使徒の働き味読・身読の手引き(42) 宮村武夫牧師

2013年11月8日14時28分 コラムニスト : 宮村武夫 印刷
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生ける神に立ち返るように
使徒の働き14章8節~18節

[1]序

今回はルステラにおける一つの出来事とパウロとバルナバの宣教の内容(使徒の働き14章8節から18節)を思い巡らします。

前回は、14章7節の「そこで福音の宣教を続けた」に注目、パウロたちがルステラとテルベ、またその付近で福音宣教を続けた事実に注意しました。彼らはルステラ地方で、少なくとも数週間宣教活動を継続したと推定されます。この期間様々なことがあった中で、ルカは一つの出来事を取り上げ、8節以下で伝えています。

8節から14節までは出来事そのもの。15節以下では宣教の内容。この宣教は、異邦人に対する宣教がどのような内容を含むか明らかにし、私たちの信仰の基盤を指し示し、他の人々にも何をまず伝えるべきかを教えてくれています。

[2]ルステラでの出来事

(1)生れつき足の不自由な人(8~10節)
8節から10節では、一人の人に焦点を合わせ、「この人がパウロの話すことに耳を傾けていた」と、福音に聴き入る様子を伝えています。

かなり大勢の人々がいる中で、熱心に聴き入るこの人によって自分のことばが吸い込まれるようにパウロは感じたのです。「パウロは彼に目を留め、いやされる信仰があるのを見」たのです。福音に耳を傾けることと心に信仰を持つこととは切り離せません。パウロは、この人に信仰があるのを認めて、「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」と命じます。この呼び掛けに答えて、「彼は飛び上がって、歩き出した」のです。

(2)群衆の反応(11~13節)
11節「パウロのしたことを見た群衆は、声を張り上げ、ルカオニヤ語で、『神々が人間の姿をとって、私たちのところにお下りになったのだ』と言った」

この人に起こった出来事を目撃した群衆は、不思議な出来事を見て驚き興奮してしまい、当時の国際共通語ギリシャ語ではなく、自分たちの言葉であるルカオニヤ語で、「神々が人間の姿をとって、私たちのところにお下りになったのだ」と叫び出します。彼らは今までの偶像礼拝から離れることなく、バルナバを自分たちが礼拝している主神ゼウスの現れとし、パウロを神々のことばを伝える使者ヘルメスと見なします。自分たちが慣れ親しんでいる偶像礼拝の方法に従い、いけにえをささげようとします(13節)。

奇跡的な出来事を目撃すれば信仰が起こされたり、強められたりするとは限らないのです。あの生れつき足の不自由な人のように福音宣教に耳を傾け、神のことばである聖書に聞き従う道を歩むべきことを教えられます。

(3)バルナバとパウロ(13節)
パウロたちは、群衆が自分たちに対し恐るべきことをなそうとしていると聞いて驚き、「衣を裂いて、群衆の中に駆け込み、叫び」だします。

[3]ルステラでの宣教(15~17節)

一人の人に起こった恵みの出来事が群衆の誤解の機会になるような事態に直面しても、パウロたちは挫折しないのです。この機会を見逃さず、異邦人に対し福音を伝えます。

(1)自らの限界、使命
バルナバとパウロは、「私たちも皆さんと同じ人間です」(15節)と、第一に、真の神を礼拝する者として人間としての分際を明らかにします。同時に、「福音を宣べ伝えている者たちです」(15節)と、自分たちの使命をはっきり自覚し、その実践に励みます。

(2)偶像礼拝の空しさ
次に、「あなたがたがこのようなむなしいことを捨てて」(15節)と偶像礼拝のむなしさを訴えます。これは、旧約聖書が一貫して指摘する中心的な宣言です。参照イザヤ44章9~11節「偶像を造る者はみな、むなしい。彼らの慕うものは何の役にも立たない。彼らの仕えるものは、見ることもできず、知ることもできない。彼らはただ恥を見るだけだ。だれが、いったい、何の役にも立たない神を造り、偶像を鋳たのだろうか。見よ。その信徒たちはみな、恥を見る。それを細工した者が人間にすぎないからだ。彼らはみな集まり、立つがよい。彼らはおののいて共に恥を見る」

(3)生ける神に立ち返る
パウロたちは偶像礼拝のむなしさを指摘するだけでなく、「生ける神に立ち返る」ことこそ、人の本分であることを宣言します。

「生ける神」について、二つの点を特に強調します。

1. 第一は、「天と地と海とその中にあるすべてのものをお造りになった」事実。「生ける神」は、万物の創造者なる神です。

2. 第二は、過ぎ去った時代について。異邦人たちがそれぞれ自分の道を歩むことを許しておられたけれど、真の神を礼拝しないことで弁明できないと明らかにします(17節)。しかし今は、生きる神に立ち返るべきと勧めます。

[4]結び

ルステラの人々に見る偶像礼拝の悪影響を避け、聖書に聴き入り、聖霊ご自身の内なる働きに導かれ、真の神に立ち返る歩みを。

宮村武夫(みやむら・たけお)

1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。

主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。

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