Skip to main content
2025年6月17日05時48分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(5)所かわれば品かわる・その4 浜島敏

2016年10月15日22時33分 コラムニスト : 浜島敏
  • ツイート
印刷
関連タグ:浜島敏

第1章 所かわれば品かわる
その4

ひとたび宣教師が、その地の人たちの生活に精通すれば、信仰上の真理を表す語句に不足することはありません。しかしながら、見かけは不適当と思われる語句にも、信仰上の意味を豊富に持っているものもあります。

例えば、メキシコのクイカテック語やツェルタル語では「信じること」と「従うこと」の違いを表すことができません。ちょっと見たところ、このような区別がないと、その言語は貧弱である、と片付けてしまいたくなります。これらメキシコの先住民たちは、多くの人々から、救いようのないほど未開で後進的であると目されていますが、私たちが「信じること」と「従うこと」の区別を主張するのに、あからさまに驚いてみせるのです。

彼らの論理では、この2語は1つでなくてはならないのであり、それはまた理のあることなのです。「だって、信じていて、しかも従わないんですか」と言うのです。「それに、言うことを聞くのは、信じてるからじゃあないでしょうか」。彼らの言い分は全く正しいのです。間違っているのはわれわれです。われわれは区別する必要のないものを区別して、しかも、なまじ語彙(ごい)があり余るために、おのれをあざむいて巧妙な偽善に陷り、神に背き続けていながら自分は神を信じる者である、と考えることになるのです。

物の道理をわきまえている人ならば、これらのクイカテック人やツェルタル人が、一見全く未開でありながら、私たちよりも真理に近いことを誰でも認めるのです。少なくとも、彼らは宗教上の精神分裂になる心配はありません。ところが、われわれのいわゆる「文明」世界では、(信じることと従うことが分離し)このためひどい人格の分裂をきたし、隣人をあざむくことこそしなくても、自分をあざむいて、信者ぶる人が多いのです。

翻訳宣教師はみんな、文字を持たない言語ばかりを学ぶものと考えてはいけません。文字の伝統を古くから持った言語を習得しなければならない地域にも、多くの翻訳者が出掛けて行きます。インド、ビルマ(現ミャンマー)、シャム(現タイ)、中国、日本への宣教師は、新しく文字をつくり、文法を編む必要はありません。もっとも、現行のものが不必要に複雑なので、初めからやり直したほうがまだましなこともあります。これらの言語にも問題はあるのです。

最も著しいのは正書法が複雑であることです。これらの字母の中には、古代サンスクリットから派生したもので、多少なりとも正確に言語の音声を表しているものもあれば、中国語のように、一語一語が異なった文字によって象徴されている象形文字があるだけで、アルファベットに当たるものは全然ないものもあります。また、日本語に古くから伝わっている書き方のように、象形文字と音節文字とが一緒になっているものもあります。

このような書記法も、やっかいなものでありますが、同じ言語であるのに「縦」に存在している語彙と方言(社会方言)の違いに比べれば、まだましのようです。ここでわざわざ「縦」にと言うのは、この方言が国内の地域による差ではなく、話者の社会的地位による差であるからです。この障壁を打ち破るのは地域方言以上に困難です。というのは、これらの方言は人の作った組織を反映しており、搾取や階級制度を維持する意図を持っていることもあるからです。

ほとんど全ての宗教用語が古代サンスクリット語の派生語であり、仏教僧の言葉をそのまま借りているパーリ語では、どのような手を打ったらよいものでしょうか。こういった言葉は宗教指導者と目される人たちには長い間使い慣らされてきているのですが(13)、一般の人たちには、ちょうどラテン語のミサが、英語を話す人たちの多くにはチンプンカンプンであるのと同じく、全く意味が通じないことが多いのです。こういった言葉は、たとえ抹香(まっこう)臭くて、ありがた味が感じられても、霊的に人々を諭すことはできません。

東洋人の生活には、このように文語と宗教用語が根強く食い込んでいるので、この伝統の鎖をここかしこと断ち切るのも一朝一夕にはまいりません。けれども、人々は真理を求めて、自ら神の啓示を知りたいと願っているので、ただ単に耳ざわりのよい言葉だけに満足してはいません。平易な、内容のある言葉を欲しています。

こんな理由で1950年に日本の聖書改訳委員会は、聖書の大規模な改訳事業を途中で断念し、再出発しましたが(14)、今度は普通の人の口語に訳すことになったのです。

(注13)たとえ意味が分からなくても、仏教でお経を唱えることで極楽に行けるというようなこと。

(注14)「日本語聖書」は、1899年に聖書全巻が翻訳され、その後改訳が行われ、1919年に新約聖書のみ出版されたが、いずれも文語訳であった。旧約聖書の改訳も進められ、一部は出版されたが、それを中止し、新しい口語訳の聖書が1955年に出版された。その後も幾つかの翻訳が出版されているが、いずれも口語訳である。

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:浜島敏
  • ツイート

関連記事

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(4)所かわれば品かわる・その3 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(3)所かわれば品かわる・その2 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(2)所かわれば品かわる・その1 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(1)はじめに 浜島敏

  • 神様からのメッセージ(41)終わりに 浜島敏

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • 待ち望む力 佐々木満男

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.