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『現代文化とキリスト教』(2)「ポスト世俗化の宗教技法 テゼ共同体とその祈り」岡本亮輔氏

2017年1月24日14時12分 記者 : 土門稔
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関連タグ:テゼ共同体キリスト新聞社
『現代文化とキリスト教』(キリスト新聞社)+
『現代文化とキリスト教』(2016年、キリスト新聞社)

『聖地巡礼』の宗教社会学者が見たテゼ共同体の祈り

岡本亮輔氏(北海道大学メディア・コミュニケーション研究員准教授)は、『聖地巡礼―世界遺産からアニメの舞台まで』(2015年、中公新書)、『聖地巡礼ツーリズム』(2012年、弘文堂、共著)などの著作がある宗教社会学者。

テゼ共同体は、フランス、テゼにある超教派の男子修道会だ。スイス人のブラザー・ロジェ(本名:ロジェ・ルイ・シュッツ=マルソーシュ)によって1949年、フランスのテゼ村に設立された。その後、次第に世界中から若者が訪れるようになり、聖書の言葉をシンプルに繰り返して歌う「テゼの祈り」は世界中に広がり、毎年ヨーロッパの都市では「地上における信頼の巡礼」が行われ、世界中から数万人の若者が集まる。

日本でもカトリック、プロテスタント諸派を越えて多くの教会で祈りの集いが行われており、その数は私が知る限りでも約30カ所を超える(詳細はこちらのカレンダー)。

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■ 仏テゼ共同体のブラザー迎え、神戸で集い 300人が共に祈り
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私自身もこれまで各地の祈りの集いに足を運んできた。その「テゼ」を、気鋭の若手宗教社会学者が「ポスト世俗化の宗教技法」として注目しているのは、個人的にも非常に興味深い。

テゼの祈りの特徴とは?

テゼでは聖書の言葉そのものを歌詞にした歌を短く、何度も繰り返し歌う。そして沈黙の時がおかれる。

岡本氏はテゼの集いでの祈りが、次のようなものを可能にしていると捉えている。

「言語や教派の伝統によって、さまざまな祈りの形式がある。そのいずれか1つに統一されれば、それに慣れない人たちの礼拝はぎこちないものにならざるを得ない。さらに問題なのは、若い巡礼者たちだ。彼らの多くは、テゼには集まるが、普段は教会へ通わない。キリスト教やその礼拝について基本的な知識を持たない人たちなのである。テゼでは、多言語・多文化・多教派・多人数に加えて、伝統的信仰を持たない若者も含めて、祈りが共有されなくてはならないのである」

そして、その独特のスタイル故に、教派や場所を越えて「移動可能性」が存在することを指摘している。

参加者たちの生の声

テゼの集いに参加している人たちへのインタビューも率直でとても面白い。ある集いの中心となっている匿名の牧師は、テゼの魅力を「イエス・キリストに向かっていると感じさせるスピリチュアリティー」と「しばらくここにいてみよう」という気にさせるところだとし、それこそがまさに現代の教会に欠けているものではないかと語っている。

現在の教会の伝道と礼拝については基本的に(おそらくこれは教派を問わないのだが)、「ここには善い教え」があることが前提とされ、チラシを配り、「学びたい人は来てください」という姿勢をとっている。

この牧師は、それは日本の宣教以来変わっておらず、そのスタイルは「おそらく昔は若い人にアピールするものであったのではないか」と語る。

(この牧師は、その先は語っていないが、教派を問わず日本のあらゆる教会において、30代以下の若い人々が極めて少ない現実を見れば、それはもはや有効とは言えないのだろう。しかし、「教会」「礼拝」の形式、スタイルを変革することが極めて困難なさまざまな現実を抱えているのだろう)

そしてこの牧師は、教会の礼拝に行かず、テゼの祈りに参加する若者が多いのは「教会の側の問題である」「テゼでは見えるキリストが、教会では見えない、あるいは教会がキリストを見えなくさせている」と指摘している。

教会には決まり事や、人間関係が存在する。そして“牧師が信徒の生活を良いほうへ変えてやろう」と考え、信徒は「今日はどういう教えをいただこう」と考える。聖書を「学び」「生活を改善するために勉強する」礼拝になると、そこからはキリストに向かうスピリチュアリティーは消えてしまっているのではないか?

今の若い人は、知的に問題を解決することよりも、むしろ静かな中でスピリチュアリティーを感じ、キリストに向かい、安心して祈ることを求めているのではないか?という牧師の問いは、司牧者故に感じる、現代の教会の限界と疑問が率直に表れている。

もう1人の福音派の牧師の感想も興味深い。福音派は自由主義神学批判を出自としているために、教派を越えた「エキュメニズム」への懐疑が根強くあったという。しかし現在は、テゼの集いを行っている教会も増えつつある。この女性牧師は「テゼの祈りには“共同性が強い”」、そこには「自分の声と他人の声が溶け合うような瞬間がある」と語る。

福音派教会では、牧師が何でも行ってしまう傾向が強いが、テゼの沈黙・黙想を中心とした祈りでは、むしろ「何も考えず」「他者の声を聞く」という受動的な状態で祈りが行われるところが魅力だと語っている。

岡本氏はこれらの報告・インタビューを通じて、テゼの集いに参加する信徒、牧師たちは、そこに現代の教会に対する限界、欠けているものを感じているのではないかと、そして、キリスト教の教派や国・地域のさまざまな差異を架橋しているのではないか?と評価している。

宗教社会学者が客観的にこのような評価をなしていることは非常に興味深いし、テゼの集いに参加している一個人である私も、とてもうれしく受け止めた。

実際テゼは、ポッドキャストやユーチューブで、世界各地の祈りの様子をアップロードし、現在もその輪は、水の波紋のように広がり続けている。

個人的な思いを付記させていただければ、私自身はテゼについてはより深い神学的な考察がなされてほしいとかねがね感じている。テゼ共同体を創始したブラザー・ロジェは『暫定性の力学(ダイナミズム)』という本を書いている。

暫定性、架橋性、軽やかに超えていく越境性とは、まさにポストモダンの本質でもある。歌の構成、祈りの中で、それを可能にするどのような試み、構成、工夫がなされているのか。その根底にはどのような神学があるのか。

私はテゼに出会って以来、ずっとその点に興味を持っている。だからこそ気鋭の宗教社会学者によってそれが「ポスト世俗化時代の宗教技法」として注目されつつあることに、興奮を隠せないのだ(笑)。

ぜひ、このテーマでも新たな研究、そして交流が積み重ねられていくことを願ってやまない。

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『現代文化とキリスト教』(2016年、キリスト新聞社)

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