Skip to main content
2022年8月10日23時07分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

これは仏教版「開拓伝道のススメ」だ! 『お寺はじめました』に見る宗教界の未来と不安

2018年6月3日23時41分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:仏教教会開拓
これは仏教版「開拓伝道のススメ」だ! 『お寺はじめました』に見る宗教界の未来と不安+
渡邊源昇著『お寺はじめました』(原書房、2018年2月)

『お寺はじめました』というタイトルからして分かりやすい。31歳の僧侶、渡邊源昇(げんしょう)氏がいかにしてゼロからお寺を建て上げたかを分かりやすく解説した本である。

「ぜひ読んで書評を」と依頼され、軽い気持ちで引き受けたが、読み進めていくうちに、どんどん頭が活性化してきた。これはキリスト教用語で言うところの「開拓伝道」仏教版である。

昨今のお寺をめぐる状況は厳しく、ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳(ひでのり)氏が2015年に『寺院消滅』を出版して以来、仏教界から「このままでは寺がなくなってしまう」という警告の声が叫ばれ始めている。しかし従来の解決策は「既存のお寺を改革しよう」という流れが主流であったように思う。

それに対し本書は、既存の概念にとらわれず、むしろ仏教の教えの原点に立ち返り、若い感性でお寺を「一から作りましょう」という話である。

渡邊氏の流れでは、ざっと次のような経過をたどる。

  1. 公募「国内開教志願者募集」にエントリーする。
  2. 具体的なリサーチを行い、どの場所にお寺が必要か、どんな人々のニーズに応えるのか、といったプレゼンテーションを行う。
  3. 採用されたらそれを実行に移す。その際、マンションやアパートを賃貸し、そこをお寺とする。
  4. やがて人が集まってくる(毎朝駅前に立ったり、訪問したりしてアピールすることで)。

そして2017年7月4日、ついに土地を購入して寺院建立にめどがつくこととなる。

これはあくまでも仏教界の話である。どうしてクリスチャントゥデイで取り上げる必要があるのか、疑問に思われる方もおられよう。しかし私的な宗教活動が法的に認められている日本において、キリスト教徒も仏教徒も法律上の立場に違いはない。少なくとも公的にはそう見られることになる。私たちキリスト者は、その中で他宗教とは異なる色合いを出していくことが求められる一方、同じ「宗教界」という土壌で人々と向き合っているため、共通の悩みや問題を抱えることも多い。本書はその共通の悩みへの一種のカンフル剤となる。

本書を通して仏教界改革の具体的な方向性を見て取ることができた。それをサンプルとして私たちキリスト教界が受け入れるなら、大いに学べることがある。

第一に、渡邊氏は勝手に「開拓伝道」を開始したわけではないということ。彼は日蓮宗の僧侶であるが、新しくお寺を始めるという働きを決して個々人に任せていないということである。公募し、エントリーしてきた僧侶の中から可能性のある者を選抜し、そして期限付きではあるが本部がサポートする。

4年間の期限付きで、最初の3年は助成金が支給される。しかも月給20万円、これとは別に家賃として月14万円、つまり計34万円が最低3年間は保証されるのである。これは確かに「選抜」しなければできないことであるし、選んだ側も選ばれた側も真剣に「結果」を求めるモチベーションが生まれることとなろう。

このような働きを組織的に行っているという意味で、仏教界の底力を見せつけられた気がする。私たちキリスト者は、今こそ教団教派を越えて福音宣教のために結集すべきではないだろうか。

第二に、科学的な指標に基づく計画的な「開拓伝道」であること。「どの町にどんなお寺を」というときに、きちんとマーケティングリサーチの手法を用いることで、単なる思い付きや「突然の天啓」にのみ偏らない工夫がなされている。キリスト教(特に保守的教派)にありがちな「霊的」な「神(または仏)」からの示しに従うべし、とだけは考えていないところがおもしろい。

彼が行ったリサーチは、交通量調査、路線電車試乗、各大型ショッピングモール視察、人口調査、平均年収、持ち家率などである。同時に「どんな人をターゲットとして、何をやっていくか」を明確にし、それが上記調査結果と連関できるかどうかを判断している。

日本のキリスト教界は、このような点をどう考えているだろうか。どんな思いで神学校は卒業生を「開拓」に送り出しているだろうか。言い換えるなら「その開拓方法ではダメだ」ときちんといさめることをしているだろうか。再考の余地があると思わされた。

第三に、渡邊氏は僧侶仲間との連携を図り、共に地域へのアプローチを開始している。それが「日曜学校(!)」である。地域の子どもたちをお寺(マンションの一部屋)に集め、そこで仏教の教えに基づいた子ども向けの実践を行う。勉強も教える。食事もふるまう。そんなことを仲間と共に行うのである。

今は「子ども食堂」など、各地の教会で同じような働きを始めているところもあるが、大切なのは「同世代との連携」である。そのことが本書を通してよく分かる。

これは仏教版「開拓伝道のススメ」だ! 『お寺はじめました』に見る宗教界の未来と不安
著者の渡邊氏

そして最大の衝撃は、本書120ページでやってきた。こう書かれていた。

僧名は茶名や雅号と違って本名ですから、戸籍上の名前も変えなくてはなりません。新米僧侶は家庭裁判所に改名の手続きの申請をします。(中略)私は霞が関の家庭裁判所に行きました。本当に僧侶になるのだなという感慨が深まった瞬間でした。

