キリスト依存の2人が語る刑務所伝道 進藤龍也氏と五十嵐弘志氏が対談

2017年3月30日11時33分 記者 : 守田早生里 印刷
+キリスト依存の二人が語る刑務所伝道 五十嵐弘志と進藤龍也牧師の対談
対談中の両氏=25日、カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)で

受刑者の更生と出所者の社会復帰の手助けをすることで刑務所伝道を進めている「罪人の友」主イエス・キリスト教会の進藤龍也牧師。受刑者と文通することで交流をはかり、出所者の支援も行っているNPO法人マザーハウスの五十嵐弘志理事長。この2人による公開対談(インターナショナルVIPプリズム主催)が25日、カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)で行われた。

進藤牧師は元指定暴力団の組員で、薬物などの犯罪による受刑歴は3回、前科7犯。現在は埼玉県川口市にある教会の牧師をしながら、全国の刑務所から毎月50通近く送られてくる手紙に返事を書くことによって福音を伝え、出所後、教会に来て助けを求める者には教会で寝泊まりをさせ、社会復帰するまで伴走している。

五十嵐理事長も元受刑者で、合計20年に及ぶ服役経験がある。獄中で進藤牧師と文通を通して関わり、出所後、カトリック教会で洗礼を受けた。

自分の罪と向き合うことから

進藤牧師は、受刑者の回復のために必要なこととして、心のケアを挙げた。「彼らの心を回復させるために必要なのは、懲らしめることではなく、犯した罪や自分の心の闇に向き合うことだ」

五十嵐氏も、「受刑者は獄中で非常に孤独な思いを抱いている。罪と向き合うことは非常につらいことだが、回復のためには重要」と共感を示した。

キリストに依存することで回復した

「人生をやり直したい」と願う人々の中には、少なからず薬物中毒者がいる。進藤牧師もそうだった。

「依存症を治すには、より高い何かに依存すればいい。私の場合、それがキリストだった。キリスト依存になることによって、私は回復した。自分が経験したことでしか、人を導くことはできないので、私のもとに来る人たちには最初に、『私はキリストに依存することで回復した』と話すようにしている。今でも、昔の友達に電話したら、もしかしたら覚せい剤の10グラムくらいは持ってくるかもしれない。でも、もちろんやらない。それは、キリストに依存することで、私は正しい選択をするという自由を得ているから」

依存者たちにとって、人との出会いは重要だ。受刑中、そして出所直後、誰と出会い、どのように関わるかによって、その後の人生が大きく変わる。

叱る大人が必要

犯罪を行った少年をよく受け入れるという五十嵐氏は、「恵まれた家庭環境で育った者は少ない」と指摘する。虐待を受けて育った少年もいる。こうした成育歴についても、刑務所内では十分なカウンセリングを受ける機会がないため、あまり表面化することはない。

進藤牧師も言う。「ヤクザでも、何かしら家庭に問題があった人が多い。少年時代、悪い人たちと付き合い始めたとき、『おい、龍也!そんな奴らと付き合っちゃダメだぞ』と注意してくれる大人がいなかったことは不幸だったと思う。自分も大人を避けていた。しかし、そうした少年たちには、きっちりと叱ってくれる大人も必要だと思う」

社会がチェーンとなることで再犯率も下がる

五十嵐氏が先日受け入れた元受刑者は、刑務所からマザーハウスに直行したため、文字どおり「一文なし」だった。そこで、生活保護の申請手続きをすぐに開始したが、実際にお金が手元に来るまでには2週間以上かかる。そこで、「緊急保護」の手続きをするよう勧め、役所で手続きをした。「緊急保護」とは、生活保護が許可されるまでの間、緊急に経済的支援を必要とする人のための措置。マザーハウスで受け入れた男性もすぐに申請したが、2週間の生活資金として渡されたのは500円だった。

「これでは、生活を立て直そうにも、どうにもならない。われわれのような民間団体に丸投げをされても、限界がある。このあたりを少し改善するだけで、再犯率が下がってくるのではないか」と五十嵐氏。

マザーハウスはNPO法人なので、宗教に偏ることはできず、罪友教会はキリスト教会なので、行政との連携は現時点では難しい。進藤牧師は言う。

「私たちが自転車の後ろと前の車輪になってグルグル回っていても、チェーンが外れていたら、自転車は前に進まない。このチェーンの役目をするのが『社会』。それが私たちのような団体と一緒になることで、自転車が少しずつ動き始めて、再犯率も下がってくるのではないか」

職業訓練と出所後の苦悩

刑務所内でも社会復帰に向けて職業訓練があるが、こうした制度が使えるのはほんの一部の受刑者。進藤牧師によると、10年ほど前までは受刑者100人に対して3人しか訓練を受けられなかった。それは今もあまり変わっていないだろう。組織関係者は、その訓練を受ける資格すら与えられず、進藤牧師も、最後の懲役の際、何度も申し込んだが、結局、受けられずじまいだった。

刑期を終えた出所者にとって、社会復帰はマイナスからのスタートとなる。刑期を終えたからと言って、決してゼロからのスタートではないのだ。「世間はやはり厳しい」と再び犯罪に走ってしまうか、それをバネにして頑張るかは本人次第。両氏は、「世間の風をバネにする動機付けをするのが私たちの仕事」と話す。

五十嵐氏も出所後、100以上の企業へ面接を申し込んだが、履歴書にある空白の期間を隠すわけにはいかず、結局、採用通知を受け取ることはなかった。「元受刑者というと『怖い』というイメージがあるかもしれない。しかし、われわれも同じ人間であり、社会の一員だということを忘れないでほしい」と五十嵐氏。

進藤牧師も言う。「もちろん、前科のある人は、人の何倍も努力しなければならない。つらいと思う。世の中、そんなに甘くはない。しかし、キリストの励ましの中で自分なりの精いっぱいの力を出していると、それが楽しいと思えてくる。後から振り返ると、聖霊に導かれていたとはいえ、『よく努力したな』と思える」

生きづらさを抱える受刑者

参加者の中から、「受刑者の中に障がいを持つ人はいるか」という質問があった。

進藤牧師は、「人とのコミュニケーションに障がいがあると思われる人は、刑務所の中にたくさんいる。ヤクザの中にも多いと感じる。彼らも『生きづらさ』を抱えた人々。こうした人にこそ専門的なカウンセリングが必要」

五十嵐氏も、「クレプトマニア、いわゆる窃盗症の人々は、懲役を重くすることで治るものではない。刑務所の中ではかえって悪化するので、やはり専門医が必要」という。

2人の対談は3時間近くに及び、参加者からの質問も続いた。刑務所を出所して再起を誓う人々にチャンスを与えられる社会になる日は、近いようで遠い。私たちクリスチャンにできることは何か。祈り、考えることから始めたい。

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