Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

『現代文化とキリスト教』(2)「ポスト世俗化の宗教技法 テゼ共同体とその祈り」岡本亮輔氏

2017年1月24日14時12分 記者 : 土門稔
  • ツイート
印刷
関連タグ:テゼ共同体キリスト新聞社
『現代文化とキリスト教』(キリスト新聞社)+
『現代文化とキリスト教』(2016年、キリスト新聞社)

『聖地巡礼』の宗教社会学者が見たテゼ共同体の祈り

岡本亮輔氏(北海道大学メディア・コミュニケーション研究員准教授)は、『聖地巡礼―世界遺産からアニメの舞台まで』(2015年、中公新書)、『聖地巡礼ツーリズム』(2012年、弘文堂、共著)などの著作がある宗教社会学者。

テゼ共同体は、フランス、テゼにある超教派の男子修道会だ。スイス人のブラザー・ロジェ(本名:ロジェ・ルイ・シュッツ=マルソーシュ)によって1949年、フランスのテゼ村に設立された。その後、次第に世界中から若者が訪れるようになり、聖書の言葉をシンプルに繰り返して歌う「テゼの祈り」は世界中に広がり、毎年ヨーロッパの都市では「地上における信頼の巡礼」が行われ、世界中から数万人の若者が集まる。

日本でもカトリック、プロテスタント諸派を越えて多くの教会で祈りの集いが行われており、その数は私が知る限りでも約30カ所を超える(詳細はこちらのカレンダー)。

【関連記事】
■ 仏テゼ共同体のブラザー迎え、神戸で集い 300人が共に祈り
■ テゼ共同体の創設者生誕100周年記念し「一日黙想会」開催 新たな始まりへ向けて

私自身もこれまで各地の祈りの集いに足を運んできた。その「テゼ」を、気鋭の若手宗教社会学者が「ポスト世俗化の宗教技法」として注目しているのは、個人的にも非常に興味深い。

テゼの祈りの特徴とは?

テゼでは聖書の言葉そのものを歌詞にした歌を短く、何度も繰り返し歌う。そして沈黙の時がおかれる。

岡本氏はテゼの集いでの祈りが、次のようなものを可能にしていると捉えている。

「言語や教派の伝統によって、さまざまな祈りの形式がある。そのいずれか1つに統一されれば、それに慣れない人たちの礼拝はぎこちないものにならざるを得ない。さらに問題なのは、若い巡礼者たちだ。彼らの多くは、テゼには集まるが、普段は教会へ通わない。キリスト教やその礼拝について基本的な知識を持たない人たちなのである。テゼでは、多言語・多文化・多教派・多人数に加えて、伝統的信仰を持たない若者も含めて、祈りが共有されなくてはならないのである」

そして、その独特のスタイル故に、教派や場所を越えて「移動可能性」が存在することを指摘している。

参加者たちの生の声

テゼの集いに参加している人たちへのインタビューも率直でとても面白い。ある集いの中心となっている匿名の牧師は、テゼの魅力を「イエス・キリストに向かっていると感じさせるスピリチュアリティー」と「しばらくここにいてみよう」という気にさせるところだとし、それこそがまさに現代の教会に欠けているものではないかと語っている。

現在の教会の伝道と礼拝については基本的に(おそらくこれは教派を問わないのだが)、「ここには善い教え」があることが前提とされ、チラシを配り、「学びたい人は来てください」という姿勢をとっている。

この牧師は、それは日本の宣教以来変わっておらず、そのスタイルは「おそらく昔は若い人にアピールするものであったのではないか」と語る。

(この牧師は、その先は語っていないが、教派を問わず日本のあらゆる教会において、30代以下の若い人々が極めて少ない現実を見れば、それはもはや有効とは言えないのだろう。しかし、「教会」「礼拝」の形式、スタイルを変革することが極めて困難なさまざまな現実を抱えているのだろう)

そしてこの牧師は、教会の礼拝に行かず、テゼの祈りに参加する若者が多いのは「教会の側の問題である」「テゼでは見えるキリストが、教会では見えない、あるいは教会がキリストを見えなくさせている」と指摘している。

教会には決まり事や、人間関係が存在する。そして“牧師が信徒の生活を良いほうへ変えてやろう」と考え、信徒は「今日はどういう教えをいただこう」と考える。聖書を「学び」「生活を改善するために勉強する」礼拝になると、そこからはキリストに向かうスピリチュアリティーは消えてしまっているのではないか?

今の若い人は、知的に問題を解決することよりも、むしろ静かな中でスピリチュアリティーを感じ、キリストに向かい、安心して祈ることを求めているのではないか?という牧師の問いは、司牧者故に感じる、現代の教会の限界と疑問が率直に表れている。

もう1人の福音派の牧師の感想も興味深い。福音派は自由主義神学批判を出自としているために、教派を越えた「エキュメニズム」への懐疑が根強くあったという。しかし現在は、テゼの集いを行っている教会も増えつつある。この女性牧師は「テゼの祈りには“共同性が強い”」、そこには「自分の声と他人の声が溶け合うような瞬間がある」と語る。

福音派教会では、牧師が何でも行ってしまう傾向が強いが、テゼの沈黙・黙想を中心とした祈りでは、むしろ「何も考えず」「他者の声を聞く」という受動的な状態で祈りが行われるところが魅力だと語っている。

岡本氏はこれらの報告・インタビューを通じて、テゼの集いに参加する信徒、牧師たちは、そこに現代の教会に対する限界、欠けているものを感じているのではないかと、そして、キリスト教の教派や国・地域のさまざまな差異を架橋しているのではないか?と評価している。

宗教社会学者が客観的にこのような評価をなしていることは非常に興味深いし、テゼの集いに参加している一個人である私も、とてもうれしく受け止めた。

実際テゼは、ポッドキャストやユーチューブで、世界各地の祈りの様子をアップロードし、現在もその輪は、水の波紋のように広がり続けている。

個人的な思いを付記させていただければ、私自身はテゼについてはより深い神学的な考察がなされてほしいとかねがね感じている。テゼ共同体を創始したブラザー・ロジェは『暫定性の力学(ダイナミズム)』という本を書いている。

暫定性、架橋性、軽やかに超えていく越境性とは、まさにポストモダンの本質でもある。歌の構成、祈りの中で、それを可能にするどのような試み、構成、工夫がなされているのか。その根底にはどのような神学があるのか。

私はテゼに出会って以来、ずっとその点に興味を持っている。だからこそ気鋭の宗教社会学者によってそれが「ポスト世俗化時代の宗教技法」として注目されつつあることに、興奮を隠せないのだ(笑)。

ぜひ、このテーマでも新たな研究、そして交流が積み重ねられていくことを願ってやまない。

<<前のページへ

『現代文化とキリスト教』(2016年、キリスト新聞社)

関連タグ:テゼ共同体キリスト新聞社
  • ツイート

関連記事

  • 「死といのち」の問題を考える 石居基夫著『キリスト教における死と葬儀―現代の日本的霊性との出逢い』

  • 25周年で全改訂、動画も マクグラスの国際的教科書『キリスト教神学入門』『キリスト教神学資料集』原書

  • キリスト新聞社、宗教改革をモチーフにしたアナログゲームを一般公募

  • イラク出身の女性キリスト教徒が著した2千年にわたる貴重な通史 『イラクのキリスト教』

  • 「ハタから見たキリスト教」 内田樹×釈徹宗対談(1)

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.