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神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(10)奇妙な発音、奇天烈な文法、おまけに気まぐれな語句③ 浜島敏

2016年12月25日23時34分 コラムニスト : 浜島敏
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関連タグ:浜島敏

メキシコのオアハカ州の山地で使っているミシュテク語には、3つの抑揚の領域があり、それぞれの音節は高音、中音、低音あるいはこれらの音域の間にあるわたり音によって発音されなければなりません。単語の意味が非常に混同しやすい文脈もたくさんあります。

例えば、yuhu という語は、最初の音節を低く、次の音節を高く発音すると「恐れる」という意味になります。ところが、yuhu を二音節とも高音で発音すると「キスする」という意味になるのです。ミシュテク語で抑揚を間違えようものなら、10年の恋も一瞬にさめることになります。

やはりメキシコで使われているトゥリケ語では、はっきり5つの音調の区別があって、一層間違いやすいのです。例えば、xan'an という語の真ん中の音に正しく起伏をつけないと「鳩」が「スカンク」になってしまいます。それに気が付かないと、聖霊が鳩ならぬスカンクの姿でイエスの上に舞い降りた(マタイ3:16)と説教しかねないのです。

トゥリケ人の間にいる翻訳宣教師は、ありとあらゆるゆゆしい間違いを犯さないように細心の注意を払わなければなりません。かつて、ある翻訳宣教師は聖書物語の「2人の金持ち(ニコデモとアリマタヤのヨセフ)がイエスの体の引き取りを求めた」(ヨハネ19:38~40)と言うべきところを、実際には「2匹の悪魔がイエスの魂を求めた」と述べていたのでした。

この後の方が一般の人には受け取りやすいのです。なぜなら、一体お金持ちが死体に何の用がありましょうか。それにひきかえ、悪魔がなぜイエスの魂を欲しがるかは、容易に理解できましょう。というのは、彼らは悪霊が人の魂を捕らえようとして、絶えずひそかに見張っていると信じているからです。

翻訳者を苦しめる問題は、奇異な発音ばかりではありません。変わった文法も時には問題を引き起こします。北部コンゴのスーダン諸語の1つであるングバンディ語では、やっかいなことに、否定を表したいときには、文の最後で動詞を繰り返すのが正しいのだということを、われわれは常に覚えていなければならないのです。

"He went home, went"(彼は家に帰った、帰った)というのは、彼が家に帰ったことを強調しているのではなく、実は、彼が家に帰らなかったという意味になるのです。このような否定を、もっとはっきりさせるためには、強調形といって、例えば He went home, went, went のように文尾に動詞を2度繰り返します。これならば、彼が家に帰らなかったことが一層明らかになるのです。

もちろん、それだからといって吃音者には、ングバンディ語はできないというわけではありません。しかし、否定する気持ちのないときに、文尾の動詞をどもってしまうのは具合の悪いことになります。

いかにも簡単な言い回しでさえ、翻訳者にとっては相当やっかいな問題となることがあります。中部メキシコのワステック語では、in him verily is the love of God perfected(その人のうちに、神の愛が真に全うされるのである)(Ⅰヨハネ2:5)を、この通りの文法形式で書き換えることはできません。

英語の前置詞 of は20以上もの意味を持ち、ギリシャ語と同じくらい曖昧な構成を反映しているのですが、ワステック語にはこのような多意義な前置詞は見当たりません。翻訳者は、同じ思想を表現できるほかの言い方を探さなければなりません。

まず第1に、この節では、神が「愛する」という行為の対象であるか、それとも「愛する」という行為の主体であるかを決めなければなりません。なぜなら、ワステック語では、この2つの考えは、全然異なった表現をとるからです。

たいていの人はこの節では、「神の愛」を神が人々を愛し給う愛というのではなく、人々が神を愛する愛という意味にとることで一致しています。この解釈上の問題が解決されても、まだ翻訳者は「全うされる」という受身形をどう扱うべきかという問題に直面します。

英語では、この言葉の言外の意味は、ギリシャ語とはほんの少し違っています。本来の意味は「終える、完成する、全うする」ということなのです。人間が「神に対する愛」を「全うする」過程を述べるのに、ワステック語では He has really come to love God(彼は真に神を愛するようになった)というより他ないのです。

このような言い方は、ギリシャ語の逐語訳から全く離れているように思えるでしょう。が、ワステック語では、これが最も近い訳なのです。そして原文を他言語の最も近い相当語句に表現するのが、正しい翻訳であります。

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*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
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※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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