院(シンガポール)教授、聖光学院高等学校校長(福島県、キリスト教主義私立高校)などを経て現職。

■ 【後藤牧人著書】(Amazon)
■ 【後藤牧人著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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