名を変える! しかも戸籍の! これには参りました。彼らがどうしてここまでできるのか。それは名を、戸籍上の氏名を変えることにあったのだ。

もう前に進むしかない、というか、これで本当に自分たちは仏に仕える身となったのだ、ということを、名前を変えることで体現しているのである。すると原則、辞職や解任は起こり得ない。その寺の住職を辞任することはあっても、僧侶を辞めることはない。まさに「出家」である。

私たちキリスト者、特に牧師はどうだろうか。カトリックなどで洗礼後にクリスチャンネームを頂くということはあるが、仏教界はその上を行っている。そう思わされた。

本書は200ページほどの読みやすい本である。誰が読んでも分かるし、また若い僧侶の奮闘ぶりが手に取るように分かる。しかしそれ以上に、本書はキリスト者(しかも長年の信仰者、牧師、神学校関係者)にこそ読まれるべきである。

私がまとめた小シリーズ「神学校教育に一石投じる」でも述べたことだが、キリスト教界も「今までのやり方」が多くの点で機能不全に陥っている。だから新しいシステム、アイデアが求められているはずだ。こういった他宗教の真剣な取り組みに耳を傾けてみることは、決して不信仰に堕することではない。むしろ、私たちの信仰の純度を長く保つためにも、「ライバル店」の動向をチェックし、そこから学ぼうとする姿勢は大切ではないだろうか。

■ 渡邊源昇著『お寺はじめました』(原書房、2018年2月)

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

関連タグ:仏教教会開拓
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 神学校教育に一石投じる 「拓成学院」が日本の福音宣教に示すもの(1)

  • 「開拓伝道者の人格形成と教会形成」 第20回開拓伝道セミナーで福井誠氏が講演

  • 仏教書との初コラボ ジュンク堂池袋本店で「キリスト教と仏教の出会い」フェア

  • 神の存在証明(13)初期仏教と大乗仏教 山崎純二

  • 2020年までに東京に新しい10の教会を 「教会開拓」の集中研修開催

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ジーザス・レインズ・ジャパン、終戦記念日の8月15日に全国7カ所で同時開催

  • 22世紀のキリスト教界を考えるために、今こそ読むべき一冊! 成田悠輔著『22世紀の民主主義』

  • メタバースの教会に行って感じたこと 仮想空間で与えられた思わぬ証しの機会

  • 香港のカトリック教会で聖書不足の懸念 印刷会社が当局とのトラブル恐れ取引停止

  • 義弟が明かすエルビス・プレスリーの信仰 「助けが必要なときはいつも神に頼っていた」

  • 日本で生まれ育った外国ルーツの子どもたちに在留特別許可を 司教らが署名活動

  • 労働者の母―ケーテ・コルヴィッツの生涯(13)連作版画『織匠』

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(82)聖書と考える金曜ドラマ「石子と羽男」

  • 「共感と寛容の心でつながれる神の国の平和を」 NCCが平和メッセージ

  • 宗教は現代社会で何を求められているのか 芦名定道・関西学院大学神学部教授が講演

  • 「統一協会と安倍元総理は関係がない」と私が言う理由 「心のレイプ」の被害者救済を

  • 宗教は現代社会で何を求められているのか 芦名定道・関西学院大学神学部教授が講演

  • 22世紀のキリスト教界を考えるために、今こそ読むべき一冊! 成田悠輔著『22世紀の民主主義』

  • メタバースの教会に行って感じたこと 仮想空間で与えられた思わぬ証しの機会

  • ミュージカル「天使にラブ・ソングを」 新キャスト迎え11月から全国6都市で上演

  • 義弟が明かすエルビス・プレスリーの信仰 「助けが必要なときはいつも神に頼っていた」

  • 安倍元首相の国葬「反対」「撤回求める」 日本基督教団社会委とカトリック正平協が声明

  • カナダのカトリック教区、性的虐待被害者への和解金支払で大聖堂含む不動産43件売却へ

  • 旧統一協会の会見「あまりにも事実に反している」 全国霊感商法対策弁護士連絡会が会見

  • ニューヨーク便り(9)米国の病院のイメージが変わった! 思わぬけがで救急病院を体験

  • 「統一協会と安倍元総理は関係がない」と私が言う理由 「心のレイプ」の被害者救済を

  • 安倍元首相の国葬「反対」「撤回求める」 日本基督教団社会委とカトリック正平協が声明

  • 宗教は現代社会で何を求められているのか 芦名定道・関西学院大学神学部教授が講演

  • 旧統一協会の会見「あまりにも事実に反している」 全国霊感商法対策弁護士連絡会が会見

  • ニューヨーク便り(9)米国の病院のイメージが変わった! 思わぬけがで救急病院を体験

  • 22世紀のキリスト教界を考えるために、今こそ読むべき一冊! 成田悠輔著『22世紀の民主主義』

  • 日本のクリスチャンに必要な「意識改革」とは? ワーシップ!ジャパンがカンファレンス

  • キリスト教書店大賞2022 大賞に奥田知志牧師の『ユダよ、帰れ』

  • カナダのカトリック教区、性的虐待被害者への和解金支払で大聖堂含む不動産43件売却へ

  • メタバースの教会に行って感じたこと 仮想空間で与えられた思わぬ証しの機会

編集部のお勧め

  • 日本のクリスチャンに必要な「意識改革」とは? ワーシップ!ジャパンがカンファレンス

  • 中絶を選択しない「いのちの文化」を マーチフォーライフ2022

  • 被災者には「長い1年」 支援者ら、土石流被害の熱海のために祈りささげる

  • ロシアのウクライナ侵攻は「時のしるし」 レムナント出版代表の久保有政氏が講演

  • 無料で日用品や散髪、ネイルアートなど提供 教会でウクライナ避難民支援イベント

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 論説委員・編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2022 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.