「アラー」の呼称用いた聖書、押収から約10カ月後に返却 マレーシア

2014年11月17日19時13分 記者 : 行本尚史 印刷
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セランゴール州のスルタンによる立ち会いのもと、押収されていた聖書を手渡されるサラワク教会連合(ACS)の議長であるダトゥック・ボリー・ラポック大主教(中央左)。右端は同州のモハメッド・アズミン・アリ首長(写真:マレーシア教会協議会 / 同州報道官)

マレーシアの首都クアラルンプールを取り囲むセランゴール州のモハメッド・アズミン・アリ首長は14日、「アラー」という神の呼称が含まれていたことから同州イスラム宗教局(JAIS)によって今年1月に押収されていた351冊の聖書が、同日朝に同国のサラワク教会連合(ACS)に返却されたと発表した。マレーシア教会協議会(CCM)がホームページなどで伝えた。

この返却は、同国西部のセランゴール州にある都市クランのイスタナ・アラム・シャー宮殿に住むスルタン(イスラム教の君主)に対する、ACS議長でマレーシア教会協議会会長代行のダトゥック・ボリー・ラポック大主教(聖公会)の表敬訪問を機会に実現した。

ラポック大主教には、ACS総幹事のアムブロウズ・リナング長老と、CCM総幹事のハーマン・シャストリ牧師・博士が同行した。

「この長きにわたる問題を解決するための最もよい方法を求める上で、セレンゴールのスルタン殿下の先見の明とご発意に心から感謝の意を表したい」と、アズミン首長は述べた。

「全ての関係者、とりわけセランゴール・イスラム宗教委員会(MAIS)とACSは従って、全ての諸共同体が持つ宗教的感情を尊重するという真摯な努力と確信を通じて、この聖書問題の友好的な解決に達したのである」と、同首長は続けた。

さらに、「私はまた、可能な限りよい形でこの問題の解決を図ろうと最善を尽くしてくださったMAISのセティア・ハジ・モハンマド・アドジブ・モード・イサ議長と ダトゥック・ボリー・ラポック大主教に感謝したい」と語った。

同首長は、自らの政権が、セランゴール州における共同体と宗教の理解を増大させ、支えてゆくために、あらゆる手段を追求すると改めて強調した上で、「私はこれらの聖書はキリスト教徒たちのものであるから、彼らに返却すると誓約した。いま、セランゴールのスルタン殿下の知恵と先見の明のおかげで、これは現実となった」と付け加えた。

一方、「以前に述べたように、全ての関係者は国教としてのイスラム教の地位を尊重しなければならない」としながらも、「しかしながら、信教の自由は憲法に定められているため、過激派の感情や人種攻撃、そして宗教の狂信がセランゴール州の行政の一部となることはない」と語った。

今年の6月、JAISとMAISは、1月にマレーシア聖書協会(BSM)から押収した聖書を返還しないと発表していた。

JAISは1月、イスラム教徒でないにも関わらず「アラー」という表記を使用しているとして、BSMを家宅捜索し、マレー語とイバン語の聖書300冊以上を押収していた。

マレーシアでは2009年に同国政府がマレー語聖書5千冊を押収、2011年には新約聖書と旧約聖書の詩篇、箴言の各書合わせて3万冊が同国政府により押収されている。

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