2015年ペンテコステ・メッセージ:からだと聖霊ご自身、使徒1章8節と1章9〜11節 二つの固い結び付き

2015年5月24日08時33分 執筆者 : 宮村武夫 印刷

[1]序

2015年のペンテコステは、クリスチャントゥデイ編集長として迎える、昨年に続き2回目のペンテコステです。驚いています。昨年注目した、キリストの昇天とペンテコステの結び付きを、この1年考え続けてきた事実に、あらためて気付きました。

昨年も、ルカが伝える使徒の働きが描く、ペンテコステの最初の説教に、キリストの昇天とペンテコステの結び付きの事実の重みに気付き、重視していました。

例えば、「ですから、神の右に上げられたイエスが、御父から約束された聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているこの聖霊をお注ぎになったのです」(使徒2:33)。

またもう一カ所、「そして神は、イスラエルに悔い改めと罪の赦しを与えるために、このイエスを君とし、救い主として、ご自分の右に上げられました。私たちはそのことの証人です。神がご自分に従う者たちにお与えになった聖霊もそのことの証人です」(使徒5:31、32)。

この1年間、繰り返し思いを集中したのは、説教の言葉と、説教が生み出される源としての事実の生きた関係です。この関係も、やはり聖書に記述されています。そうです、使徒の働き1章8〜11節に見る描写です。特に、1章8節の聖霊ご自身についての宣言と、1章9〜11節のキリストの昇天をあたかも実況放送しているような場面との固い結び付きです。

確かに、説教においては、「神の右に上げられたイエス」についての言及です。しかしそれは、昇天を前提とし、「神の右の座に着き、私たちのためにとりなしていてくださる」(ローマ8:34)恵みの事実を含むのは、明らかです。

[2]使徒の働き1章8節の役割と使徒の働きの構造、そして「地の果てにまで」

私たちがよく知る使徒の働き1章8節は、ペンテコステの出来事が、人間の歴史に及ぼす恵みの波紋を明示し、同時に使徒の働き全体に何を書き記しているか提示しています。

使徒の働きは、1〜7章にエルサレム宣教、8〜12章にユダヤ・サマリヤ宣教、そして13章〜18章には、「地の果てにまで」の言葉どおり、宣教師パウロを中心とした、ローマに至るまでの異邦人伝道が記されています。

こうした使徒の働き全体の流れを大切にしながら、使徒の働きを読み続ける中で、1章8節の重要性を確認し、この節をいつも意識しながら読み進める必要があります。

1章8節に骨太に描かれているように、福音はエルサレムから「地の果て」(ローマ)にまで伝えられ、弟子たちはキリストの証人として用いられると、主イエスは弟子たちに約束なさったのです。この約束が実際にどのように成就したのか、使徒の働き全体を通してルカは言葉を重ねます。

パウロ一行のローマ到着は、主イエスの約束の成就が頂点に達したことを意味し、またパウロ個人にとっても、ローマ到着は最重要の出来事です。

パウロはエルサレムからローマへとの導きを受けながら(19:21)、アジアを後にエルサレムに向かいました。そのエルサレムにおいて、「あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」(23:11)と命令を受けたのです。さらに、ローマへ向かう船旅の危機的状況の中で、27章24節に明らかにされている約束を与えられました。

このような背景の中で、神の約束どおりに、パウロの一行はついにローマに到着しました。そうです、聖霊ご自身に導かれ、力を与えられて。

[3]使徒の働き1章9〜11節の重要性

(1)昇天の目撃者の証言

使徒の働き1章9〜11節は、一言で言えば、昇天の目撃者の証言です。

①「こう言ってから、イエスは彼らが見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた」(1:9)

②「イエスが上って行かれるとき、弟子たちは天を見つめていた。すると、見よ、白い衣を着た人がふたり、彼らのそばに立っていた」(1:10)

③「そして、こう言った。『ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、またおいでになります』」(1:11)

