“奉仕型のリーダーシップを” 元世界銀行副総裁らが講演 サーバントリーダーシップフォーラム(2)

2014年12月8日15時02分 記者 : 内田周作 印刷
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講演する大住力氏・公益財団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」代表理事=11月16日、アキバホール(東京・秋葉原)で

“Give & Give” それは生きるということ

続いて、東京ディズニーランドを管理・運営するオリエンタルランドに約20年にわたって勤め、独立後、公益財団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」を設立した同法人代表理事の大住力氏が講演した。

オリエンタルランド時代、ディズニーシーなどのプロジェクト立ち上げや運営、マネイジメントに携わった大住氏は、社員時代にディズニーランドの生みの親、ウォルト・ディズニー(1901〜1966)の研究会を立ち上げ、自ら積極的に学んだという。その中からこの日は、ディズニーの仕事論について紹介した。

ディズニーは、仕事を「Duty(作業)」と「Mission(役割)」の2つに分けた。やらなくてはならない作業、また、いつ・誰がやっても同じ結果がでるような「Duty」は、仕事全体の6割に過ぎないという。「本来の仕事」だという「Mission」は、各自が自身で考えなければならない仕事。ディズニーランドのマニュアルの一番初めには「What is your mission?(あなたの役割は何ですか?)」と書かれており、スタッフ一人ひとりに自身の「Mission」を考えさせる。各自に「Mission」を考えさせ、それを行わせること、それがリーダーの重要な役割だという。

オリエンタルランドを退社し、現在は難病者支援の活動を行う大住氏。その決断のきっかけとなったのは、米フロリダ州にある難病者支援団体「ギブ・キッズ・ザ・ワールド」の設立者、ヘンリー・ランドワース氏との出会いだった。ギブ・キッズ・ザ・ワールドは、フロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのすぐ近くに施設を持ち、難病の子どもとその家族がディズニー・ワールドで遊べるよう、宿泊や食事、遊園地のチケットまで無償で提供している。

ランドワース氏が大住氏に語ったのは、“Give & Give”という言葉だった。「Give & Take では?」と尋ねた大住氏に、ランドワース氏は「それ(Give & Take)は毎日を暮らしていることだ」と言い、「君に言いたいのは、“Give & Give”。それは君が生きるということだ」と語ったという。ホロコーストを生き延びたユダヤ人であるランドワース氏から、全てを渡す必要はないが、できることでいいから分け合うことを勧められた。

“奉仕型のリーダーシップを” 元世界銀行副総裁らが講演 サーバントリーダーシップフォーラム(2)
仕事を「Duty(作業)」と「Mission(役割)」の2つに分けたという、ディズニーランドの生みの親、ウォルト・ディズニー(1901〜1966)の仕事論などを紹介した。

米国では、難病の子どもに退院後何をしたいかを尋ねると、8割はミッキーマウスに会いたいと答えるという。つまり、ディズニーランドへ行きたいということだ。日本ではどうか。大住氏は帰国後すぐに調査を行い、日本でも難病の子どもたちの5割近くが同じように答えることが分かった。

当初その結果を見ても、「誰かやってくれるんじゃないのか」という思いがあったが、ある難病の女の子の詩を読んで心が決まった。「難病の子どもは、当たり前過ぎて普通に生きている中で忘れている大切なことを、ちゃんと思い返してくれる本物の先生だと思った」と言い、「誰に仕えるか。それは目の前の人ではないでしょうか」と講演を結んだ。

リーダーの要件は「強い思い」「共感力」「統率力」

“奉仕型のリーダーシップを” 元世界銀行副総裁らが講演 サーバントリーダーシップフォーラム(2)
講演する出口治明・ライフネット生命保険の代表取締役会長兼CEO

3人目の講演者は、ライフネット生命保険の代表取締役会長兼CEOである出口治明氏。2008年に、インターネットを主な販売チャネルとする「ネット生保」会社として、同社を開業した。この日は、タテ(歴史的比較)・ヨコ(周囲との比較)思考の大切さや、数字やファクト、ロジックで考える重要性、またイノベーションが起こる要素などを話しつつ、リーダーシップの3要件を語った。

出口氏が挙げたリーダーシップの要件は、1)やりたいことへの強い思い、2)その思いを他者にも共有してもらう共感力、3)チーム内の弱っている人を助けゴールに導く統率力(コミュニケーション力)の3つ。しかし、「この3つ全て持っている人はなかなかいない」と出口氏。1)の「強い思い」はリーダー特有のものとしながらも、2)と3)については、チームでその機能を持てると指摘した。

また、リーダーがチェックすべき鏡として、1)普通の鏡、2)歴史、3)注意をしてくれる周囲の人々の3つを挙げた。「大将が楽しそうにしていなくて、どんなチームができるのか」と言い、まずは自分の姿を写す普通の鏡自体を1つ目に挙げた。また、「将来は分からないが、人間は過去からしか学ぶことができない」と言い、歴史を鏡として学ぶ大切さを語り、自身の問題を率直に指摘してくれる鏡として周囲の人々の存在を語った。

日本サーバント・リーダーシップ協会では現在、「実践リーダー研究会」(年1〜2回)や「近代の優れたリーダーに学ぶサーバントリーダーシップ研究会」(年2回)などさまざまな研究会を開催しており、後者は来年2月23日に新渡戸稲造をテーマに行われる。また、来春からは「サーバントリーダーシップ養成講座」がスタートするという。詳しくは同協会のホームページまで。

■ 第4回サーバントリーダーシップフォーラム:(1)(2)

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