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聖書サロン~建築デザインとキリスト教 建築家・香山壽夫さん、聖書を通して建築の本質を語る

2017年5月8日21時04分 記者 : 坂本直子
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関連タグ:関智征
聖書サロン~建築デザインとキリスト教 建築家・香山壽夫さん、聖書を通して建築の本質を語る+
香山壽夫さん=4月26日、ロングライフホールディング東京本社(東京都中央区)で(写真:ブランド・ニュー・ライフ・ジャパン提供)

「建築デザインとキリスト教―建築家の視点からみた聖書」というテーマで4月26日、講演会(ブランド・ニュー・ライフ・ジャパン主催)が開催された。講師は、日本を代表する建築家・香山壽夫(こうやま・ひさお)さん。ロングライフホールディング東京本社(東京都中央区)の会場に集まった多種多様な職業の人たち50人を前に、自らの仕事と聖書の御言葉を通して、建築を作ることの意味を語った。

香山さんは、聖学院大学礼拝堂(埼玉県上尾市)、彩の国さいたま芸術劇場(同さいたま市)をはじめ、教会や学校、公共施設などを数多く手掛け、日本建築学会賞、村野藤吾建築賞、アメリカ劇場技術協会賞、日本芸術院賞などを受賞。また、長年にわたって東京大学などで教育にも携わってきた。この日の講演では、これまで建築家として仕事をするその時々に考えさせられてきた聖書の言葉を引用しながら、そこで感じたことについて3つの題目に分けて話した。

第1の題目は、「建築(=空間)とは何か」。「建築とは、空間を作ることであり、空間は光によって見いだされる。建築の面白さは光にある。絵は平面の芸術、彫刻は立体の芸術、それに対して建築は空間の芸術といわれる。しかし空間は、画家にとってのキャンバスや、彫刻家にとっての石のように、つかむことができない。そのため、空間の素材に最も近く造形できるものとして光が使われる」と語り、ゴシック建築や初期キリスト教会の光を例にして説明した。

続いて香山さんは、神が「光あれ」と命じた創世記1章1~3節と、新しいエルサレムの様子が描写されているヨハネの黙示録21章11~23節を取り上げた。「この2つの箇所では光についての具体的な記述がされており、『ものを作る』という建築の問題が見えてくる。初めに言葉があった。その言葉である神と具体的な世界をつないでいるのが光ではないか。『形を作る』ということは、観念、理想、神といった形のないものに、形を与えようとする試み。その手掛かりが『光』だ」

聖書サロン~建築デザインとキリスト教 建築家・香山壽夫さん、聖書を通して建築の本質を語る
香山さんの話に熱心に耳を傾ける参加者(写真:ブランド・ニュー・ライフ・ジャパン提供)

第2の題目は、「決める」ことと「選ぶ」ことについて。「着想やアイデアでの苦しみはないが、それらの中から選んで他を捨てることが非常に難しい。特に、しばらく大切に育ててきたアイデアほど、その苦しみは筆舌に尽くしがたい。このため、才能ある学生たちが何人も挫折している。しかし、『今、決めるんだ』と言ってくれているのが、『何事にも時がある・・・」で始まるコヘレトの言葉3章1~3節。何千年もの昔にこの真実が示されたことは驚くべきこと」

また、建築チームのプロジェクトの中で、議論が混沌(こんとん)としてくると、早く結論を出そうとするあまり、アイデアが死んでしまう場合があることを指摘した。そこで、「刈り入れまで、(良い種と毒麦の)両方とも育つままにしておきなさい」とイエスが語ったマタイの福音書13章29~30節を引用して、「これは、悪い状況であっても、待つこと、耐えることの大切さを示しているのではないか。あいまいさも、時には大切。最初に『いいな』というものは、案外つまらないものが多い」と話した。

第3の題目では、「美しい」とは何なのか、何をもって「美しい」と言えるのかが語られた。「古代ギリシャ人たちが作った美の基準や黄金比率を使っても、『いい建築』『いい音楽』ができるとは限らない。そのため、その行き着いた先が『美はない』『勝手にやればいい』という考えを持った近代のニヒリズム。しかし表現とは、自分と誰かをつなぐことであり、『自分勝手にやればいい』ということになれば、他人は関係がなくなり、表現自体に意味がなくなり、芸術を作る必要はなくなる。ニヒリズムは、自分の中で破滅している」

その上で香山さんは次のように語った。「美しい形を作り出す秩序(調和)は、いつも隠されていて、明示されていない。しかし、存在するんだと思うしかない。見えないけれども、あると信じるしかない。芸術家も他の仕事でも、『人間が分からない』と言いながらも、どこかで人間が分かり合えることを信じている。美があることを信じてやるしかない。美があることを示す証拠を具体的に示すことは難しいが、人間の歴史全体が、そして自然そのものが証明している」

そう断言する香山さんは、「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった」というマタイの福音書6章28~29節を引用しながら、こう語った。「命のないものに命を与えるというのが、隠されたアートの形。天も地も神を賛美している。僕たちがものを作る前の形には命の火がともっており、そこに何か原理があると信じていくしかない」

そして、「建築は大地の上に立つ。これが他の芸術とは違うところ。他の美術は美術館に持っていけるが、建築は持っていけない。神様が作った大地が下になり、上に空があり、雲が流れ、雨が降り、大地には命がある。建築は、それらと一緒に作らないと、できない。建築はもろもろの生き物と一緒に生きている」と建築の本質について述べた。

聖書サロン~建築デザインとキリスト教 建築家・香山壽夫さん、聖書を通して建築の本質を語る
これまで香山さんが手掛けてきた作品集(写真:ブランド・ニュー・ライフ・ジャパン提供)

また、「主の造られたすべてのものよ、主を賛美し、代々にたたえ、あがめよ・・・」とあるダニエル書補遺・アザルヤ34、35、51~54節を引用し、「全てものが共に賛美しているという気持ちがなければ、建築は作れない」と力を込め、「僕たちの判断の支えとなるのは、僕らの前にいた無数の人たちが共通の判断をしてきたということ。それが伝統なのではないか」と問い掛けた。

最後に、「旧約聖書の時代は、皆が一緒に建築をしていた。だから、僕は皆さんがやる分を引き受けて建築をしていると思っている。初期のクリスチャンが迫害の中で教会を建てるという行為の中には、『一致する』ということがあった。建築を一緒に作るということで共同体となり、その行為の中で言葉が形になっていく。これからも地域の人と一緒に建築を作っていくことで、建物に命を与えていきたい」と語り、講演をしめくくった。

この日ナビゲーターを務めたのは、ブランド・ニュー・ライフ・ジャパン代表の関智征(せき・ともゆき)牧師。ブランド・ニュー・ライフ・ジャパンは現在、アーツに力を入れた教会を立ち上げるプロジェクトを進めている。香山さんの講演会は、その第1弾となる。次回の聖書サロンは6月15日(金)を予定している。

関連タグ:関智征
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