逆転無罪のアーシア・ビビさん、家族と再会も命危険 弁護士はすでに出国

2018年11月16日17時01分 印刷
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+アーシア・ビビ
アーシア・ビビさん(写真:英国パキスタン・キリスト教協会=BPCA)
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イスラム教の預言者ムハンマドに対する冒とく罪で8年間以上収監され、先月末に最高裁で無罪となったパキスタン人女性キリスト教徒のアーシア・ビビさんが、釈放後も国内の過激派による抗議活動などのために、命の危険にさらされており、亡命を希望しつつも、依然として同国内に留められている。

ビビさんがすでに出国したとする情報も一時流れたが、パキスタン外務省の報道官は8日、記者会記で出国したとの情報を否定。「ビビさんは国内の安全な場所に留まっている」と語った。

英ガーディアン紙(英語)が、複数の政府関係者の話として伝えたところによると、ビビさんは同国東部パンジャブ州の収容所を7日に出所し、首都イスラマバードに移送された。過激派から命を狙われているため、正確な所在地は明らかにされていないが、安全な場所で保護されているという。

ビビさんは2009年、同じ農場で働いていたイスラム教徒の女性たちから、キリスト教徒であることを理由に嫌がらせを受け、その際発言した言葉がムハンマドを冒とくするとして逮捕され、翌10年に死刑を言い渡された。ビビさんは無罪を主張し、8年以上の月日を経て、今年10月31日に最高裁で逆転無罪となった。

しかし、この判決に反発した過激なイスラム教徒数千人が、同国内の複数の都市で数日間にわたって抗議行動を行った。抗議行動は、冒とく法を支持する同国のイスラム強硬派政党「テフリーク・エ・ラバイク・パキスタン」(TLP)が先導したとされている。

報道によると、TLPと政府との間で交渉が行われ、TLPの上層部は、抗議行動の停止と引き換えに、ビビさんの無罪判決を取り消すため最高裁での再審理を要求したという。政府は、再審理が完了するまでビビさんを国内に留めておくことを合意したとされ、さらに再審理は場合によっては数年かかる可能性もあると伝えられている。政府はまた、ビビさんを「出国管理リスト」に載せることにも合意したとされている。同リストに掲載された人物は出国を禁止される。

記者会見で、最高裁の再審理に関する質問を受けた外務省の報道官は、「これは専門的で法的な問題だ」と答えた。

しかし、米CNN(英語)によると、外務省の報道官は、ビビさんは法的には自由に出国できる身だとし、次のように語った。

「彼女は現在、自由の身です。彼女の(亡命の)申し立ては受理されようとしています。決定が下れば、彼女はどこであろうと望むところに行くことになります。この国は自由な国で、彼女は自由な国民だからです。彼女はどこでも行きたい所に行くことができます。誰もそれに異論を唱えることはできません。パキスタンの自由な国民がどこかに行くことを望むなら、その人はビザを取得して行く必要があります。それについては、おかしな点は何もありません」

カトリック系の支援団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)の広報担当者はCNNに対し、ビビさんはパキスタンからの出国を待つ間、家族と安全な場所にいると語った。

ビビさんと家族は過激なイスラム教徒から身を守るために、西側諸国への亡命許可を求めている。夫のアシク・マシフさんは英国のACN(英語)に次のように述べ、支援を訴えている。

「パキスタンからの出国をご支援ください。私たちはとても憂いています。命の危険にさらされているからです。私たちには食べる物すらありません。買い物に行くために家を出ることができないからです」

ビビさんの弁護を担当したサイフル・マルック弁護士はすでに先週、パキスタンを出国し、オランダへ亡命した。マルック弁護士がCNNに語ったところによると、ビビさんは8日、同じくオランダに亡命申請を提出したという。

一方、米公共ラジオ局NPR(英語)によると、夫のマシさんは英国や米国、カナダに助けを求めており、イタリア政府もビビさんと家族の身柄を他の場所に移すために努力している。

英BBC(英語)によると、パキスタンのイムラン・カーン首相は、ビビさんの無罪判決に対するイスラム過激派の抗議を非難した。しかし同時に、TLPと政府間の合意に関する批判も受けている。

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」のオマー・ワライキ南アジア副局長は、声明(英語)で次のように述べ、カーン首相を批判している。

「カーン首相は今年初め、法の支配を復活させると約束しました。また、抑圧され、疎外された人々を擁護し、正義を実現するとも約束しました。また与党は『パキスタン正義運動』と名乗っています。首相は暴徒が暴力を使わないよう警告したにもかかわらず、わずか2日後には彼らの要求に屈してしまいました。これは一体どうしたことなのでしょう。首相は自身の元の立場に立ち戻り、法の支配を支持する元の姿勢に立ち返るべきです」

キリスト教迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」が作成した最新の「ワールド・ウォッチ・リスト」によると、パキスタンはキリスト教徒の迫害が世界で5番目に激しい国とされる。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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