ブーゲンビリアに魅せられて(4)殺害を迫られ苦悩―部族の掟 福江等

2018年9月2日07時00分 コラムニスト : 福江等 印刷
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マイク・トンギア牧師夫妻(奥の2人)と神学校の近くのレストランで=2006年4月
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すでにお話ししましたように、マニラの神学校にはさまざまな国から留学生たちが集まってきます。今回は、パプアニューギニアから来ていたマイク・トンギアさんをご紹介しましょう。マイクさんは、妻のマリアさんと2人のお子さんを連れてマニラに来ました。マイクさんがそもそもどのようにして祖国でクリスチャンになったかをお話しします。

彼は小学校の先生をしていました。ある時、彼の属していた部族とほかの部族との間に抗争が起こり、マイクさんの部族の1人が殺されてしまいました。そのため彼の部族の中で、誰かが相手の部族の誰か1人を殺さねばならなくなりました。それがその社会の掟(おきて)だったのです。まさに「目には目、歯には歯」の世界です。

そして、相手の部族の誰か1人を殺す役目がマイクさんに降ってきたのです。小学校の先生であるかどうかは関係なかったようです。彼はそれが自分の責任であることを知った日から、どのようにして相手の部族の1人を殺そうかと、日夜ひそかに計画を練っていました。

そんなある日、1人の牧師が彼の家を訪ねてきました。マイクさんは適当に応対していたようです。ところが、次の日も、またその次の日も、同じ牧師が訪ねてきたのです。あまり言葉を交わさないまま毎日訪ねて来る牧師に対してうんざりしてきました。そのうち、マイクさんが相手の部族の誰かを殺そうと計画しているのを知っていたその牧師が、彼にその計画をやめるように、そして、キリストの教えを受け入れるように迫ってきたのでした。

マイクさんは心の中で部族社会の掟に反するという大きな葛藤(かっとう)を余儀なくされました。そして、悩みの末、ついにその計画を捨てて、牧師の前で悔い改めの祈りを始めたのです。熱い涙の中で回心し、彼はクリスチャンとなりました。その後、献身して彼自身が牧師になったのでした。

マイクさんはマニラの神学校にいる間に1年間、学生会長として活躍し、ほかの学生たちの面倒をよく見ていました。そして、時々チャペルでも話をしましたが、部族社会という特異な背景を持つマイクさんの話はダイナミックで、どれも興味の尽きないものばかりでした。

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福江等

福江等(ふくえ・ひとし)

1947年、香川県生まれ。1966年、上智大学文学部英文科に入学。1984年、ボストン大学大学院卒、神学博士号修得。1973年、高知加賀野井キリスト教会創立。2001年(フィリピン)アジア・パシフィック・ナザレン神学大学院教授、学長。現在、高知加賀野井キリスト教会牧師、高知刑務所教誨師、高知県立大学非常勤講師。著書に『主が聖であられるように』(訳書)、『聖化の説教[旧約篇Ⅱ]―牧師17人が語るホーリネスの恵み』(共著)など。

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