このように、ルカは主イエスの昇天の出来事を、目撃の対象として記述しています。そうです、目撃者の証言として描いています。

これはまさに、ルカが自分の福音書を書き始めるに当たり明言している、記述の態度、方法、目的に合致する目撃証言の重視です。

「私たちの間ですでに確信されている出来事については、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、・・・ 私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます」(ルカ1:1〜4)

(2)レオ1世の理解と宣言

1970年4月、埼玉県寄居の教会から東京都青梅の教会へ移った前後3年間、個人的な指導を受けた、上智大学神学部のペテロ・ネメシェギ先生の指導の下で読んだ、レオ1世『キリストの神秘』(上智大学神学部編、キリスト教古典叢書5)の要点を、今年のペンテコステを迎える中で反芻(はんすう)しました。

レオ1世(461年召天)の説教全体に一貫して流れている中心主題は、 イエス・キリストの唯一のペルソナ(位格)が神性と人性を等しく有している事実の力強い宣言です。キリストと教会の関係という視点から、この重要な二性一位格の教理を繰り返し宣言し、展開しています。そうです、キリストご自身についての証言が、教会とは何かという教会論との生きた関係において展開される。そこには、キリスト(論)と教会(論)の深く、美しい結び付きを見ます。

キリスト(論)と教会(論)の深く、美しい結び付きとは、「キリストは教会に現存される」事実に他なりません。そして、レオ1世はキリストと教会の結び付きの源を、重要な神秘である、キリストの受肉の中に見ています。そうです、ご自分の神性において全能の本質を保ち続けられたお方が、われわれの人間性をとって卑しいものとなられた、受肉・からだをとられた、と深く捉えるのです。

この受肉においてとられたキリストの人間性は、私たちの人間性一般でもあり、キリストの出来事は、キリストと教会の結び付きの故に、私たちのからだに起きた出来事でもあると見抜きます。

この理解から、レオ1世は、使徒の働き1章9〜11節に見るキリストの昇天の描写を引用し、毎年ペンテコステごとに、深く美しく説教し続けます。

「聖なる群衆の面前で、人間性が天上のあらゆる被造物の上にのぼっていったのだ。天使たちの位階をも越えていったのだ。大天使たちの高座の上にまでのぼっていったのだ。・・・高く高く、どこまでも高くのぼっていった。したがって、 キリストの昇天は、われわれ自身の高揚である」(P.8 0)

「われわれの卑しい人間性が天の全軍の上に、またあらゆる崇高な権天使たちを越えて、御父である神のみそばに座るようにキリストにおいて高められた・・・」(P.396)

キリストがからだをとられた受肉の事実こそ、キリストと教会の関係の最も重要な基礎であり、私たちの救いの根底です。教会とは何か、その教会論の土台であると、レオ1世ははっきり理解し、宣言しています。

ナザレのイエスの出来事は、確かに過去の一定の時間内に起きた歴史的出来事です。この歴史性を軽視することは、絶対にできない。あらゆる種類のグノーシス主義に陥らないために、時と場所における出来事として受け止めるのです。

しかし同時に、 ナザレのイエスの出来事を、単に過去の出来事としてのみ捉えることは、聖書の示している主イエス理解(キリスト論)ではないのです。

キリストの死、復活、昇天、聖霊降臨の出来事は、受肉したもうたイエス・キリストにおいて、神が人間に出会われる出来事、そうです、2015年、今年のペンテコステで出会う出来事と理解され、経験されるのです。感謝。

[4]集中と展開

使徒の働き1章9〜11節が描く、主イエスの昇天の事実性、からだの重要性に集中し、さらに、主イエスの昇天とペンテコステ、そしてヘブル人への手紙に見る大祭司(論)の豊かさへの展開。からだと聖霊ご自身、使徒の働き1章8節と1章9〜11節、この二つの固い結び付きに、あらためて注目したいのです。

「信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。イエスは、ご自分の前に置かれた喜びのゆえに、はずかしめをものともせずに十字架を忍び、神の御座の右に着座されました」(ヘブル12:2)

(文・宮村武夫)

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